・・・それで譜陣に乗ってカノン達は数秒後にその場から姿を消した。



「・・・ここが、ユリアシティ・・・」
「私も来たのは二回位ですが、市長の部屋がどこにあるのかくらいは覚えています」
「導師が二回？ちなみに詠師の方々は？」
「・・・他の詠師はどうかはわかりませんが、私はユリアシティに来たことはありません。おそらく他の詠師も似たようなものだと思いますが・・・」
そして譜陣から現れた先がどこかの建物の中である事にカノンがユリアシティと漏らし、イオンが来た回数を答えた事に詠師陣へと話を向ければトリトハイムが苦い表情を浮かべながら漏らした返答に他の詠師陣も同様に表情を歪め頷く。
「・・・その理由とはユリアシティの秘密の保持の為でしょうか？」
「・・・はい、その通りです。現に我々は詠師となってからユリアシティについてを先達の詠師から話されました。その存在は公になってはならぬものであると・・・ただ、ユリアシティに呼ばれなかった理由を考えると正直な所複雑なんです。大詠師が事実を知りその預言を実行するために動いていたと言うことを考えると、我々はもしもの時の大詠師の代わりに過ぎなかったのではないかと思うと・・・」
「・・・このような言い方をするのは私もどうかとは思いますが、おそらくその通りでしょう。そして詠師の皆さんに事実を話して全員が全員、預言の事を誰にも言わず心の内に秘めておくとも限らないと考えていたと思われます。その意味でももしも大詠師が何か起きて活動出来なくなったとしたなら、預言の為に従順に動いてくれる人が詠師の皆さんの中から選出されたのではと思います」
「あくまで我々はユリアシティの者にとって予備に過ぎなかった・・・そう思うと胸が痛みます・・・」
・・・ローレライ教団の人間として預言を守ると共に、教団に誠心誠意尽くしてきた。だがユリアシティの住民はそう言った実績に人柄など関係無く、都合のいい人間だけを求めていた・・・ある種の裏切りを受けたような気持ちをトリトハイムは感じてしまったのだろう。
様々な想いを複雑に絡ませて話をして顔をうつむかせるトリトハイムに、カノンもまた眉を寄せイオンに視線を向ける。
「・・・導師、市長の元への案内をお願いします」
「・・・分かりました」
あえて慰めをせずに先に行こうと言い、イオンも頷き先を歩き出す。トリトハイム達詠師陣もどうとも言えない様子ながら後を付いてくる。
『・・・まぁ秘密を知る奴を減らすってのは確かに常套手段じゃあるが、流石にもしもの時の代替え品なんて言われりゃ凹むわな。それにユリアシティからの扱いがぞんざいってなりゃ尚更だ』
『ユリアシティからしてみれば慎重に事を進める為にって所だろうけど、いざという時の事を考えて全員を引き入れた方がいいって考えなかったのかな・・・まぁおそらく以前にそう言った事をして詠師から何か起こされたから慎重に大詠師だけに伝えるとなったんだろうけどね』
そんな中でデスマスクとアフロディーテの二人は小宇宙の通信で会話をする、詠師陣の気持ちとユリアシティの対応についての予測を。






・・・そんな会話があった後に一同はユリアシティの中を歩いていき、市長の部屋に入る。
「・・・おぉ、これは導師。それにそちらは詠師の皆さん・・・どうされたのでしょうか、皆様お揃いになって・・・？」
『・・・パッと見た様子では普通に対応しているが、一輝と会ってないのか市長は・・・？』
『おそらくそうだと思うが・・・』
そんな一同を部屋の奥にいた老齢の市長が怪訝そうに出迎えてくれるが、普通にしている姿にミロとカミュは怪訝そうに通信で会話をする。一輝は何をしたのかと。










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