まとまりを見せる全体、反感を浮かべる個

「陛下がこのニュアンスの違いを理解してくれたことは幸いですが、私から見て大佐殿はそのニュアンスを理解してくれるとは思えませんし自分はそんなことはないと遠回りに返す姿は容易に目に浮かびます。ですからこそ大佐殿にはこの辺りで一つ、出世街道に陛下に近い位置などと言った場所に配置してはいかがかと申し上げています。人と余分に接することもなく、大佐殿の能力を活かせる位置へと」
「・・・成程、それなら最低限ジェイドに対する処置を与えられる上にマルクトの為にも動かせるというわけか」
「そういうことになります」
デスマスクはそんな表情に構わずまた話を進めていくのだが、ピオニーも話を大分聞いた為かその狙いに気付いた様子で言葉を発しそっと頭を下げる・・・これまで以上にイヤらしい笑みを下げた顔の下で浮かべながら。
「・・・ちなみに聞くが、ジェイドはどの辺りに配置すべきだと思ってる?」
「・・・研究職が妥当と、私はそう思っています。陛下のお気持ちを考えた上であえて言わせていただきますが、フォミクリーの技術を幼い内から理論を確立させた経歴を考えるとやはりそちらになるかと。それにローテルロー橋の件で責任を追求して階級を下げるといった処置を施しても、能力のある大佐殿の事ですからまた目覚ましい活躍を遂げることでしょう。ですがそれは大佐殿の能力に寄るものであって、人格的な物とは言えるかどうかは微妙です。そしてもしそうであったなら、陛下や他の方々にとって目も当てられない事態となるかと思われます」
「っ・・・それは、確かにまずいな・・・」
それで確かめるように問いを向けてきたピオニーに対して口元を引き締めてから頭を上げてデスマスクは自身の考えを述べるが、それらに苦く顔を歪める。下手なやり方は今までの二の舞になりかねないということに。
「・・・分かった。お前の考えを受けた上でジェイドについてどうするかを臣下と共に協議したいと思う。これは俺の独断で決めれる話ではないからな」
「わかりました、では」
しかしすぐに表情を引き締め直し戻るとドアに向かいながら話す姿にデスマスクはそっと声をかける。
「・・・行ったか。これで大佐はどうなると思う、デスマスク?」
「まぁこれから俺達の旅に付いてくる事はねぇだろうな。今の時点って言うかもうそろそろ俺達のやることにあえて大佐が付いてこなきゃならねぇ理由がねぇからな。だからマルクトとしちゃ大佐の処分を優先するためにキムラスカとダアトとの話し合いに連れていくなんてことはないと思うぜ」
「成程、そうなるか・・・」
ピオニーがいなくなりカミュがデスマスクにジェイドの事について予想を聞くと、ここでリタイアと気楽に告げる姿に納得する。
「ま、その事に関しちゃもう俺らに関係ねぇ事だ。あの皇帝様だからどういう処置を施したのか報告してきそうな感じはするが、それで終わりだろ・・・あの大佐殿と俺達の関係はな」
「そうなるだろうな・・・」
そしてまとめとばかりにジェイドとの関係が無くなるとデスマスクがニヤリと言えば、アイオロスもまた納得する。そうなるのは目に見えると。
「さて・・・んじゃ後はゆっくり過ごさせてもらおうぜ。キムラスカとマルクトとダアトの会談がまとまるまで時間はあるしよ」
「あ~・・・ならそれまでの間色々と俺に教えてくれよ。聖域の事とかもそうだけどそっちの世界の事をさ・・・」
「あ?なんでいきなりそんなことを言い出したんだ?」
「・・・兄上以外からも色々話を聞きたいと思ったからなんだけど、ダメ・・・だったか?」
「・・・はっ、構わねぇよ。どうせ時間はあるしな」
それでこの話は終わりとまとめようとした時にルークがおずおずとしながらもデスマスクにうかがうように話が聞きたいと言ってきたことに、愉快げに頷いた。満更でもないと言った様子で。









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