まとまりを見せる全体、反感を浮かべる個

「・・・話を続けますが、お二方を一緒にするには陛下と公爵様がそうするように動いていただく必要があります。今の状況でお二方が話を聞くとしたならお二人の言葉でなければなりません」
「うむ、それは大丈夫だが・・・二人をただ一緒にして大丈夫なのか?」
「無論、理由もなくお二人を共にすれば何事かという疑問が当人達から生まれることでしょう。それでですが、公爵様からお聞きしましたが今ナタリア様はアクゼリュスに向かう前より量が少なく簡単な公務を行っていますね?」
「む・・・確かにそうだが、それがどうしたというのだ?」
「それを利用するのです。しばらくの間と前置きをした上で『ルーク様』に公務を覚えていただくようにとナタリア様に指導役をするようにと」
「っ・・・つまりは公務を理由に二人を一緒にするようにと言うのか?」
「はい。公務をそのような形で用いることについては申し訳無い気持ちはあります。ですが今の状況で不自然でない程度でいて、二人の不満を抑えられる手段はこれくらいしかないかと思われます」
「・・・むぅ・・・確かに頷ける所があるな。今の状況としてナタリアが『ルーク』の所に行くのは時間があるからでもあるし、何よりも『ルーク』が荒れている理由として大きいのはナタリア以上に時間が有り余っているからと聞く・・・それならそなたの言うようにいっそやることを与え、二人をまとめた方がいいかもしれぬな・・・」
カノンは引き続きそうする為の手段についてを懇切丁寧に説明し、インゴベルトは納得しつつも重くブツブツと呟く・・・カノンが公務を利用すると言ったのは感情を抑えきれぬ二人を押さえるという本来あってはならぬ理由の為ではあるが、アッシュとナタリアのそれぞれの裏事情を鑑みれば何か起こされる事の方が一大事になり得るとインゴベルト自身も感じた為に。
「・・・カノン、お前は一時的な処置と言ったがそれはどれくらいを目処として言っている?」
「・・・6ヶ月程が限界かと思われます。簡単な公務を回し公務に慣れていただくと言ったようにしても、お二方がずっとその状況に納得していただけるとは思えません。早ければ3ヶ月もしない内にはどちらかの堪忍袋の緒が切れるかとは思いますが、少なくとも二月はなだめるように言葉をかければ不満の言葉は出ても理由が理由の為にお二方も本格的な抗議に至るまではならないかと思われます」
「3ヶ月から6ヶ月・・・それだけしかないのか、それだけあると言えるのか何とも言えぬ時間だな・・・」
「先程も言いましたよう、これはあくまでも一時的な処置です。重要なのはあくまで、その間にどれだけお二方に対する対策を取るかと同時にこのような言い方はどうかとは思いますが・・・意識の改革を施せるかになるかと・・・」
「っ、施す・・・嫌な言い方だが、確かに二人の事を考えるとそうせざるを得ないか・・・」
次に公爵が一時的という言葉に具体的に説明を求めカノンはまた説明をするのだが、少し苦い顔を浮かべた施すとの言葉につられて苦い顔を浮かべる。言葉は悪くとも二人の事を考えれば察してもらうのが難しく、また教育という形にしても二人が素直に受け入れるか怪しいとしか言えず・・・それこそ相手の意識を改革するために、処置を施すしかないために。









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