まとまりを見せる全体、反感を浮かべる個

「・・・こうやって見てると、本当にカノンさん達ってアテナの従者なんですね~・・・」
「・・・おや、疑っていたのかい?」
「いや・・・色々と準備してる時に話を聞いたら、年齢が私と同じだって言ってたから・・・」
「あぁ、色んな意味で意外に思ったということか」
そんな光景にアニスがしみじみと声を上げアフロディーテが立ち上がりながら意味を問うが、微妙に苦笑気味な様子の答えに納得したよう微笑む・・・神として滅びることのない魂はともかくとしても、今生において地上に降りたアテナの肉体年齢は13歳でアニスと同じ年齢だ。同学年として単純に見て体型に雰囲気に態度など、アテナはアニスと比べて見て一般的な大人に近い・・・そうアニスが感じていると理解したために。
「・・・そう言えば気になったのですが、一輝はどちらにいるのですか?」
「一輝ですか?」
「ユリアシティで途中から何も言わず黙っているばかりか、結局我らが立ち去るまで何もせず・・・その上、この場に顔を出してこない理由が分からないのですが・・・」
「あぁ、その事ですか・・・一輝の行方は私にも分かりません」
「・・・は?」
そんなやり取りの傍らミロも立ち上がり姿を見せない一輝についてをアテナに気になると問うが、なんでもないと言わんばかりに分からないとの答えに呆けた声を上げる。
「私にまだやるべきことがあると言い、貴方達と分かれた後に一輝は再び姿を消しました。とは言え心配はいりません・・・一輝は意味のない行動もですが、道理に合わない行動も取りません。彼を信じて待ちましょう」
「・・・アテナがそうおっしゃるのなら」
アテナは穏やかに笑顔を浮かべ一輝への信頼を述べ、ミロもその意に従うと頭を下げる・・・確かに一輝が行動する時は意味がある時にしかなく、その効果は絶大であると思った為に。
「・・・分かりました。一輝に関してはこの際それで構いません。ですがアテナはいつ戻られるのですか?流石にこれだけの日数を空けたとなればアテナとしてもですが、城戸沙織という人間の顔としても問題が生じると思うのですが・・・」
「分かっていますカノン。今日会談を見届けたならすぐに地球に戻ります。元々は私も貴方達の手伝いに来ただけですからね」
「そうですか・・・」
今度はカノンが立ち上がり真剣でいて痛いところをさりげに突くように帰還についてを口にするが、予期していたのか最初から予定していたのかアテナは揺れることなく平然と返す。カノンはホッとしたように声を漏らすが、イオンは眉を寄せる。
「・・・少しお聞きしたいのですが、皆さんの世界には預言がないんですよね?」
「えぇ、そうです」
「・・・皆さん、というよりカノンさんはこの世界をそう言った世界に変えたいと思って行動してきたんですか?」
「・・・初めは違いました」
「初めは・・・?」
そこからイオンの預言についての問いが向けられアテナが答え次にカノンに問いを向けるのだが、首を横に振る姿にまた一層眉を寄せる。
「・・・前に話した通り、私がこの世界に来たのは奇跡などでも有り得ぬような事が起きたからになります。そしてファブレ邸に来てからの私はこの世界の在り方を知りましたが貴族には貴族の暮らし、平民には平民の暮らしと言ったように住む世界が違えばまたその世界の在り方も違う・・・そう思ったからこそ私はルークの側にいると決めた事もあり、預言というシステムについて深入りする事はやめておこうと決めました。郷に入っては郷に従え、そのような言葉があったのを思い出したこともあって私がこの世界に馴染むべきなのだと」
「・・・ですがルークがタタル渓谷に飛ばされてしまった時から色々と知ったから、行動をした・・・ということですか?」
「はい、そうなります・・・次々に明らかになっていく事実はルークだけでなく、多くの人々を巻き込むもの・・・それらをどうにかしなければならないと思った為に」
「そうだったんですか・・・」
カノンはオールドラントに来てからどのように考え動いてきたのか・・・イオンはそれらの答えを受けて納得した、初めからではないと言った理由に。











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