神と神と崇められる存在

「ではこちらはお任せください。市長を含めてユリアシティの人々の気持ちを落ち着かせるように尽力させていただきますし、アテナさん達も細やかですがおもてなしをさせていただきますので」
「ではよろしくお願いします、導師」
「こちらの事は気にせずに事に挑みなさい、カノン。この世界の為にも」
「はっ・・・では我々はこれで失礼します」
イオンが出発の空気となり後の事について言い出し、アテナも笑顔を浮かべながら激励の言葉をかけてきたことにカノンはうやうやしく頭を下げた後にアイオロス達と共に場を後にしていく。






「・・・さて、外殻大地に戻ってきましたね」
・・・それでユリアシティからアラミス湧水洞に戻ってきたカノン達の中、ジェイドが仕切り直しとばかりに声を上げる。
「それでどうしますか?二手に分かれるとは言いましたが、どのように分かれるか考えていますか?」
「あぁ・・・カノンはキムラスカ、大佐にルークはマルクトに行った方がいいだろうというのが俺の見解だ」
「えっ・・・俺が、カノンと離れてマルクトに・・・?」
そのままどう行くかをアイオロスに聞くジェイドだが、その中身にルークが愕然としたよう表情を崩す。
「勿論それには理由がある。それはしばらくバチカルに滞在しなければならない中で、ルークがバチカルに行ったなら必然的に人の目を避けねばならぬ生活をしなければいけなくなるからだ」
「っ・・・それって、アッシュの事があるからか・・・?」
「そうだ。今の状況で『ルーク』という存在が二人いるなどといった情報が錯綜するような事態は避けたいんだ。ふと誰かに見られてそう言った噂が立てば何が起こるか分からないからな。そう言った事をバチカルにいても避けたいのなら宿に行き人に見られないように引きこもる以外にないが、それはルークも嫌だろう?」
「それは・・・うん、そう言った事は避けた方がいいよな・・・」
アイオロスもその気持ちを汲み取ってすぐにその訳を真剣な眼差しを浮かべて言うのだが、『ルーク』という存在の事についてを当事者として誰よりも重く感じるルークは暗く顔を落としながら頷く。言っている事は間違いではないと思うからこそ、カノンと離れる事を我慢せねばならぬと思い。
「・・・ルーク、気を落とすな。何もこれが今生の別れという訳ではない」
「うん、分かってるんだけど・・・」
「・・・合流したらいっぱい相手をする、約束だ」
「・・・うん、わかった」
そんなルークにカノンは元気を出すように微笑を浮かべつつその頭をなで、ルークは少し気恥ずかしげに頬を赤くしながら頷く・・・その姿は例え髪の色が違おうとも、兄弟と言って差し支えない光景だった。
「・・・んじゃま、誰がどっちに行くかってのは歩きながらでも決めるか。俺らは別にどっちでも良さそうだしな」
「そうだな」
そんな光景におどけるように肩を上げながらもメンバー分けの事にデスマスクが口を開けば、ミロも微笑ましげに頷く。周りを見てもジェイドを除いてアイオロス達も同じように微笑む形で。









END











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