まとまりを見せる全体、反感を浮かべる個
「・・・わざわざ出迎えてくれるとはな」
「いえ、当然の事です。それにインゴベルト陛下が来られた時にもお待ちしていましたので」
「・・・船があることにカノン達がいることから予想はしていたが、やはりキムラスカの方々は先に来ていたのか。となるとそちらの女性がカノン達の主、というわけか・・・」
「はい、そうです」
そしてマルクトの船からピオニー達が降りイオンと会話を交わし、その中でアテナに視線が向けられ余裕を持った笑みで返す。
「陛下も色々私にお聞きしたいことがあるでしょうが、まずは大聖堂に向かいましょう。先に向かわれたインゴベルト陛下達をあまり待たせる訳にもいきませんし、まとめて話をした方が二度手間にならずにすむでしょうから」
「・・・そうだな。ただでさえ少し遅れて到着したんだ、ここで余分な時間を取るわけにもいかんか。なら早速大聖堂に向かいたいが、導師も構わんな?」
「はい、では早速参りましょう」
そのまま話に入るかと思いきやダアトに向かうことを気を遣って提案するアテナにピオニーも納得し、話を振られたイオンも頷き一同は大聖堂に向かい歩き出す。その中でアイオロス達は自然にアテナの元へ向かい、合流して先頭を歩くイオン達の隣を行く形で歩みを進める。
「・・・謡将達も連れてきたのか?」
「あぁ、流れとして連れてくる必要があるだろうということになってな」
「そうか・・・」
それで歩みを進める中、後ろを歩くピオニー達に聞こえない程度に声を抑えたカノンの問いにアイオロスが答える。一番後ろを歩く兵士に囲まれたヴァン達の姿を目視してから出された問いに。
「こちらとしても助かりました・・・市長が気にしていたんです、ヴァンの事を」
「あぁ、確かに市長は謡将の言葉を実際に聞いた訳ではありませんでしたね」
そこにイオンも入ってきて感謝を述べるが、アイオロスは中身に納得する。
「それはよろしいのですが・・・ティア=グランツの説得はどうなったのでしょうか?これよりの会談ではセフィロトの封呪について否応なく話をしなければならないことになりますが・・・」
「ティアの説得、ですか・・・」
カノンがその話からティアについてを確認するように聞くのだが、イオンは表情を歪める。
「・・・ティアに話をするに至って、彼女にどこまで話をするべくかと僕とアニスは話し合いました。それでティアが知っている事を踏まえて話し合いをしたんですが、セフィロトであったりの知識もユリアシティで育ったからあるだろうということで下手に隠しだてをするよりはと思い、皆さんの事情を除いて一連の流れをお話することにしました」
「・・・それで、どうなりましたか?」
「・・・僕達が話をしに行った時、ティアはまず皆さんに対しての暴言を吐き僕に言いました。自分はここまでの事をされるいわれはない、むしろこんなことをしたあの人達の方が間違っている・・・と」
「・・・醜い物だね。過ちを過ちと認めないばかりか人の方に責任を押し付けるなどとは」
「「・・・」」
そこからイオンは自分の考えたことに見聞きしたことを話すのだが、時間が経っても自分の責任はそこまでないと言い切るティアの様子にカノンの横からアフロディーテが心底呆れた声を上げた事で隣のアニスまでもが苦い表情を浮かべる。関係が薄く隔離されていたとは言え、身内が未だそんなみっともない事を恩人達に言ったという事実に。
「・・・心苦しい気持ちは分かりますが、ティア=グランツがどのような返事を返したのかをお聞かせいただけますか?」
「はい・・・そういった言葉を受けた後に話をしたんですが、信じられないといった様子ではありましたが最終的には協力はするとは言ってくれました・・・ですがそうするなら絶対に貴殿方と行動はしたくはない、と・・・」
「・・・成程、そこまでして私達の事を気に食わないということですか。ティア=グランツは・・・」
「・・・すみません、色々と話はしたんですがそれだけは譲れないと頑なに断られました・・・」
カノンは気にしないといったように話を進めどうだったのかと聞くが、了承の代わりに絶対のカノン達への拒否が返ってきたと苦さを増して返すイオン・・・そこには自分が説得しきれなかったという悔いがあった。
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「いえ、当然の事です。それにインゴベルト陛下が来られた時にもお待ちしていましたので」
「・・・船があることにカノン達がいることから予想はしていたが、やはりキムラスカの方々は先に来ていたのか。となるとそちらの女性がカノン達の主、というわけか・・・」
「はい、そうです」
そしてマルクトの船からピオニー達が降りイオンと会話を交わし、その中でアテナに視線が向けられ余裕を持った笑みで返す。
「陛下も色々私にお聞きしたいことがあるでしょうが、まずは大聖堂に向かいましょう。先に向かわれたインゴベルト陛下達をあまり待たせる訳にもいきませんし、まとめて話をした方が二度手間にならずにすむでしょうから」
「・・・そうだな。ただでさえ少し遅れて到着したんだ、ここで余分な時間を取るわけにもいかんか。なら早速大聖堂に向かいたいが、導師も構わんな?」
「はい、では早速参りましょう」
そのまま話に入るかと思いきやダアトに向かうことを気を遣って提案するアテナにピオニーも納得し、話を振られたイオンも頷き一同は大聖堂に向かい歩き出す。その中でアイオロス達は自然にアテナの元へ向かい、合流して先頭を歩くイオン達の隣を行く形で歩みを進める。
「・・・謡将達も連れてきたのか?」
「あぁ、流れとして連れてくる必要があるだろうということになってな」
「そうか・・・」
それで歩みを進める中、後ろを歩くピオニー達に聞こえない程度に声を抑えたカノンの問いにアイオロスが答える。一番後ろを歩く兵士に囲まれたヴァン達の姿を目視してから出された問いに。
「こちらとしても助かりました・・・市長が気にしていたんです、ヴァンの事を」
「あぁ、確かに市長は謡将の言葉を実際に聞いた訳ではありませんでしたね」
そこにイオンも入ってきて感謝を述べるが、アイオロスは中身に納得する。
「それはよろしいのですが・・・ティア=グランツの説得はどうなったのでしょうか?これよりの会談ではセフィロトの封呪について否応なく話をしなければならないことになりますが・・・」
「ティアの説得、ですか・・・」
カノンがその話からティアについてを確認するように聞くのだが、イオンは表情を歪める。
「・・・ティアに話をするに至って、彼女にどこまで話をするべくかと僕とアニスは話し合いました。それでティアが知っている事を踏まえて話し合いをしたんですが、セフィロトであったりの知識もユリアシティで育ったからあるだろうということで下手に隠しだてをするよりはと思い、皆さんの事情を除いて一連の流れをお話することにしました」
「・・・それで、どうなりましたか?」
「・・・僕達が話をしに行った時、ティアはまず皆さんに対しての暴言を吐き僕に言いました。自分はここまでの事をされるいわれはない、むしろこんなことをしたあの人達の方が間違っている・・・と」
「・・・醜い物だね。過ちを過ちと認めないばかりか人の方に責任を押し付けるなどとは」
「「・・・」」
そこからイオンは自分の考えたことに見聞きしたことを話すのだが、時間が経っても自分の責任はそこまでないと言い切るティアの様子にカノンの横からアフロディーテが心底呆れた声を上げた事で隣のアニスまでもが苦い表情を浮かべる。関係が薄く隔離されていたとは言え、身内が未だそんなみっともない事を恩人達に言ったという事実に。
「・・・心苦しい気持ちは分かりますが、ティア=グランツがどのような返事を返したのかをお聞かせいただけますか?」
「はい・・・そういった言葉を受けた後に話をしたんですが、信じられないといった様子ではありましたが最終的には協力はするとは言ってくれました・・・ですがそうするなら絶対に貴殿方と行動はしたくはない、と・・・」
「・・・成程、そこまでして私達の事を気に食わないということですか。ティア=グランツは・・・」
「・・・すみません、色々と話はしたんですがそれだけは譲れないと頑なに断られました・・・」
カノンは気にしないといったように話を進めどうだったのかと聞くが、了承の代わりに絶対のカノン達への拒否が返ってきたと苦さを増して返すイオン・・・そこには自分が説得しきれなかったという悔いがあった。
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