まとまりを見せる全体、反感を浮かべる個

「・・・まぁいいんじゃねぇか?別に俺としちゃあいつに好かれようが嫌われようがどうだっちゃいいし、結果としてセフィロトの封呪ってヤツをどうにかすりゃどうだってよ」
「デスマスクさん・・・」
「今更ですよ、導師。それにあの女に好かれるためにわざわざ頭下げて媚を売るようなことなんかする義理もないし、向こうもあからさまに態度を変えりゃ気味悪がるでしょうしこうも考えるでしょう・・・露骨な機嫌取りに来たって」
「それは・・・」
そんな姿にデスマスクがどうでもよさげに会話に入ってきてイオンが複雑そうに視線を向けるが、丁寧ながらも適切に状況を読んだ予想に視線を背ける・・・どうやってもティアはカノン達を受け入れるはずはないと予想してしまったことで。
「ま、その辺りについちゃ実際にティア=グランツと話をしてからにしましょう。向こうも向こうで言い分はあるでしょうし、ね」
「・・・はい、そうしましょう」
デスマスクはそこで話を一端打ち切るように進め、イオンも悲し気に頷く。どうあがいてもうまく話が出来る訳がない、そう予感してしまったと語るかのように・・・












・・・若干不安を残す話の後は特に話が出ることなく、イオンを先頭にした一行はダアトの街を通り大聖堂へと到着した。



「・・・ではピオニー陛下達はしばらくこちらでお待ちください。少し時間を取った後、会談に移らせていただきます」
「あぁ、すまないな」
それで会議室に来たイオンはピオニー達にゆっくりするように言った後、カノン達へ視線を向ける。
「カノンさん達はどうされますか?こちらで待たれるかキムラスカの方々がおられる所に行かれるか、または別の部屋に行きますか?」
「・・・陛下がよろしければこちらで待機させていただきたいのですが、よろしいですか?」
「こちらは構わんぞ、断る理由もないからな」
それで待機場所についてを聞くイオンにカノンはピオニーに伺いをたて、すぐに了承が返ってくる。
「ありがとうございます・・・では少し私は用がありますので場を離れますが、よろしいでしょうか?」
「どこに行かれるんですか?」
「キムラスカの方々の所に参ろうと思いますが・・・ルーク、お前も来てくれ。話をせねばならんことがある」
「俺も?・・・うん、わかった」
カノンは礼を言いつつもキムラスカ陣営のいる場に行くと言い、誘いを受けたルークは最初こそ疑問に思った物のすぐに頷く。
「場所は案内しますが・・・」
「いえ、大丈夫です。では我々は失礼します」
イオンが案内をすると言いかけるが、すぐに首を横に振りカノンは若干戸惑ったようなルークと共に頭を下げて部屋を出ていく。
「・・・どうしたんだ、カノンは?」
「・・・一先ずの区切りをつけに行ったのだと思われます、。キムラスカとルークを完全に切り離す為の区切りを」
「区切り、ですか・・・必要な事なんでしょうね、色々と・・・」
ピオニーはそんな様子に疑問を口にするとミロがカノンの心中を口にし、イオンは複雑そうに自身の胸中を漏らす。区切りとの言葉に何か自身で感じたといったように。






「・・・キムラスカと決別する意志はついているな、ルーク?」
「うん・・・もう戻れない所まで来たってのは分かるし、戻っちゃいけないってのも分かる。それに何より・・・俺はもう戻る気はないから、大丈夫だ」
「そうか、ならいい」
それでキムラスカ陣営のいる部屋に向かうカノンはルークに決意の程を伺うが、迷う素振りを見せないその姿にそっと微笑んで返す。不安を見せないルークにこれ以上突っ込むようなことはしないと決め。









・・・そしてカノンとルークの二人はキムラスカ陣営の集まる部屋に行き、インゴベルトと公爵が人払いをしたために四人のみで会話をすることとなった。









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