問われる神への言葉と従う者達

「こ、ここは・・・!?」
・・・そんな風にカノン達が話をする中、幻魔拳により意識を飛ばされた市長は・・・壊れゆく台地に立っていた。辺り一面の地面が隆起し、崩れ落ちていく台地の上に。
「あっ、あれは・・・幼い頃の、ヴァンデスデルカ・・・!?」
そんな中で市長は近くにいた幼き日のヴァンが何やら膝だちになっている姿に気付き、本当の名を驚きながら漏らす。
「しかし、一体ここは・・・!?」
『・・・マルクトの最期、なり・・・』
「っ、その中身は確かあの執事が言っていた第七譜石の中身・・・ま、まさか・・・ここは、過去のホドだと言うのか・・・崩落直前の・・・!?」
だが未だ理解の及ばない市長はどこかと漏らすが、台地の崩壊により騒音が酷い筈なのに幼いヴァンからハッキリと聞こえてきた預言の中身を呟く声に、ようやく愕然としながらも理解する。崩落直前のホドと。



『・・・オールドラントの最期、なり・・・』
「・・・これが、ヴァンデスデルカの見た物だと言うのか・・・ホドが滅ぶ中で、第七譜石を見た物だと・・・!」
そんな中で第七譜石らしきものを手に持っていることに気付いてそれをボソボソと読み上げていき、そして読み終わったヴァンの姿に市長はこれが事実なのかとまた愕然とする。ヴァンが行動を起こしたきっかけに。
『・・・こんな・・・こんなものの為に、ホドが滅びなければならなかったと言うのか・・・こんな、こんなものの為に・・・!』
「ひっ!?」
だがヴァンの行動はそれで収まらずいきなり立ち上がって手に持っていた第七譜石を地に叩き付けるのだが、その顔を見た市長は恐怖に顔を歪ませ声を上げた。10才程度の子供が浮かべるにはあまりに怒気に満ちていて、今にも誰か目の前にいたら喉元を食いちぎりそうな程に殺意に満ちた表情を見た為に。
『・・・うぉぉぉぉぉぉっ!!』
「・・・え?」
だがヴァンがそこで取った行動は雄叫びを上げながらどこかに走り出す事で、今にも自分が殺されるのではないかと思っていた市長は間の抜けた声を上げていた。









「・・・はっ!?」
「目が覚めたか」
・・・そんな光景のすぐ後、意識を取り戻した市長は目の前に一輝がいることに気付く。
「い、今のは・・・?」
「信じるかどうかはどうでもいいが、俺は人の心の内を見ることが出来る。そして今の技は本来はその者の見たくない物を見せる技だが、特別に今のはヴァンの過去を見せるだけに留めておいた。ヴァンの動機がどれだけ根深い物であるか・・・それをお前達に思い知らせる為にな」
「「「「・・・」」」」
市長は一輝にどういうことかを問い、幻魔拳の効果と共に見せた映像の意味について告げると市長を含めて一斉に聖闘士組以外が表情を曇らせる・・・やはりヴァンの動機についてをじかに目の当たりにして見るとは思っていなかった事もあるのだろうが、最後のヴァンの怒りは相当な衝撃をもたらしたのだろう。とてもまともな子供が見せるような顔ではなかった鬼気に満ちた表情は。
「・・・確かに、謡将のあの様子でしたら預言に対する行動も納得は出来ますね・・・」
「トリトハイム・・・」
「・・・思えば、我々はこう言った犠牲を元に今まで成り立って来たのでしょうね・・・繁栄が詠まれている預言の影に泣いている者に苦しんでいる者はいたにも関わらず、我々はそれを知ることなく過ごしてきた・・・ですがこのような形で知ってしまった以上、もうそれを見過ごす事は出来ないでしょう・・・それに第七譜石の中身を考えると、一層そう思えてなりません・・・」
「・・・そうですね・・・第七譜石に詠まれた通りだというのなら、それに従うことは世界の終わりと言うことになるのですから・・・」
そんな中でトリトハイムが苦々しげながらも自分から切り出した話にイオンが視線を向け、自身の考えを切に語る姿に同じだと同意を示す・・・預言についてを考え直さねばならぬと。








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