問われる神への言葉と従う者達

「ですからここに皆さんを集めたんです。これからのダアトにユリアシティの方向性を決める為に」
「ユ、ユリアシティもとは・・・」
「貴殿方も詠師という立場上知っていると思いますが、ユリアシティの人々は預言第一に動いています。そしてモースに指示を出し、キムラスカとマルクトに戦争をさせるようにとしていた大元と言ってもいいかもしれません・・・現状ではモースはバチカルにて静養中との事ですが、この事を察したユリアシティの人からの横槍が入ればどのような事態になるかが想像出来ません。それこそさっき言ったような事になるのも有り得るでしょうが、三つ巴の状態という事も考えられない訳ではないと思います・・・」
「「「「・・・っ!」」」」
その上でイオンは話を進めるのだが、緊迫して中身を追うごとに声を小さくする様子にトリトハイム達は一斉に息を呑む。戦争になりかねない事態になる可能性に恐怖し。
「ですがそんなことを両陛下は望んでいませんし、勿論私も望んでいません・・・ですのでユリアシティの人間と話をする必要があると感じているんです。こちらの方針とあちらの方針を固めるためにも向こうと顔と顔を合わせるべきと」
「・・・と言うと、ユリアシティに向かうつもりなのですか・・・導師は・・・?」
「はい・・・ですがその場には貴殿方にも付いてきていただきたいのです」
「っ、我々も・・・?」
そこでイオンは決心したよう強い表情を浮かべ決意を語るのだが、自分達もと言われ詠師陣の表情が意外そうにキョトンとなる。
「はい・・・貴殿方にこの話をしたのは事実を知ってもらうと共に、詠師として真剣にこれからのローレライ教団についてを考えていただきたいのです。事実を知ったからこそどう動くのか、動きたいのかを・・・」
「だから私達に付いてきてほしいと・・・そういうことなら分かりました、ユリアシティまでお供したいと思います」
「我々もお供致します」
「私も・・・」
「・・・皆さん、ありがとうございます」
イオンはそう言った訳について真摯に詠師陣に語るように言い、トリトハイム達がその熱意に打たれたよう全員了解を返した事に頭を下げる。
「では導師、早速出発しますか?」
「はい。ですが急に呼び出してしまったので仕事を中断した者も中にはいるかもしれませんから、少し時間を取ります。私達は教会の入口で待っていますのでそれを片付けましたら来てください」
「はい、分かりました。ではまた・・・」
その意気を高めたままトリトハイムが出発を切り出し、イオンが少し用意をするように詠師陣に言えば一同は一斉に退出していく。
「ふぅ・・・」
「大丈夫ですか、イオン様?」
「はい・・・最近こうやって導師としての顔を浮かべるようなことがありませんでしたし、もしも彼らがこちらの敵に回るような事があったらと思うと気が気でなりませんでした・・・ですがこれで一先ずは大丈夫ですね」
「はい!」
そして詠師が部屋から出ていった後にすぐ息を深く吐くイオンにアニスが気遣いの声を上げるが、役目を果たせたと晴れ晴れした笑みを浮かべる姿に笑顔で頷き返す。そしてその様子をカノン達聖闘士組は微笑ましげに見守っていた。












・・・そんなやり取りを済ませた後にカノン達は教会の入口に行き、少し待って詠師陣と合流した後にユリアシティへと向けて出立した。









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