問われる神への言葉と従う者達

・・・カノン達は昨日話をしていた。イオンの事に関してジェイドに知らせるべきかと。その結果として話をしても問題はないだろうという結論に至った。むしろそうした方がいいだろうと。

何故そういう結論になったのかというとルークと違い今も導師という立場にいて、言ってしまってはなんだが替えがきかない存在になる。その上で今のダアトはキムラスカにマルクトからすればモースの事もあって、簡単に信用するには少し難しいと言うのが実情なのだ。そう言った観点から見ると今イオンがダアトの導師の立場からいなくなればデメリットの方がジェイドからすれば大きいと言える。レプリカに対してあまりいい想いを抱いてないとは言えだ。

ただそれでもジェイドがイオンに対し何かしようというのならカノン達も黙って見ているつもりなど微塵もないし、カノン達がいなくなって事に挑むようにするなら少なくともマルクトから離れてダアトに行くかその逆で来てもらうことが必要になるが・・・現状でピオニーがそれを素直に受け入れるとは考えにくい。ジェイド同様ダアトからイオンがいなくなればマルクトからして痛手になりかねないし、何より今のピオニーがジェイドの私情混じりの発案を看過するとは考えにくいのだ。レプリカだからイオンの事をどうにかしようとしているのでは、そう考えるだろうということで。

・・・ピオニーを始めとした面々がジェイドの味方とは言えない状況にある。その上でイオンがレプリカであると知っても下手にダアトに介入しようものなら、場合によってはどういう形であれマルクトまでもが混乱に陥りかねない。故に慎重にならざるを得ないマルクトにジェイドの事を考えればイオンの事を下手に隠し立てするより、むしろその事を明かした方が後々の為にもいいのではないかとカノン達は考えたのだ。


















・・・そのような形でイオンの事をジェイドがいる場で話すことを決めたカノン達だが、その当人はバチカルに向かうまでの道中でカノン達の所に自分から姿を見せることはなかった。この辺りはいくら取り繕ってはいても、カノン達の事を気に入らないと言う気持ちがあるからだろう。

ただそれ以外には特に変わったことはなく、タルタロスは数日かけてバチカル近辺まで来た。そして流石にマルクトの軍艦であるタルタロスを直接港につけるのはということで近くの岸に待機させ、カノン達はバチカルに徒歩で向かった。






「・・・おぉ、戻ってきたかカノン」
「はい、ただいま。こちらには和平の書簡もございます」
「うむ、確かに」
それで変装をしたルークと共にファブレ邸まで来たカノン達は門の前で呼んで来てもらった公爵と話をする。和平の書簡を見せる形で。
「では陛下の元に行こうか」
「いえ・・・その前に、陛下との謁見が済みましたら導師と内密に話が出来るようにしてはいただけないでしょうか?」
「導師とだと?」
「はい・・・今後の事を考えるとそろそろダアトに戻っていただくことに、その他諸々について話をする時期に差し掛かってきたと思いますので」
「そういうことか・・・分かった。導師達と話を出来るように言おう。少し待っていてくれ」
それで早速と城に行くと言い出した公爵だが、カノンからの要求の声にすぐに頷き屋敷の中に戻る。
「・・・イオン様が何故ファブレの屋敷にいるのでしょうか?」
「様々な理由があるが、それについては後々詳しく話す。ただ最も大きな理由としては大詠師を始めとした預言保守派の目をくらますためだと言っておく」
「・・・そうですか」
ジェイドがそこでイオンについてを静かに問い質してきたのでカノンが普通に答えると、微妙なニュアンスで納得の声を上げる。おそらくジェイドの中でカノン達のその判断がいかがなものか、それについて引っ掛かりを覚えているのだろう。







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