神と神と崇められる存在
「私はこの世界に来たばかりですのでハッキリとは分かりませんが、神は存在はします。私のように人の前に降りてその身を現す神はそうはいませんが、私は神と人々の前で名乗ってはいません。そして自分の力を無為にひけらかすような事をする事もしてはいません・・・では何故神がその力を行使しないか、皆様は分かりますか?」
「・・・私からすればその力を人々の為に行使せず、ただ黙っているのかという方が愚かだ。神と呼ばれその名に相応しい力を持っていると言うのなら、我々を救い導くのが神の勤めでしょう・・・」
「では貴殿方は神が死ねと命じたなら、喜んで命を差し出せますか?」
「はっ・・・!?」
アテナはゆっくり一つ一つ投げ掛けるように言葉を紡ぎ柔らかく問い掛けるが、市長はどんどん苛立ったように答えを返す。だがアテナからいきなり死を持ち出された事にたまらず驚愕に声を漏らす・・・その時にデスマスクはあからさまに口元を愉しげに歪め、他の聖闘士達は空気を固くした。地球にあるようなカルト教団と違い、ローレライ教団の人間ではまず間違いなく辿り着けない限界を察し。
「神という存在が皆横暴な存在と言うわけではありませんが、だからといって人々の事だけを考えてくれるような神がいるわけではありません。これは価値観の相違もありますが、神と人という存在の在り方の違いもあります」
「だ、だといってもいきなり何故命を差し出せるかなど・・・」
「私の知る神は忠実な部下であるはずの人間をためらいなく殺しました。意に沿わない事があったからと殺す必要もないのにです」
「「「「!?」」」」
聖闘士達に構わず淡々と話を進めるアテナに市長は突飛な事を言った訳を言えとばかりに狼狽したように声を漏らすが、かつて戦った神・・・タナトスがパンドラを殺した時の事を持ち出し、市長に教団の人間達は揃って驚きに身を震わせた。神が人をためらいなく殺した事に。
「私は人と共に歩むことを決めましたが、全ての神が人という存在に対して好意的だというわけではありません。というよりは人と神の理が違う事もあり、その価値観は人とは全く別の物であると言えます・・・もし神が貴殿方に手を伸ばしたとしても、貴殿方が望むような形で手を差し出すとは限りません」
「そ、それが死だと言うのですか・・・?」
「私が戦ってきた神でしたら人々に死を強いる事でしょう。他の神はそもそも地上に関心を持ちませんし、神が手を貴殿方に差し出すなら貴殿方の自主性と言うものを重んじるとは思えません。それこそ自分の言うことだけを聞くことを求めるでしょう。貴殿方の気持ちに考えなど知るよしもなく・・・そうなったとしたなら貴殿方は素直に神の言葉だからと受け入れる事は出来ますか?」
「そ、それは・・・受け入れる事など、出来ません・・・」
そしてアテナが神がいかな考え方に行動を取るかを告げた上で受け入れられるかと問えば、市長は力なくうなだれながら首を横に振る。が、すぐに市長はハッと顔を上げアテナに鬼気迫る表情を向ける。
「で、では貴方が我々を救って導き下さればよろしいのではないのですか!?今こうしてこの世界にまで来ていただいたのですから!」
まるでそれこそが正論であると言わんばかりに大声を上げる市長に、デスマスクは明らかに呆れを浮かべて肩を竦める。目の前の神を都合のよい存在として、救いを求める在り方に。
「・・・神とはそのような都合のよい存在ではありません」
「っ・・・!」
だがその甘さに対して真剣な声で返すアテナに市長は迫力負けをしたように息を呑む。
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「・・・私からすればその力を人々の為に行使せず、ただ黙っているのかという方が愚かだ。神と呼ばれその名に相応しい力を持っていると言うのなら、我々を救い導くのが神の勤めでしょう・・・」
「では貴殿方は神が死ねと命じたなら、喜んで命を差し出せますか?」
「はっ・・・!?」
アテナはゆっくり一つ一つ投げ掛けるように言葉を紡ぎ柔らかく問い掛けるが、市長はどんどん苛立ったように答えを返す。だがアテナからいきなり死を持ち出された事にたまらず驚愕に声を漏らす・・・その時にデスマスクはあからさまに口元を愉しげに歪め、他の聖闘士達は空気を固くした。地球にあるようなカルト教団と違い、ローレライ教団の人間ではまず間違いなく辿り着けない限界を察し。
「神という存在が皆横暴な存在と言うわけではありませんが、だからといって人々の事だけを考えてくれるような神がいるわけではありません。これは価値観の相違もありますが、神と人という存在の在り方の違いもあります」
「だ、だといってもいきなり何故命を差し出せるかなど・・・」
「私の知る神は忠実な部下であるはずの人間をためらいなく殺しました。意に沿わない事があったからと殺す必要もないのにです」
「「「「!?」」」」
聖闘士達に構わず淡々と話を進めるアテナに市長は突飛な事を言った訳を言えとばかりに狼狽したように声を漏らすが、かつて戦った神・・・タナトスがパンドラを殺した時の事を持ち出し、市長に教団の人間達は揃って驚きに身を震わせた。神が人をためらいなく殺した事に。
「私は人と共に歩むことを決めましたが、全ての神が人という存在に対して好意的だというわけではありません。というよりは人と神の理が違う事もあり、その価値観は人とは全く別の物であると言えます・・・もし神が貴殿方に手を伸ばしたとしても、貴殿方が望むような形で手を差し出すとは限りません」
「そ、それが死だと言うのですか・・・?」
「私が戦ってきた神でしたら人々に死を強いる事でしょう。他の神はそもそも地上に関心を持ちませんし、神が手を貴殿方に差し出すなら貴殿方の自主性と言うものを重んじるとは思えません。それこそ自分の言うことだけを聞くことを求めるでしょう。貴殿方の気持ちに考えなど知るよしもなく・・・そうなったとしたなら貴殿方は素直に神の言葉だからと受け入れる事は出来ますか?」
「そ、それは・・・受け入れる事など、出来ません・・・」
そしてアテナが神がいかな考え方に行動を取るかを告げた上で受け入れられるかと問えば、市長は力なくうなだれながら首を横に振る。が、すぐに市長はハッと顔を上げアテナに鬼気迫る表情を向ける。
「で、では貴方が我々を救って導き下さればよろしいのではないのですか!?今こうしてこの世界にまで来ていただいたのですから!」
まるでそれこそが正論であると言わんばかりに大声を上げる市長に、デスマスクは明らかに呆れを浮かべて肩を竦める。目の前の神を都合のよい存在として、救いを求める在り方に。
「・・・神とはそのような都合のよい存在ではありません」
「っ・・・!」
だがその甘さに対して真剣な声で返すアテナに市長は迫力負けをしたように息を呑む。
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