世界は聖闘士達の手によって変わり出す

・・・カノンとルークがマルクト陣営に用意された部屋に戻ってからしばらくして、迎えに来たトリトハイムの案内によりピオニーとゼーゼマンにフリングスにカノン達は会談の場へと移動する。






「・・・お初にお目にかかる、インゴベルト陛下」
「こちらこそ、ピオニー陛下」
・・・大きな会議室に「口」の形で長テーブルを置いた部屋の中、右側に配置されたマルクト側のテーブルの椅子にまで来たピオニーは反対側にいて立ち上がったインゴベルトと厳かに会話を交わす。ちなみにヴァン達は兵士に厳重に取り囲まれ、ピオニー達の斜め後ろにいる。
「アテナさん、貴女方は入口側の席にお座りください。貴女方がどこの勢力にも属さない以上はそちらの方が都合がよろしいでしょうから」
「はい、わかりました」
その中で奥の方にいて横にアニスと詠師陣と市長をつけたイオンから席の場所についての説明を受け、アイオリアと童虎を除きアテナ達は席に着く。二人はアテナの後ろを守る形で立っている。
「・・・さて、まずは手紙にありましたが和平についての話をしましょう。問題は様々ありますが、それらを解決するためにもまずは和平を結んだと人々に分かっていただかねばどうしようもありません」
「そうだな・・・では早速で申し訳ないが、和平締結の書状を交わしましょう。インゴベルト陛下」
「うむ・・・ではそうしよう」
アテナ達が座ったのを見て本来なら一番重要な筈の和平の事を真っ先に提案するイオンに、ピオニーもインゴベルトも反対することなく頷く・・・イオンの言葉通り、和平は過程としか言えない重要な問題が残っている為に。









・・・そして数分後、両陛下により和平を結ぶと言うサインが書状にされイオンに手渡された。
「・・・確かに今ここに、和平は締結されました。後はこの事実と共にどのように動くのか、それを協議しなければなりません」
「確かにそうなるな」
「まずは人々に外殻大地についてを知ってもらわねばならぬと思うのだが・・・それと第七音素を使うことに、プラネットストームを止めねば世界が危ういということも・・・おそらく人々にもそれらについてを理解してもらわねば、暴動が起きかねんぞ。一方的に事を進めれば第七音素が使えなくなった事への不満もそうだが、何より預言が詠めなくなったと不満が起こった時が問題だろう」
「・・・確かにそうだな。俺達はまだ預言の事実について様々な所から詳しく話を聞いて納得出来たからまだいいが、又聞き話程度で人々が納得するかと言われると可能性は低いだろう。おそらくその預言は嘘だとかもっといい預言が詠まれた譜石があるとか、様々言い出す輩は後を絶たんだろうな」
その書状を確認したイオンが早速次の話題とどう人々に事実を伝えるべきかと言い出すが、ピオニーとインゴベルトが交互にその問題についての危険性を話し合う。人々は簡単には預言が無くなることを認めない、そう断定に近い予想を立てながら。
「・・・ちなみにカノンさん達はどうするべきかというのは考えてはいますか?」
「・・・私としては段階を踏む必要があるのではないかと、そう思っています」
「段階、ですか?」
両陛下の声に周りも自然とどうしたものかと空気が重くなる・・・そんな時にイオンがカノンに意見を求めるのだが、段階との言葉に一斉にカノンに視線が集まる。
「人々が預言が無くなることを望みはしないのは確かでしょうが、身近にどのような危険があるのか・・・まずはそれがいかなものかを理解してもらうことが最重要事項と思われます。そしてその中でもまず重要なのはこの大地が外殻大地であることを認識してもらうことだと思います。ほとんどの人々がそうだと認識していないことを」
「それは確かにそうだとは思いますが・・・どのように証明しようと言うのですか?」
「・・・これはまず試しの意味も含めてですが、アクゼリュスに魔界に降下してもらうのが早いかと思われます」
「アクゼリュスに・・・っ!?」
その中で認識が必要だと語るカノンにイオンは方法についてを問うのだが、ここでアクゼリュスの単語が出てきたことに他の面々も一斉に目を大きく開かせた。






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