動く世界に聖闘士達

「・・・空気も良くなった所で話に戻ろうか。まだ決めねばならないことがあるようだからね」
「あ、あぁ・・・そうだな、そうしよう・・・」
そんな二人を微笑ましい物でも見るようにしながら話と口にするアフロディーテに、ルークは途端に気恥ずかしそうに頬を赤めながら頷く。
「まず先にする話の中身としてはバチカルに戻る前に誰が地球に戻るかだ。ミロも含めれば四人戻る候補な訳だが、導師達の護衛についているミロは導師達に付いた時間の分信任も厚いだろうからまだ戻さない方がいいだろう。そうなれば私達三人がどういう形で戻るかだが・・・」
「貴方は残った方がいいと思いますよ、アフロディーテ」
「私がかい?」
「えぇ。私もアクゼリュスの様子を拝見したので感じたのですが、障気は確かに一般人からすれば驚異です。そしてその障気がまた別の場所で出てこないとも限りません」
「成程、そういった場合に備えて私は残った方がいいというわけか」
「えぇ。それに私は聖衣の修復師としての役割がありますから、後退するなら私が戻らなければと思っていたんですよ。ただアルデバランに関してはどちらを選んでもいい立場にいるから、貴方は自分で選ぶべきかと思いますが・・・」
「いや、俺も地球に戻ろう。人数的には俺かミロのどちらかがムウと共に戻るべきだろうが、ミロはまだ残った方がいいのだろう。ならば俺の方がいい」
「そうか・・・なら話は決まったね。私はカノン達に付いていく事にするよ」
「分かった、アフロディーテ」
それでアフロディーテから誰がどう残るのかと話し合いになるのだが、ムウにアルデバランの二人とすんなり決まりカノンは頷く。
「そうとなれば後はマルクトからの返答を受け取り次第バチカルに戻り、導師に大詠師と言った諸々の問題を片付けるためにもダアトに行くことになるだろうが・・・導師がレプリカという事実が教団の上層部にどこまで知られているかが問題だな」
「その事か・・・」
続いての問題提起をしたのはカミュなのだがその中身にカノンを始め、一同は苦い顔を浮かべる。実は今のカノン達の中で一番デリケートな部分だけに。
「・・・おそらく導師の事は大詠師に謡将に加え、一輝の話に出ていたユリアシティという街の人々・・・それもほんの一部にくらいしか知る者はいないだろう。ただこちらは一輝が行動しているから何らかの処置は取られてはいるだろうが、むしろ問題なのはその後だ」
「あぁ・・・導師のサポートの体勢だ」
「導師のサポート?どういうことだ?」
アイオロスがその問題について口を開きデスマスクも理解済みと声を上げるが、ルークは首を傾げる。
「こいつは俺らの推測に想像が大きい部分を占めるが、導師が産まれたのは時期から考えりゃ二年前ってのが妥当な線だ。つまり本当の実年齢はルーク・・・お前さんより五も違う、二歳程度のもんだ」
「!・・・それは・・・」
「ま、そんだけの年しか生きてないガキの癖してやたら利口に悩むような姿は実年齢に不相応じゃあるが、それもディストがなんかフォミクリー技術の改良をしたからって思うことにするけどだ・・・流石に二歳児にローレライ教団っていう一個の国を自分だけの力で滞りなく運営するにはあまりに度量が足りなすぎる。あの坊やはそれこそ年相応の事に周りから言われたことくらいしか出来ないだろうとしか俺らからはどうやっても見れなかったし、感じられなかったからな」
「それでおそらく事実を知る人間が周りにいてサポートしてくれたからこそ導師も導師としてやれていたのだろうと見ていた。謡将や他の六神将と言った人物達のサポートがあってな・・・だがそれが無くなってしまうとなれば・・・」
「っ・・・イオンがどうしていいか分からなくなるんじゃないかってことか・・・?」
「・・・端的に言えばそうなる」
「っ・・・!」
それでデスマスクからアイオロスにとルークへの説明はされるのだが、イオンの立場の危うさにルークはそっと息を呑んだ。確かに危ういと自身でも思ったのだろう。







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