問われる神への言葉と従う者達

「で、でもなんでそれを私に・・・?別に言わなかったら分からない事だったんじゃないんですか・・・?」
「それは、その・・・」
「導師、ここは私が説明しましょう。導師自身からでは言いにくい事もあるでしょうし、元々我々から言い出した事ですからね」
「すみません、アイオロスさん・・・よろしくお願いします・・・」
アニスは動揺を滲ませ何故言ったのかを問い、イオンが答えようとするがアイオロスが代わりにと言い出したことに申し訳なさそうに頭を下げる。
「その事を言うかどうかを我々が導師に切り出したのは、君にこれからの導師の事を支えてもらいたいと思うのもあるが君の罪の意識を少しでも軽くしてもらいたいと思ったからだ」
「っ、罪の意識って・・・」
「君がダアトに我々と共に戻ろうと言い出したのは我々、引いては導師に対しての申し訳なさがあったからだろう?」
「っ・・・はい・・・」
それでアイオロスが話をする中でアニスは何とか罪の意識について誤魔化そうとしたが、すぐに追求の言葉を受けて気まずそうに頷く。
「それを受けて我々は考えたんだ。君のその申し訳ないという気持ちをどうにか払拭出来ない物か、更に言うならこういう言い方はどうかとは思うが君がダアトに付いていくとなった時にどう話を聞かせないように進めようとするのかを」
「っ、そんなことを考えていたんですか皆さんは・・・?」
「はい。これよりダアトにユリアシティに向かう中で、これまでの話の事を全部都合よく誤魔化す事は正直に言って難しいと思っていました・・・導師守護役という立場もあって席を外すのはおかしいでしょうし、あちらが彼女が事実を知っていると見て話をしてきても不思議ではありません。もっと言うなら彼女自身が我々に関わることを望んでいますからね」
「っ・・・確かに今の状況でアニスに全部誤魔化すというのは無理がありますね・・・」
「ですから下手に誤魔化すよりは、と思ったのもあるのですが・・・アニス、聞かせてくれ。今の話を聞いてどう思った?」
「・・・それは・・・」
その上で話をうまく進めたいのもあったと言うとイオンは意外そうに目を丸くしたのだが、訳を聞き複雑そうに納得する中でアイオロスはアニスに真剣に問う。話を聞いた感想を。
「・・・正直、驚きました・・・今も全部嘘なんじゃないかって、疑ってるくらいです・・・」
「それは当然だろう、今まで君は何も知らずにいたのだからな。だがここから先、君が導師守護役として活動するのなら君には先程の話をしておかねばならないと思って導師に君に事実を明かすかを話したのだが・・・君には選ぶ権利がある」
「えっ・・・権利って・・・?」
「ここまで話をしたのは君の決意というものを感じたからなのだが、これまでの話は人々に知られれば世界規模で混乱を招きかねない物だ。更に言わせてもらうならこれから行くダアトにユリアシティでの話はローレライ教団の中でも上層部くらいしか知ることの出来ない事実もあるため、その中身次第では教団の闇とも呼べるような事実を知ることになるかもしれないだろう・・・もしかしたら聞いて後悔をするような事実を聞くことになるかもしれない」
「・・・っ!」
「だからこそ君にはここで我々に付いていくか否か、選ぶ権利がある。残酷な事実を知るかもしれない旅に付いていくか、今までの話を全て胸に秘めてダアトの関係無い場所で待つ権利がだ・・・前者を選ぶなら我々は歓迎するし、後者を選ぶなら我々に導師の事を沈黙していてもらえるなら以降はもう関与はしないでおこう」
「・・・辛いことも含めて全部知るか、何も言わないで安全の為に今までのことを全部黙っておくか・・・どっちか選べって言うんですね・・・?」
「そうだ。そしてそれを選べる権利は他の誰にでもない君自身にある」
「・・・」
アニスは少しして驚きを隠せないと言った様子で返すのだが、そんな反応を受けた上で選択の権利があると真剣に言うアイオロスに下を向き沈黙する。あまりにも大きな選択を向けられた事で。










15/27ページ
スキ