問われる神への言葉と従う者達

『・・・アイオロスが思ったことは少なからず俺も感じた事だ。そして預言の事を知ったからこそ言えることとしては、技術の発展が必ずしも人・・・いや、命あるものの為になるとは限らないということなのだろう。そう・・・星という存在も、その例外ではなくな』
『カノン・・・』
アイオロスの話を受けて自身の考えを言うカノンだが、地球にも言えることだとばかりに含みを持たせる言い方にミロが重く名を呟く。
『・・・だがそのような事にはさせはしない。今俺達はこうして動いているのは、この星の命運を変えるためだ。その為にもこのダアトにユリアシティで預言についての意義を見直させる・・・星が見た未来を覆させるためにも・・・!』
『・・・そうだな、お前の言う通りだ』
だが一転して諦めるつもりはないと強い決意を込めて語るカノンに、ミロはすぐに同意を示した。









・・・そのようにカノン達が新たに決意を固める中で一行は教会へと辿り着き、イオンの指示の元で導師の私室で詠師一同を集め話をすることとなった。



「・・・お待たせしましたイオン様」
「すみません、わざわざ集まってもらって・・・」
「いえ・・・こうやって導師がお戻りになり我々を集められたと言うことは大詠師の事についてでしょうか?」
「・・・それも、あります」
「・・・それも?」
・・・それで少し待ち詠師陣がゾロゾロとトリトハイムを先頭として部屋に入ってきて本題を早速切り出す姿に、周りをカノン達に囲んでもらった状況で机の椅子に座っていたイオンはそれもと言う。
「・・・まず、これから話すことについては他言無用でお願いします。今この話が何の対策もなく公になれば、相当の混乱が起きるのは明白ですから」
「・・・はい、分かりました」
そして前置きを置いて話すことを切り出すとしたイオンに、トリトハイムを始めとして詠師一同真剣に頷く。ただならぬ気配を各々感じながら。












・・・そしてイオンだけでなくカノン達も時折混ぜて話される一連の流れに詠師達は最初こそ信じられないと声を上げていたが、ルークとアッシュの二人の事実に加えイオンまでもがレプリカであるという事実を聞かされ絶句せざるを得なかった。あまりにも自身の範疇外の事だと詠師陣が感じたこともあり。



「・・・と言うことです。現在モースはまだバチカルから戻ってこれない程の状態だからなんとも言えませんが、ヴァン達は今グランコクマにいます。証拠がほしいと言うなら手続きを踏めば彼らの身柄をこちらに戻しじかに証言を聞くことも出来ると思います」
「いっ、いえ!もう十分です!・・・正直、色々と信じがたい物があるのは確かですが、それらの事を全て嘘だと断じることは出来ないのでしょう・・・そちらのルーク様の事もですが、イオン様自身の事も・・・」
「はい・・・ですが肝心な所はそこではありません。問題はモースが持っていた譜石にはキムラスカとマルクトの戦争が詠まれていて、ヴァンが知ったという第七譜石の中身が世界の終焉を指し示していたという点についてです」
「「「「・・・っ!」」」」
それで話をし終わったイオンにトリトハイムは慌てた後に冷や汗を浮かべながら事実を受け止めると言ったように返すが、第七譜石の中身について切り出され他の詠師共々一斉に息を呑んだ。
「カノンさん達の話ではヴァンが嘘をついていたとは思えなかったとの事だそうですが、仮に嘘だったとしてもヴァンが起こしてきた行動については嘘はありません。そしてヴァンの話が本当だとしたらそれを無視して預言を実行するのはあまりにも危険ですが、現状で両陛下がわざわざ戦争に踏み切るような事はしないと思われますし何より・・・戦争があると詠まれていて、それを実行するためにダアトが動くなどすれば現時点で両国から批難を浴びるどころの問題では済まなくなるでしょう」
「「「「・・・っ!」」」」
更に預言が本物であるかという話から戦争をさせた場合の事を暗に予感させるイオンに、詠師陣はまた一斉に先程より大きく息を呑んで喉を鳴らす・・・最悪の場合、キムラスカとマルクトの両国から戦争を吹っ掛けられてもおかしくないという極めて危険な状況に。







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