動く世界に聖闘士達

「・・・何故、いきなりそのような事をピオニー陛下はおっしゃられたのですか?」
「・・・その事に関してですが、先程のカーティス大佐からの報告があったことからです」
カノンは皇帝という立場にあるまじき初対面の人間を易々自分の部屋に通す無謀さを疑う気持ちを問いに込めて向けると、フリングスは何とも言えないように表情を歪める。
「私はその報告の場となった陛下の私室に同席してはいませんでしたので何があったのか把握していませんが、その報告の後に私が呼び出されたのです。皆様を私室の方へ案内するようにしてきてくれと、表情を悩ましげにしながら言い渡される形で・・・」
「・・・成程、そう言うことですか」
『・・・確実に大佐の報告に何か問題点があったな、これは』
『じゃないとフリングス少将がこんな顔をするわけないだろうね。ただここまでの反応を見せるとなると、貴方達の危惧は当たったと見た方がいいかな?』
『だろうな・・・』
そのまま事の経緯を話す姿にカノンは表向きは納得しつつ、通信でアフロディーテと会話をする。
「・・・分かりました、参りましょう。ですが陛下の私室にぞろぞろと大勢で押し寄せるのも無礼に当たるかと思われますので、私とデスマスクにアイオロスの三人で参りたいと思います」
「分かりました、では付いてきてください」
そんな会話もそこそこにすぐにカノンは三人で行くと頷き、フリングスを先頭に三人は部屋を後にしていく・・・






「・・・来たか。すまないな、休んでいるところをわざわざ」
「いえ、気になされないでください」
・・・それで私室にに来たカノン達は空気がどことなく固いピオニーに迎えられ、三人共に頭を下げる。ちなみにフリングスは「陛下が内密に話をしたいとのことですので、外で待ちます」と部屋の外で待機中である。
「それで、どのようなご用なのでしょうか?」
「あぁ、その事についてだが・・・まず順を追って話をするためにも聞かせてもらうが、ジェイドとそちらの旅の間の関係はどうだった?」
「それは・・・」
「正直に申し上げるならいい関係とは言えるものではありませんでした」
「デスマスク・・・」
そのような状況でカノンは早速と本題に入るのだがピオニーの少し答えにくい問い掛けに逡巡しそうになると、デスマスクがキッパリと正直に答えたことに何をといった視線を向ける。
「別に隠すほどの事でもねぇだろ。それに陛下は身分不確かな俺らを自分の部屋に招いてでも話を聞くために呼んだんだ。ここは正直に答える方がいいだろ」
「あぁ、こちらとしてもその方がありがたいし決心もついた・・・実は俺がお前達をここに呼んだ理由と言うのはジェイドの報告とそちらに加えてアフロディーテ達の俺が受けた印象が大分異なる事からなんだ」
「全く異なる・・・?」
その視線に悪びれず答えるデスマスクにピオニーは決心したと理由を言い、カノンは眉を寄せる。
『すまないなデスマスク、中々言い出しにくそうにしてるピオニーに本音を切り出させる為に口火を切らせて』
『気にすんな。あのままだったらチンタラと話が進みそうだったもんできっかけをくれてやったんだよ・・・それにどうやらこの皇帝サマは強かな面も決断力もあるようだが、それ以上に甘い面が強いようだしな』
『言えてるな、それは』
だがその内心は小宇宙による会話を交わし、デスマスクの言葉に納得していた・・・甘いとの言葉に。








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