神と神と崇められる存在

「・・・お待たせしました。この通りローレライをお連れしました」
「い、いえ・・・それよりローレライが貴女の事を神とおっしゃっていましたが・・・」
「その事については説明が必要だと言うのなら後でお話します。今はローレライと事態の解決について話をする事が重要です」
「・・・はい、分かりました。私としても是が非でも確認せねばならぬ事がありますからな・・・」
『・・・預言の中身についてか』
そろでカノン達と直接話せる距離に戻ってきたアテナ達に市長は疑問を向けるが、事態の解決が先との事にローレライへと嘘だと言ってほしいとばかりの哀願がこもった目を向ける。が、ローレライは分かっていた事とばかりに呟く。
『・・・ここに呼び出される時にアテナより事情は聞いたため、そなたが願うことについてはおおよそは見当はついている。そなたは第七譜石に詠まれた預言が嘘だと思いたいのだろうが、それは間違いではない。預言通りになり、プラネットストームが動き続けたならオールドラントが迎える結末は避けえることの出来ない滅び・・・それ以外にはない』
「っ!?・・・そ、そんな・・・」
そのままローレライが取り繕うことなく告げた市長にとって・・・いや、預言を信じる者にとっての最悪な結末に市長に詠師陣が愕然として顔色を青くする。
「・・・失礼。貴方のその出で立ちに第七音素の量から見て、貴方がローレライであることは確かな事だと思います。ですがだとするなら、今まで貴方はどこにいたというのですか?アテナの言葉では貴方は星が滅びを避ける為に自ら産み出した存在のようなものだとお伺いしたのですが、それが本当だと言うのなら何故オールドラントの歴史の中で今まで姿を見せなかったのでしょうか?」
『・・・その質問に関しての答えだが、我は地核にいた。姿を見せなかった訳に関しては、正確には地核から出られなくなったからだ』
「出られなくなった?」
大人しくなった市長に代わりジェイドが今度は二つの質問を投げ掛けるが、後半の答えに眉を寄せる。
『・・・今から話すことは紛れもない事実だが、我は創成歴時代にユリアと共にいた時に幾度となくユリアに我を求める輩に追われる事があった』
「っ、それは何故・・・?」
『預言があまりにも的中する事、その上で我らを囲い預言と共に大義名分を得ようとその者らが企んだが為だ。そしてその彼らが我らの言葉を聞いてくれることはなかった・・・その時には預言は必ず起こり得る物か、もしくは世界の繁栄に無くてはならぬものという認識になっていたのだ。我にユリアが願ったように滅びを避ける為に動くのではなく、預言の正確さだけが一人歩きして預言を詠んだ本当の意味を説いたユリアの訂正の言葉など受け付けぬ程にな・・・』
「そんな、事が・・・」
それでローレライは創成歴時代の頃の事を話すが、まさかと言うようイオンがその境遇に訳を問う。ローレライはその時の事を自身だけでなくユリアの無念までもを含めたように語り、イオンも悲し気に声を漏らす。
『・・・話を戻すが、その逃亡を続けていく内に我らは追い詰められ捕まりかけた時が来た。そしてそこで我らが二人とも捕らわれでもしたなら取り返しのつかない事態になりかねない・・・そう言ってユリアは我を鍵と共に地核に放り投げたのだ。いつか来る日のために我が失われるような事になってはならぬと』
「我が失われるような事って、なんでそんなに危機を抱いていたんですか?」
『預言が滅びを指し示したもの・・・我らの身柄を求める者がその事を聞いて、それをまともに信じる可能性が低いと考えたからだ。そしてそうなれば当時の技術がまだ衰退しきってなかった事から、我を封印するか消せる譜業などが存在する可能性もあった。故に我が消えてしまえばどうしようもなくなることを懸念したというわけだ』
「そう、だったんですか・・・」
そのまま自身が地核にいた経緯・・・歴史の闇を話すローレライに何故そこまでとイオンは再度問うが、慎重を期せざるをえなかったと語る様子に複雑そうに表情を歪める。







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