動く世界に聖闘士達

・・・それで先に進んだ所に玉座に座る、王や陛下というにはやけにはだけた服を着た浅黒い肌の男がいた。
「・・・来たな。お前達が様々な情報を手に入れた上で、アクゼリュスの人々を神託の盾から救う為に動いてくれたカノン達なんだな?」
「はい、そうです」
「色々言いたいことはあるが・・・まずは礼を言わせてくれ。我が国の民を救ってくれて感謝する」
カノン達が適度な位置で立ち止まったのを見てすぐにピオニーは確認を取った上で立場を気にせず、真剣な様子で頭を下げる。
『へぇ・・・こいつはまた随分と思い切ったことをする王様じゃねぇか』
『あぁ、いくら我々が行動を起こしたとは言ってもまさかこんな簡単に頭を下げるとはな』
デスマスクはその思い切った態度に感心の声を小宇宙を使って上げ、カミュも同意を示す。
『確かに俺もそう思うが・・・二人にもそうだったのか、この態度は?』
『まぁ、そうだね。ただこの陛下が本当はどう思ってるのかと言うのは図りかねてるけれどね』
『あぁ・・・こうやって謁見の間で顔を合わせた事しかないから何とも言えないが、俺としては個人的には根は悪くない人間ではないかと思っている』
『そうか・・・』
アイオロスもそれに同調した上でアフロディーテとアルデバランに話を振れば、両者共に肯定した上で自分の考えを述べる声に一先ず納得する。
「・・・顔をお上げください、陛下。我々はこちらが知り得た事をマルクト側にも知らせねばならぬと思った上で行動したまでのことで、陛下にそこまで頭を下げていただく事はございません。それに我々はキムラスカより和平に関する書簡を預かっていますので、まずそれを受け取っていただきたいのですが・・・」
「あぁ、そうだな・・・ではゼーゼマン、頼む」
「はっ」
カノンは一人会話に加わらない代わりに頭を上げるように言った上で話を進め、ピオニーはすぐに頭を上げた上でカノンが取り出した書簡を近くに控えていたゼーゼマンに取りに行かせる。
「・・・・・・ふむ、成程・・・インゴベルト陛下は和平を改めて結びたいということでいいのだな?」
「はい、それは」
「あぁ、分かった・・・遠路ご苦労だった。こちらは今からこの書簡について重臣と話をしたいと思う。部屋を用意するから今日はそちらでゆっくり休んでくれ。明日にはこちらの意向を伝えるようにしよう」
「ありがとうございます、ピオニー陛下」
『・・・存外あっさりと話が終わったな』
『向こうも貴方達が何のためにグランコクマに来たのかを知っているからでしょう。それにここで話を長引かせて妙な事を口走る訳にもいかないでしょう。こちらも向こう側も』
『だな』
それでカノンから書簡を取ったゼーゼマンが元の位置に戻りその書簡を見たピオニーが和平について聞くが、すぐにカノンが頭を下げる姿にデスマスクとムウは軽く通信で会話を交わす。対面の時間の少なさに納得する形で。
「・・・あぁ、ちょっと待て。部屋に行く前にだが、ずっと謡将以下の面子と共にいるのも気を張ってしまうだろう。それでだがどう処遇を決めるかまでこちらで謡将達を預かろう」
「よろしいのですか?」
「あぁ、そちらにずっと負担をかけるわけにもいかないだろうからな。ただそちらがいいならになるが・・・」
「そうですね・・・ではその時までよろしくお願いします」
と、ピオニーがふと声を上げてヴァン達を預かるがと言い出した申し出にカノンはまた頭を下げる。ヴァン達を任せると。









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