神と神と崇められる存在

『話を戻しますが、私がそのようにカノン達の力を明かすことまでした理由は貴殿方に知っていただきたかったからです。私の力が単なるこけおどしではないことと利用出来る程容易い力ではないということと、そしてローレライを呼び出すという意味についてを』
「・・・ローレライを呼び出す意味?」
アテナはそのまま話を続けるのだが、ジェイドは訳が分からないというよう声を上げる。
『私はカノン達よりの報告を受け、考えていました・・・本来星の記憶の核とも呼べるような存在が何故、地上に現れたのかを・・・』
「それは、ユリアがローレライを呼び出したからではないのですか?」
『・・・私個人の考えとしては、必然と偶然が半々であったと私は考えています』
「半々・・・?」
アテナはまた話を続けていくのだがその中身に反応したのはトリトハイムで当然といったように会話に入るが、半々との答えに首を傾げる。
『本来この世界における預言のように星の未来を知れる機会と言うのは有り得る事ではありません。これは創成歴時代の技術の発展に加え第七音素に触れたことにより、第七音譜術士になれる素養を持った者達が出てきた事が理由になると思われます』
「え・・・第七音譜術士になれる素養を持った者が出てきたって、どういうことでしょうか・・・?」
『貴殿方は第七音素を扱えるから第七音譜術士と思っているのかも知れませんが、元々第七音素とは他の第六までの音素と違い創成歴時代の最盛期になるまでは地上に現れてはいなかったのでしょう?そして第七音譜術士も・・・卵が先か鶏が先かという例え話がありますが、第七音譜術士に関しては第七音素が出てきたからこそ生まれた存在とも言えます』
「確かにそうですが・・・それが何故必然と偶然が半々と言うことに繋がるというのですか?」
そこでアテナが第七音素と第七音譜術士についてを話しだした事にトリトハイムが納得しつつも、その話の意味が分からないと先を促す。
『私が思うに第七音譜術士が現れた事にユリアがその素養を持ったのは必然で、ローレライが現れた事自体は偶然ではないかと思っているのです』
「ローレライが現れた事自体?」
『本来星の記憶という物は人の手によって掘り出されるような物ではありません。ですがそれは人の手により為されてしまった・・・その事に私は思ったのです、滅びを視た星がその命運を変える為にローレライという存在を産み出したのではないかと』
「滅びを、変える・・・?」
更にまた話を進めるアテナがローレライの生まれた意味についてを滅びを変えるといったことに、トリトハイムとその周りも同じように疑問符を浮かべる。
『この星の未来はヴァンという人物が見た第七譜石の中身通りだとしたら、後持って数十年という所なのでしょう。ですが本来でしたら星に限らず生命と言うのは命を落とすような危機に際しても、誰かの手助けを受ければ延命する事も不可能という訳ではありません・・・いえ、正確に言うなら自身の命を蝕む存在から星は解放してほしいと願ったのでしょう』
「っ・・・まさか、その蝕む存在と言うのが・・・預言に詠まれた行動だとでも言うのか・・・貴女は・・・!?」
『誤解がないように申し上げておきますが、預言が無くともこの星の人々は預言に詠まれたように動いていたでしょう。元々預言に詠まれた行動は遠い未来に起こりうる現象を分に記した物・・・預言を神格化して崇拝してきた貴殿方にとってはある意味残酷な事かもしれませんが、貴殿方が行ってきた事は本来起こるべくして起こった事を促進するかなぞっただけ・・・ハッキリ言ってしまえば、別に預言を達成しようとする意味は特になかったということです』
「!?・・・そ、そんな・・・だったら我らは何のために、今まで預言の為に動いていたと言うのだ・・・」
またアテナは話を進めていくのだが、まるで預言を達成しようとしている自分達こそが悪者とでも言わんばかりの話口だと市長は憤慨するように口を開くが・・・悪者ではなく行動その物に意味がないと返された事に愕然とした、今までの努力に信仰が無駄だと言われたも同然の言葉に。









3/18ページ
スキ