神と神と崇められる存在

『無駄、と言うよりは無作為か人為的に起こしたかの違いと言えるでしょう。ですが本来ローレライ・・・いえ星が求めているものは預言の達成などではなく、その預言という形で見えた記憶からの逸脱であると私は思っています』
「・・・ですが今、カノンさん達の行動のおかげでキムラスカとマルクトは戦争をせずにいられています。その事を思えば、もう預言から外れているんじゃないんですか?」
『いえ、根本的な解決に至るにはこの障気をどうにかしなければなりません』
「障気を・・・?」
アテナは市長のショックにフォローを入れずに話を進めるのだが、イオンが預言通りにならないのではと言ったことに障気があると返す。
『確か話によれば創成歴の頃より障気は出ていて、その障気を避けるために外殻大地を浮かばせたのですよね?』
「え?えぇ・・・確かにそうお聞きしましたが・・・」
『ではその障気がアクゼリュスに出てきた事は何らかの異変と捉えることは出来ませんか?考えられる可能性としては・・・障気の量が増えて外殻大地の上にまで出て来たか、外殻大地が形を保てず魔界に墜ちてしまうかのどちらかが有り得ると思いますが、これも卵が先か鶏が先かの例えを用いますが・・・どちらが先でも後でもおかしくはないですし、然程問題ではなくなると言えるでしょう。そうなれば星を含めたこの世界に生きる生物は全て、死んでしまうのですから』
「「「「!?」」」」
アテナはまたハッキリとは言わずに障気と外殻大地についてを投げ掛けイオンは戸惑いつつも律儀に答えるが、その二つどちらともに滅びの可能性があると告げられ聖闘士組以外が驚愕に目を見開いた。
「なっ、何故・・・!?」
『今こうしてローレライを呼び出すと共にこの世界についてを第七音素や障気を感じることにより調べました・・・今外殻大地を空高く浮かばせているのにはプラネットストームがあるからですね?』
「は、はい・・・それは確かですが・・・」
『創成歴の人々に貴殿方は他の音素と共に第七音素がプラネットストームを経由しているから無限に第七音素は消えることはないと思っているのかもしれませんが、事実は違います・・・第七音素は変化しているのです。プラネットストームを循環するごとに障気へと少しずつ』
「!?・・・ま、まさか障気が第七音素だというのですか・・・!?」
『正確には第七音素が汚れた物、です。これもまた例え話になるのですが、星の核にあった莫大な第七音素はそのままなら透明の水が溜まった池・・・そしてプラネットストームという工事により池が河にされてしまい、その工事の影響でどんどん水が汚れて行っている・・・ということなのです』
「な、何故汚れただけでそこまでの事に・・・」
『どんな環境ででも生きられる生物がいれば、整った環境でしか生きられない生物もいます。そして第七音素という物も星の生命の一部なのですが、地核の中で誰にも触れられずただじっくりと潜んでいた第七音素には汚れを自浄出来るほどの免疫力はなく・・・そのまま汚れた第七音素の障気として、プラネットストームの循環の内に発生したのです。それも今も尚動き続けるプラネットストームにより徐々に障気になりつつある第七音素を増やし続けていく形で』
「っ!?・・・で、では貴女はこのままプラネットストームが動き続けたなら第七音素は全て障気になるとでも言うのですか・・・!?」
『そうなるでしょう。更に言うなら第七音素が障気になり続けたならプラネットストームはその効果を存分に発揮出来なくなり、いずれ外殻大地は成す術もなく魔界へと崩れ落ちてしまうでしょう。障気ではプラネットストームを動かす事は出来ず、外殻大地を浮かせている各地のセフィロトも機能不全に陥りやがては・・・星の命と共にこの世界に生きる全ての生物に死が訪れるというわけです』
「「「「・・・っ!」」」」
・・・あまりにスケールが大きい話だが、アテナの穏やかながらも確かな根拠と信じざるを得ないカリスマを感じる話し方に市長を含めた一同はもうハッキリと呑まれていた。
特になんとか否定を返したいと冷や汗をかきながらも必死に言葉を返していた市長だったが、アテナから続々と返された言葉に終いには下を向いて汗をダラダラと地面に落とし出した。









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