問われる神への言葉と従う者達

「それくらいにしてください、二人とも。貴殿方の考えが定まった事はよろしいことだとは思いますが、これからダアトに向かうことになりますのでどのように動くか・・・その事について話しましょう」
「・・・そうですね。トリトハイム達についてもそうですし、何よりユリアシティの人達を説得しなければこれからどうなるか分からないですから」
カミュはその空気を切り替えるように話題を変え、イオンはアニスと共に表情を引き締めて頷く。















・・・そのようにしてイオンにアニスの二人との意志を疎通させたカノン達を乗せた船はダアトの港へと着いた。



「さて・・・まずは教会の方に向かいましょう。ユリアシティの方がここからは近いですが、しばらくダアトを出ていましたしトリトハイムを始めとした詠師達に近況を聞きたい所です。それに何より、トリトハイム達を味方につけた方がユリアシティの人々に話をつけやすくなるでしょうからね」
「・・・そうですね、いきなり何の情報もなくユリアシティに向かうのは危険な可能性もありますからそうした方がいいでしょう」
「では付いてきてください、ダアトまで案内しますから」
船を降り早速と一同に行動指針を切り出すイオンにジェイドは頷き、先導を切って歩き出す姿に一同は後を付いていく・・・尚、イオンがこう言った事を言い出したのはカノン達よりの発案である。言葉通りな事を考えたのもあるが、イオンが言い出すことでジェイドが妙な事を言い出して場を止めないようにするために・・・












・・・それで港から少し歩き、カノン達はダアトへと辿り着いた。



『こいつはまた、立派な建物だな・・・教会としちゃ地球でも並ぶものはねぇってくらいの立派なもんだぜ』
『確かにな・・・』
ダアトの街中を歩く中でデスマスクが小宇宙を使いながら漏らした言葉にミロも同意する。地球出身の人間から見ても壮大としか言えない建物の造りに。
『・・・今となれば納得出来るな。この世界の文明レベルには不釣り合いでアンバランスな物が所々ある理由が』
『一度創世歴時代を経ていて、その技術が少なからず用いられているから・・・ですね』
『成程、地球においてもこれだけの壮大で複雑な建造物が造られたのは精々100年前かそこらでサグラダファミリアくらいなもの・・・そんなものがこの世界にいくつもあるのは確かに不自然と言えるね』
その会話にしみじみ自分の考えが間違ってなかったと感じるアイオロスに、カミュとアフロディーテも同意をするようその根拠を語る。
『なぁカノン、お前はこの事について考えた事はあったのか?』
『まぁな。一応この世界で生きるとなって歴史を調べるとなった時に加え、休みとなった時に各地を見て回った後に考えた。ある意味では創世歴の技術が無くなったことで、この世界はバランスが取れた世界になったのではないかとな』
『バランス、か・・・個人的にはカノンの考えは分からないでもないな。外殻大地を造れた事から考えると地球よりも発達した技術が創世歴の頃にはあったんだろうが、おそらく自然に満ちた光景も地球以上に失われていた可能性もあっただろう。エンゲーブのような豊かでいて広大に広がる田園風景など遠い物といったようにな・・・』
デスマスクは一人何も言っていなかったカノンに問いを向け、バランスが取れたと自身の考えを述べるカノンにアイオロスも同意するがその声は少し硬い・・・おそらく創世歴と地球の環境を脳内でダブらせているのだろう。失われていく貴重な自然の事を想い。









18/27ページ
スキ