まとまりを見せる全体、反感を浮かべる個

・・・そして数日の間、キムラスカとマルクトの両側にいる聖闘士組は特筆することもなく穏やかな時間を過ごした。


















「・・・入るぞ、カノン」
「どうした?」
「公爵様から城に来るようにとお前達に伝えろとの事だ」
「分かった、城に向かおう」
・・・バチカルの宿にて、白光騎士団の兵が来訪して報告を受けるカノン達。その報告に頷き、カノン達は城に向かう。



・・・それで城のインゴベルトの部屋に来たカノン達。そこには公爵の姿もあった。
「・・・よく来てくれた、カノン達」
「いえ・・・それで私達を呼ばれたのは会談の事でしょうか?」
「そうだ・・・手紙のやり取りで決まった、会談をする事にな。そしてダアトで行うこともだ」
「ダアトでですか?」
「ユリアシティでやる事も考えたがその存在を知る者はほとんどいないということから、ダアトでやる方が人々にも示しをつかせやすいというように言われてな。一応はダアトで会談を行い、その後にユリアシティに行くという段取りで進むことになった」
「そうですか」
来訪を歓迎する旨を言い渡され程々に答えつつカノンはインゴベルトと会話を交わし、ダアトで会談を行う流れについてを聞く。
「ただそこでマルクト側からの手紙によれば、その会談の場にヴァンと六神将達も連れてくるとの事だ」
「・・・謡将達もですか?」
「手紙によればヴァン達の身柄をダアトに返すことについてもだが、話を進めるためにも連れてくるとの事だ。ヴァン達一味が起こしてきた事についてを改めて話し合う為にな」
「成程、そういうことですか」
続けてヴァン達を連れていく事についてを聞き、その訳を聞いてカノンは納得する。が、途端にハッと目を見開く。
「どうしたのだ、カノン?」
「・・・時に陛下、大詠師は今どうしておられますか?」
「っ・・・モースか・・・わしも目にしている訳ではないが、報告によれば生きているのが精一杯と言った状態だそうだ。食べ物もロクに取らず、ガタガタと部屋の隅で震えている状態が続いているらしい・・・だがモースの事を言い出すということは、まさかその場にモースを連れていこうというのか・・・?」
「・・・むしろ今でなければ大詠師をダアトに戻す機会はないかと思われますし、大詠師がどうなったのかを実際にお見せした方がよろしいかと思われます。ユリアシティの市長がもし大詠師を再び擁立しようと考えることがないようにするために」
「・・・もしもの可能性も考えて、か。わかった、モースは連れていく事にしよう。何かを出来るとも思えないだろうしな」
インゴベルトはその様子に何事かと問うがモースとの名前に苦い表情を浮かべたが、カノンがモースも連れていくべきと話をしていくと重く納得した。
「後は明日にはバチカルを出るよう公務を片付けて我々は船に乗る予定だが、お前達も乗るのか?話に聞けば船など無くともダアトまでお前達はすぐに行けるとの事だが・・・」
「いえ、我々も船で向かいたいと思います。我々だけで先に進んだとしても先に待つ以外に出来ませんし、グランコクマにいるアイオロス達も同じように考えることでしょう。ですのでよろしければ我々もその船に乗せていただければありがたいのですが・・・」
「・・・それは構わんが、ダアトには、その・・・ルークも、来るのか・・・?」
「・・・今は離れていますが、アイオロス達と共に来る以上は来るでしょう」
「・・・そうか」
続けて公爵が交通手段についてを聞いてきたことにカノンは共にと願うが、重く表情を変える公爵がルークの事を口に出した事に来るだろうと返す。公爵は一言で返すが、その一言には様々な感情が入り雑じっていた。思い悩む事があると言わんばかりに。










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