まとまりを見せる全体、反感を浮かべる個

「現状でジェイドのやったことに関して、公にするだけなら簡単だ・・・だがしかし、今の時点でそうするのは少々面倒なんだ。主に国交の事を考えるとな」
「国交って・・・」
「タルタロスの襲撃の件があったろ?あれは謡将に大詠師達の指示の元に行われたもんだが、敵の襲撃を未然にとは言わずともまともに戦うような形で防げなかった事を考えると大佐殿にも責任の一端はある・・・が、ここで一つ問題なのはどっちに責任の比重があるのかって事だ」
「比重?」
「別にタルタロスの事に限ったことじゃないが、あの大佐殿の行動ってのは大佐殿に全部責任があるかって言われたら微妙なラインなんだよ。ぶっちゃけて言ってしまったらタルタロスの件もどっちが絶対に悪くないなんて言えない状況どころか、今の状況を考えたら謡将達の責任問題にしちまった方が手っ取り早いんだ。大佐殿の責任も存在するとは言ったが、そう言ったことを表面化したら色々と検証とかもしなきゃいけなくなるがそうしたら時間がかかるし・・・何より問題になるのは今までの知られたらまずいことまでもが世界に知られかねないことになる。下手をしたらな」
「っ!?・・・それは・・・」
ピオニーはそこから国交と言い出すのだがどう重要なのかをイマイチ把握しきれていないルークにデスマスクが説明をしていくが、知られたらまずいことと聞き顔色を悪くする・・・感じたのだろう。自分の事実までもが明かされた上で、世界が未曾有の混乱に陥りかねない事態になることを。
「そんな事になりゃ事態の収集が出来るかどうか、正直予測はつかせにくい。だからそんなことになるならいっそ、比重が微妙な大佐殿の責任問題に言及しない方が安全なんだよ。これからの事を考えるならな」
「そういうことなのか・・・」
「・・・だがそうすれば、ジェイドに対しての罰を与えることが出来なくなる。それが俺と臣下が最も懸念している事だったんだが・・・配置場所さえ間違えなければ、と言ったな?それは一体どういうことなんだ?」
更にジェイドは下手につつかない方がいいと語るデスマスクにルークも複雑そうに納得するのだが、ピオニーは真剣に配置場所と言った事についてを問い質してくる。
「確かに現状で大佐殿に対して全部の責任を追求するのは難しいでしょう。しかしだからと言って、大佐殿に対して何かの手を打つ事は止めたくない・・・と言うのが陛下の考え方ですね?」
「・・・確かにそうだ」
「ですが今言ったようそうすることは難しくありますし、何より大佐殿自体も自分だけが悪い訳ではないと返すことでしょう。しかし、大佐殿の責任の比重が大きくそれでいて国交などに影響を及ぼさない事が残っています・・・それは、漆黒の翼の追跡です」
「っ・・・神託の盾にタルタロスが襲われる前の時の事か・・・」
そんな目にデスマスクは話を続けていくのだが、漆黒の翼の話題にピオニーはハッとして声を上げる。
「あれに関してはハッキリと申し上げるなら、大佐殿の準備不足がもたらしたことと言えるでしょう。ただ当人は犯罪者を見逃す訳にはいかなかったと言うでしょうが、それを差し引いてもローテルロー橋が壊れたことは多大な損害をもたらしたことは間違いないはずですが・・・いかがですか?」
「あぁ・・・ローテルロー橋の修理は最近になってようやく達成したとの報告は入ったが、それまでエンゲーブからローテルロー橋を使い陸路でケセドニアまで輸出していた食料を全く別のルートで送らねばならなくなったからな。その間食料の流通の流れが停滞したことに、その運搬方法に多大な金がかかったのは確かだ・・・」
「そう、それを利用するんです」
それでローテルロー橋の被害についてを聞くデスマスクにピオニーも律儀に答えていくが、そこにあると人の悪い笑みを浮かべる。










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