聖闘士と冥府の誘い

「では早速本題に入りましょう・・・我々が導師と共にいる理由は、キムラスカとの和平に向かう為です」
「和平?随分と思いきった発想ですね。現状においてキムラスカとマルクトはきっかけがあればいつでも戦争に発展してもおかしくはない。それで今和平とは・・・それも今ダアトから消えたと話題に上がっている導師と共に」
「はい・・・僕はマルクトから和平の仲介をしてほしいと依頼を受け、内密にダアトを抜け出したんです。当時僕はモースの手の者により、軟禁状態でしたので・・・」
「っ・・・!」
「イオン様、それは何かの間違いです。モース様がそのような事をするはずがありません」
まずはとすぐにジェイドから和平の話題が持ち上がり、カノンは今の国家間の情報を上げつつもイオンの方を見る。それでイオンはマルクトに乞われた上でモースの軟禁を逃れてきたと言えば、アニスは少し苦そうな顔になりティアがたまらずモースの事を援護してくる。
「・・・導師、失礼ですがそちらの娘が何をしたか承知の上でここに連れて来られたのですか?」
「え?」
「だから言ったじゃない!私の事はあくまで個人的な事よ!迷惑をかけたのは謝るけどあんなに殴られるような事はしてないわ!」
「・・・成程、事情は話されてはいないようだ」
今度はカノンがたまらず話題を反らしてまでイオンにティアの事は聞いたかを聞くが、当の本人が明らかに話してないと分かるようまた関係無いと言って怒り具合を見せたことですぐに納得する。
「・・・すみません。貴方に殴られて気を失っていたとティアから聞いたのですが、一体どのような経緯で貴殿方はこのマルクトまで来たのでしょうか?そもそも僕達はティアから事故でルークとタタル渓谷に飛ばされたとしか聞いていないので、詳しい経緯をお聞きしたいのですが・・・」
「・・・いいでしょう、お話します。こちらとしても是非導師に聞いていただきたい話ですからね」
その様子に真剣な面持ちで話を聞きたいと言うイオンに、カノンはうやうやしく了承で返す。
「ちょっと貴方、何を勝手に言ってるの!それはイオン様には関係無い話よ!」
「関係無い?導師が聞きたいとおっしゃっているのに、導師のその意向を無視するというのかお前は?」
「うっ・・・そ、それは・・・」
だが自分の思うよう話が進まないティアはすかさず批難めかせた怒声を向けるが、明らかに自分本位でしかない発言にイオンを引き合いに出しカノンが反論すればすぐさま言葉を失い視線をさ迷わせる。
「と言うわけです。少々時間を取りますが、構いませんか?」
「・・・いいでしょう。こちらも何故キムラスカの王族の方がマルクトにいるか、知りたいと思っていましたからね。どうぞ、お話しください」
「・・・っ!」
すかさずカノンが今度はこのタルタロスの責任者であるジェイドに時間を取っていいかと丁寧に話題を振れば、こちらもすんなり頷いた為ティアの表情がひきつって固まった。
「ではお話ししましょう。ファブレで何が起こったのかの経緯と何故そこの女を気絶させたのかを・・・」
だがティアになど気を遣う事をするつもりの一切ないカノンは話を始める。ファブレ襲撃の事件の時からの経緯を・・・








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