まとまりを見せる全体、反感を浮かべる個

・・・それでカノン達は城の中に入り謁見の間に行くのではなく、インゴベルトの私室へと向かった。



「・・・戻ってきたか、カノン」
「はい。では早速ですが、ダアトに向かった際の事を説明致します。謁見の間では話せぬ事も多々あることを承知の上でこちらに呼んでいただいたのですから、ここで全てお話しさせていただきます」
「うむ、頼む」
自室に来たカノン達を迎える中で早速との声に、インゴベルトは頷く。カノンの言う通り王の私室に招いたのは人の目を気にしないよう、公爵とも話をした上でそうすると決めていた為に。


















・・・そこからカノン達は起こった事を説明した、聖闘士としての事にアテナのこともまとめて。その中身に公爵は驚きを隠せなかったようだが、カノンの話と小宇宙を見せたことにより一応は納得してもらう形になった。

それでその問題について解決した後は改めてダアトにユリアシティで起こった事を説明した。



「・・・というのが今までの経緯になります」
「・・・うぅむ・・・まさかローレライがそんな形で地上に来たとは・・・」
「確かにそれも驚きではありますが・・・現状で問題になるのはやはり、外殻大地に第七音素をどうにかせねばオールドラント自体が滅びかねないと言う事でしょう・・・」
「・・・確かにそうだな・・・そして、預言による滅びを脱却するためには預言を詠まないようにしなければいけないということがまたな・・・」
そして説明も終わった所でインゴベルトと公爵は顔を見合わせ、互いに苦い表情になる。その話の中身の重さに。
「そう遠くない時間でアイオロス達もグランコクマに着き、ピオニー陛下に今の話をするでしょう。おそらくは陛下に公爵様と同じような気持ちを抱かれるかと思われますが、同時にキムラスカにダアトと話をせねばならぬと思われることでしょう」
「・・・先程の説明の中に出てきた会談のことか」
「はっ。あくまで我々の話の中で出てきた物ではありますが導師達は協力は惜しまぬとの旨をいただいておりますし、何よりこれよりの事を思えば直に顔を合わせて話をするべきかと思われます。書簡に代理を立てての話し合いなどでは行き違いが有り得ますし、何より人々に事実を受け入れてもらうためには各国首脳陣が集まらねばならぬ程の事態だと思っていただいた方がいいでしょうから」
「・・・確かにそうだな。それだけの事を片手間に知り伝えるだけで人々がそれを受け入れるとは到底思えぬしな・・・」
カノンは二人の空気を見て会談についてを切り出し、その重要性についてを語るとインゴベルトもその事を理解して考え込む。
「・・・とりあえずそれらについてはマルクトより手紙が来るまでにはこちらで臣下に伝えようと思う。多少言葉を濁す形でな・・・流石にローレライや別の世界の神の存在であったり、預言の中身をそのまま臣下に伝える訳にもいかないだろうからな」
「そうしていただけると助かります」
「そちらについては我々の仕事だ。任せてくれていい・・・ただその代わりといってはなんだが、お前達に頼みたいことがあるんだが・・・」
「その事についてでしたら見当はついております・・・あのお二人の事でしょうか?」
「・・・うむ、覚えていてくれたか」
公爵がその流れを汲んで話をしていき対応についてを口にするのだが、途中で歯切れの悪くなったその様子にカノンが察する。アッシュとナタリアについて、どうするべきかを改めて聞きたいのだと。










4/20ページ
スキ