動く世界に聖闘士達

『しかしここで俺までダシに使うとは、全く恐れ入るぜ』
『そう言うなデスマスク。この皇帝陛下は公務ならともかくとしても私的な事・・・特に身内に関することに関してあまり悪く言われるような事は笑ってすませられる程、精神的にタフじゃない。顔は平静を装ってはいてもな』
『だから俺との対比で自分がそう言わずとも済ませるような言い方をしたって事か・・・本当強かだぜ、あんた』
デスマスクはそこで自分との違いについて漏らすと、アイオロスから爽やかな声色でいて的確にピオニーの心情を読む声が返ってきたことに苦笑い気味な賛辞の声を漏らす。
「・・・すまんな、ここにまで呼び出して。だがこれで決心がついた・・・勝手で済まないが今から俺はアスランを始めとして臣下を集め、話をしたいと思う。お前達はまた部屋に戻ってくれ」
「・・・はい、では失礼します」
と、ピオニーが決心がついたようで静かにその後の事の為に退出を願う声を向けてきた事にカノンは渋ることなく頷いて了承し、三人は部屋を後にしていく。














・・・そして部屋に戻った三人はすぐにルーク達にピオニーに呼び出された理由と部屋を出るまでの経緯について話をした。



「・・・という訳だ」
「成程。そういうことなら大佐に対して何らかの処置が下る事は間違いないでしょうね」
「・・・それって、今までのタルタロスの事だとかそういった事を言ってるんだよな?」
「そうです。今まで大佐が取ってきた行動は不慮の事態であったりということを差し引いたとしても、責任を取らねばならなければならないことが多くあります。それらはピオニー陛下の懐刀という立場に加えて陛下自身が大佐を重用していたからこそになりますが、今まで見過ごされていた面も多いでしょう。しかし貴殿方がセントビナーで会ったグレン将軍のような考え方をされる方がいるなら、陛下の気持ちも相まってそういった事は許されなくなると思いますよ」
「そうか・・・」
・・・それでカノン達が全て話終わりルークが確認の声を上げると、ムウが申し上げていく話のそれらに浮かない表情を浮かべる。
「どうした、ルーク?」
「いや・・・話を聞いていくと俺ってジェイドからすると過去の過ちみたいな存在なんだろ?・・・正直な気持ちを言うとさ・・・俺にはそんなこと関係ねぇって怒りの気持ちと、なんか妙な罪悪感みたいなモヤモヤした気持ちが二つ入り交じって、どう思えばいいかわかんねぇんだ・・・ジェイドに対してさ・・・」
「・・・そういうことか・・・」
アルデバランが心配そうに声をかけるとルークが漏らした複雑だと語る表情と声に、アルデバランを始めとして一同も表情を変える・・・ルーク自身には確かに悪いところはないが、レプリカという存在がいることへの葛藤をジェイドは持っている。それにルーク自身、自分がレプリカという立場にいることに今も表面上見せてはいないが思い悩む事もある・・・自身の立場や考えにジェイドの気持ち、それらを受けたからこそルークが悩んでいるのだと気付いた為に。
「・・・俺から言えることとしては全く気にするなとは言えん。そう言った気持ちに考えは俺達には持てない考えだからな・・・だがこれだけは忘れるな。俺にカノン達はお前達の味方だ。理不尽な事でお前を害そうというのなら俺達がお前を守ろう」
「アルデバラン・・・って、わざわざ席を立ってこっちに来てまで頭をなでんなよ」
「ウワッハッハッ!別に構わんだろうこれくらい!」
「んだよ、たく・・・」
アルデバランは少しの間を空けた後にその声に真剣に答えを返しルークも感じ入るように名を呟くのだが、自然に立ち上がって自分の頭をその大きな手でなでていることにジトリとした目を浮かべながらその巨体を見上げつつ抗議する。しかし豪快に笑い飛ばし気にした様子を見せないその姿にブツブツ言うのだが、その顔は心地良さそうに緩んでいた。先程までの表情が嘘のように。









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