双子の片割れと三人の聖闘士の介入

「まぁどっちにしたって今の状況は種火を放りゃすぐ爆発する剥き出しの火薬がそこらに散乱してるようなもんだ。んな状況であの坊っちゃんをマルクトに捕まらせる訳にゃいかねーだろ。まぁ個人的な感情で言うなら今の状況ですら預言を扱う者にとっちゃ好都合って可能性もあんだ。それを放っとくってのはあんまり気分がよくねーな」
「それには俺も同意だ。そもそも預言には戦争が詠まれたなどと言う記述のある預言は、出てきてもそれらの戦争が終わった後発覚したといった状態でしか出てこない。そしてその預言自体もほぼ表沙汰に出ることはない・・・そう考えると誰かが預言を隠匿して密かに動いている。そしてそれが戦争に繋がっている・・・と言った可能性は否定出来ん。最もこの世界の人間にそんな裏を預言に見る者はまずいないがな」
「預言があることに慣れすぎてるから、か・・・おーやだやだ、そんな操られてばっかの人生なんてな」
そんなデスマスクだからこそ言えるこの世界では一般的に有り得ない予想を述べれば、カノンもこの世界で生きてきて得られた物で概ね同意しつつこの世界の人間ではそうは考えられないだろうと返す。そんな答えにデスマスクは明らかに大げさに肩をすくめ、参ったと両手を肩近くまで上げた。












・・・そんなカノンとデスマスクの二人が会話を繰り広げている頃、外でアイオロスを待つことにしたカミュは村の中でとある光景を目にしていた。そして彼は、その光景に向かい足を運ぶ・・・



「・・・よし」
「どうしたんだ?」
「はうあっ!?・・・あっ、さっきの・・・」
・・・その光景とは村の外れでアニスが手元に鳩を抱いていて、何やら決心している物。その後ろから声をかけるカミュにアニスは驚き振り返ると、ハッとカミュだと気付く。
「導師はどちらに?」
「あっ、イオン様は別の所でお休みしてる最中であたしはちょっとその間上司に報告の為にお手紙を飛ばそうとしているんです~」
「・・・上司に?」
そしてその近くにイオンがいないことにカミュはどちらと質問するが、アニスの明るく妥当な判断と言える返答にカミュは眉を寄せる。
「・・・それは少しおかしいな」
「えっ?何がですかぁ~?」
「とある情報源から聞いたところでは君達はお忍びでこの場にいるのだろう。それもダアトの上層部も行方を知らぬ形でだ。なのに何故その報告を今している?それに今ダアトの上層部にもお忍びで来ているはずの君達が、現在地の情報を知られるのは導師にとって都合が悪いはずだ・・・なのに君はあえてそうしようとしている。それは何故だ?」
「っ!・・・えっと、そ、それは~・・・」
・・・カミュの冷静な推察にカノンより得た情報が加わったことにより、アニスの言葉の矛盾点ははっきり突き付けられた。
おかしいと呟くカミュにアニスは可愛らしげに首を傾げるが、続いた推察からの疑問の声にしどろもどろに視線をさ迷わせ、ゆっくりとしたジワジワ来る威圧感にジリジリとアニスは後退していく。そして・・・
「・・・えいっ!」
何を思ったか、手に抱いていた鳩を上に放り投げた・・・だがカミュはそんな行動を許すほど、愚鈍ではない。
‘ゴッ、パタッ’
「えっ!?・・・あれ、氷・・・?」
・・・飛び立った鳩は自由に空を翔るはずだった。だが唐突に空に現れた氷の壁に鳩は反応出来ずにぶち当たり、地面に落ちてしまった。そのいきなりの理解不能な現象にアニスは鳩と氷の壁を交互に見るが、そこに・・・
「っ!やめてよ!」
カミュが堂々と鳩の方に近付き、足元に結んでいた手紙を解きだした。アニスはそれに気付きカミュに慌てて近付くが上背が違い、手紙と上体を持ち上げたカミュに手が届くはずがなかった。
「・・・成程、大方話はわかった。君は大詠師のスパイ、と言った所か」
「っ!そんな、なんで・・・」
そしてその手紙にザッと目を通したカミュは簡潔としながらも重大極まりない予測を口にし、アニスはその予測が正解と言わんばかりにうろたえよろよろと後退した。
「どうやら正解のようだな・・・君がどのような気持ちで大詠師のスパイをしているかは知らない。だがこれは見過ごす事は出来んな」
「そ、それは・・・」
「とは言え私も鬼ではない。今から君がどのような経緯で大詠師のスパイをするに至ったか、その経緯を嘘偽りなく話せ。その中身によっては導師には話さないようにしよう・・・いいか?」
「・・・はい、わかりました。話します」
そんな様子に否定を許さないような話口で話を進めるカミュに、アニスは次第に諦めたよううなだれ話すと口にする。












一人の人間として聖闘士の三人の加入



この三人によって劇的に物語は動く



世界を救う物語は



END









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