神と神と崇められる存在

「ですからこそ私は貴殿方の傀儡になるつもりはないと申し上げたのです。都合のいい事実のみを求め、自分の意志を持たない人に力を貸す気はありませんので」
「うっ・・・くぅ・・・っ!」
アテナがキッパリと告げた意志の強い言葉に、市長は反論したそうにしながらも悔しげに声を押し留める。否定しようにも否定しきれないと市長自身感じたのだろう、預言に都合のいいだけの中身を求めていることを。
「・・・ですが貴女は今こうやってここにいる。預言を良しとしないカノンさん達の意志を尊重して助ける為に」
「はい、そうなります」
『ただ・・・本来ならその役目は我が為さねばならぬことだったのだがな・・・』
「ローレライ・・・?」
イオンがそこに真剣に入りアテナが答えるのだが、ローレライが発した無念をはらむ声に心配そうな視線を向ける。
『・・・我が産まれたのは偶然か必然かはさておいても、ユリアもだが我自身も預言に詠まれた未来を覆したいという気持ちは偽りではない・・・だがそれを我はなし得ることが出来なかった・・・聖なる焔の光が産まれるのを待つまで何も出来ず、その上でその聖なる焔の光に助けを求めねば地核から出ることすら叶わぬ身であった・・・情けないことにな・・・』
「ローレライ・・・」
自らの非力を嘆き、自嘲するローレライの姿に一同は悲痛に顔を歪める。神とまで崇められる存在が隠しもせず後悔を口にする様子があまりにも痛々しかった為に。
「ですが、まだ貴方はやり直せる位置にいます。この世界も・・・」
『アテナ・・・』
「貴方の無念は少なからず私にも感じ取れました・・・ですが今は後悔を口にするのではなく、行動に起こすべきではないのですか?この星の滅びの命運を変えるためにも」
『・・・そう、だな。貴女の言う通りだ。今は行動するべきであろう』
しかしアテナが優しく微笑を向けて励ますような言葉を向けてきたことに、ローレライも心なしか晴れ晴れとしたように返す。やるべき事をやると決め。
「・・・話がまとまったのはいいけれど、実際これからどうするんだ?ローレライが来たのはいいけど、この調子でどう話を進めるべきか俺わかんねぇんだけど・・・」
「あっ・・・そう言えば確かにそうかも・・・」
そんないい空気にルークが気まずげに頭をかきながら声をかけ、アニスもハッとして同意する。
「その点に関してですが、まずローレライにお聞きします。障気をどうにか消すには超震動の力が必要ですね?」
「っ!超震動・・・?」
『あぁ、その通りだ』
「っ・・・何故、それがわかったのですか?」
アテナはその声を受けて自身の推測を口にしトリトハイムが驚くのだが、平然とローレライが肯定を返したことにジェイドが何故分かったのかと訳を問う。
「簡単に言うなら同質の存在でなければ障気を消せないと見たからです。第七音素は周りの環境に融和しやすいのは障気から想像はしていましたが、反面として染まってしまえばその障気という形で無理に消すことも介入することも生半可な手では不可能・・・ですから同じ第七音素でありながらも強いエネルギーを有し、気体すら壊せるであろう超震動なら可能だろうと感じたのです」
「・・・成程、そう言った確信があったということですか・・・」
・・・アテナは身分を隠すためとはいえ、城戸光政の愛娘として育てられてきた為に人間としての学も高い。
自身の考えを淀みなく告げるその姿にジェイドも反論などせず、納得の様相を浮かべる。少し不満げとも取れるように。











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