まとまりを見せる全体、反感を浮かべる個
・・・そして辿り着いたファブレ邸の前、カノンは入口にいる二人の内の一人の兵士に話し掛ける。
「すまない、公爵様は屋敷におられるか?」
「カノンか・・・あぁ、今は屋敷におられるしお前が来たならすぐに連絡をするようにと承っている。少し待っていろ」
「あぁ、すまない」
そのまま自然に話し掛けるカノンに兵士も自然に対応し、屋敷の中に入っていく。
「・・・なぁ、カノン。お前、ファブレに戻るつもりはないのか?」
「・・・なんだ、藪から棒に?」
すると残った兵士からファブレに戻るつもりはと聞かれるのだが、戻ってほしいと言わんばかりの願いがこもっていることにカノンはある程度の予感を感じながら先を促す。
「・・・ここだけの話にしてほしいんだが、お前がファブレを出てからルーク様がまるで別人のようになってしまった・・・」
(・・・別人のようにも何も、別人なんだが・・・だがこれは予想通りと言えば予想通りだな。不満が出てくることは)
そるで兵士が周りを確認してからそっと切り出した悲痛な声に、内心でカノンは苦笑気味に考える。
「いや、それだけではない・・・ナタリア様もルーク様の記憶が戻ってからと言うものの、ほぼ毎日ファブレ邸にまで来るようになった・・・正直に言ってそのようなことは止めさせたいのだが、俺達の言葉では二人を止めることが出来ないばかりかむしろ怒りを買う可能性が高くて・・・」
「・・・それで俺に二人のストッパーを、ということか・・・」
だが次々漏らされる切実な声にカノンも思うところがあると表情に浮かべる、アッシュとナタリアの事に関してを。
「・・・わかった。この話についてはここだけの事にしておく。ただ俺はそのつもりはないが、出来る限りどうにかしてみたいとは思う」
「・・・そうか。すまない、ファブレを辞めたお前にこんなことを言ってしまって・・・」
「気にするな。俺としても何もしないというのも目覚めが悪いからな」
それでカノンは公爵との会話については口にせず行動の約束をし、兵士の心からのまいったとの声に穏やかな笑顔を見せる。
『・・・大分まいってるようだな、屋敷の人々は』
『話には聞いてはいたが、この数日でこうとはな・・・』
『アイオロスの言った通り、こちらにルークを連れてこなくて正解だったようだね。と言うよりは後何回バチカルに来るかは分からないが、その時もルークは連れてこない方がいいだろう。アッシュの怒りもそうだが、インゴベルト陛下に公爵の気が変わった時が厄介な事になりかねなくなる可能性があると思う』
『・・・考えられん可能性ではないな』
それで兵士が引き下がったのを見てミロが小宇宙の通信でカノンに話し掛けるのだが、続いたアフロディーテから意味深に向けられた言葉にカノンは苦く声を漏らす。
・・・アフロディーテがハッキリ明言しなかったのはまだ可能性が低いからと言うのもあるが、今のままのアッシュの状態が続いたなら二人が決断しかねないと本気で思ったからだ。屋敷に戻ってきた扱いにくいアッシュを廃し、再び扱いやすいルークを据えることでやりやすく済ませるのではないかと。
そしてそうアフロディーテが言いたいのだと言うこともカノンは理解したからこそ苦い気持ちを抱いたのだ。アッシュにナタリアが想像以上に我が強いこともだが、何もしなければルークが再びその中に巻き込まれるかもしれないということに。
・・・そのように苦しい気持ちを抱えつつも表面上は何もないといったように待っていたカノン達。
「・・・すまないな、待たせた」
「いえ、気になさらないでください」
そこに屋敷の中から現れた公爵が来て、カノン達は頭を下げる。
「とりあえず陛下の元に行くぞ。陛下もお前達の帰還を心待ちにしているからな」
「はい、ではまいりましょう」
そしてすぐに公爵から城に向かうように言われ、カノンが頷いた後に四人は城へて足を伸ばす。
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「すまない、公爵様は屋敷におられるか?」
「カノンか・・・あぁ、今は屋敷におられるしお前が来たならすぐに連絡をするようにと承っている。少し待っていろ」
「あぁ、すまない」
そのまま自然に話し掛けるカノンに兵士も自然に対応し、屋敷の中に入っていく。
「・・・なぁ、カノン。お前、ファブレに戻るつもりはないのか?」
「・・・なんだ、藪から棒に?」
すると残った兵士からファブレに戻るつもりはと聞かれるのだが、戻ってほしいと言わんばかりの願いがこもっていることにカノンはある程度の予感を感じながら先を促す。
「・・・ここだけの話にしてほしいんだが、お前がファブレを出てからルーク様がまるで別人のようになってしまった・・・」
(・・・別人のようにも何も、別人なんだが・・・だがこれは予想通りと言えば予想通りだな。不満が出てくることは)
そるで兵士が周りを確認してからそっと切り出した悲痛な声に、内心でカノンは苦笑気味に考える。
「いや、それだけではない・・・ナタリア様もルーク様の記憶が戻ってからと言うものの、ほぼ毎日ファブレ邸にまで来るようになった・・・正直に言ってそのようなことは止めさせたいのだが、俺達の言葉では二人を止めることが出来ないばかりかむしろ怒りを買う可能性が高くて・・・」
「・・・それで俺に二人のストッパーを、ということか・・・」
だが次々漏らされる切実な声にカノンも思うところがあると表情に浮かべる、アッシュとナタリアの事に関してを。
「・・・わかった。この話についてはここだけの事にしておく。ただ俺はそのつもりはないが、出来る限りどうにかしてみたいとは思う」
「・・・そうか。すまない、ファブレを辞めたお前にこんなことを言ってしまって・・・」
「気にするな。俺としても何もしないというのも目覚めが悪いからな」
それでカノンは公爵との会話については口にせず行動の約束をし、兵士の心からのまいったとの声に穏やかな笑顔を見せる。
『・・・大分まいってるようだな、屋敷の人々は』
『話には聞いてはいたが、この数日でこうとはな・・・』
『アイオロスの言った通り、こちらにルークを連れてこなくて正解だったようだね。と言うよりは後何回バチカルに来るかは分からないが、その時もルークは連れてこない方がいいだろう。アッシュの怒りもそうだが、インゴベルト陛下に公爵の気が変わった時が厄介な事になりかねなくなる可能性があると思う』
『・・・考えられん可能性ではないな』
それで兵士が引き下がったのを見てミロが小宇宙の通信でカノンに話し掛けるのだが、続いたアフロディーテから意味深に向けられた言葉にカノンは苦く声を漏らす。
・・・アフロディーテがハッキリ明言しなかったのはまだ可能性が低いからと言うのもあるが、今のままのアッシュの状態が続いたなら二人が決断しかねないと本気で思ったからだ。屋敷に戻ってきた扱いにくいアッシュを廃し、再び扱いやすいルークを据えることでやりやすく済ませるのではないかと。
そしてそうアフロディーテが言いたいのだと言うこともカノンは理解したからこそ苦い気持ちを抱いたのだ。アッシュにナタリアが想像以上に我が強いこともだが、何もしなければルークが再びその中に巻き込まれるかもしれないということに。
・・・そのように苦しい気持ちを抱えつつも表面上は何もないといったように待っていたカノン達。
「・・・すまないな、待たせた」
「いえ、気になさらないでください」
そこに屋敷の中から現れた公爵が来て、カノン達は頭を下げる。
「とりあえず陛下の元に行くぞ。陛下もお前達の帰還を心待ちにしているからな」
「はい、ではまいりましょう」
そしてすぐに公爵から城に向かうように言われ、カノンが頷いた後に四人は城へて足を伸ばす。
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