動く世界に聖闘士達

「・・・話を続けるが、そういった状況で四人はネビリムという人物の元で学を納めていたとのことだ・・・だがそれもネビリムという人物がある事件により亡くなったことにより、次第に関係性が変わっていったらしい」
「関係性、か・・・」
「ネフリーという女性には必要以上に話を聞くわけにはいかなかったが、街の人に話を聞く中でその私塾の面々は相当に仲睦まじい様子にあったそうだ。特にサフィール・・・まぁ今はディストになるが、そのネビリムという人物になついていたようだ。それこそ子供ながらに執着を見せる形でな。そしてディストがレプリカの技術にこだわるわけは・・・ここにあるのではないかと、俺は思っている」
「・・・もういない者への思慕の念、か・・・」
気を取り直して話を進めるアイオロスが自身のディストに対する推測を語ると、カノンは何とも言えない様子で眉を寄せる。死んだ者を甦らせようとしてるのではと聞き。
「・・・なぁ、ちなみに聞くけどそんなことって人の手で可能なのか?カノンの話にハーデスって神は冥界をまとめてたのもあって死者を生き返らせられたって言ってたけど、その・・・レプリカを使ってって形で生き返らせるって事は・・・」
「無理だ。そのハーデスとの戦いの時に生き返らされたサガ達は自分達の屍に再び魂を戻された上で墓場から這い出てきた。これは聖域を攻める為にハーデス軍からして有効な手段でもあったからだろうが、元々の肉体がなければ魂という物は定着しないし・・・何よりそのレプリカにはレプリカとして産まれた魂という物が存在する。その魂を払いのけてまで魂を定着させることは人間の力では不可能だ。第一、魂は冥界に行けばどうあがいても人の手では地上には戻せん。それこそ神の力を借りでもしない限りな」
「そうなんだ・・・」
そんな中でルークから人を生き返らせる事の是非についておずおずと問いが向けられるが、カノンが即座に神でなければいずれも不可能と言い切ったことにどうとも言い難いように声を上げる。
「・・・ディストの事が気にかかったのか?」
「あ・・・うんまぁ・・・そんなに生き返らせたい人だったのかって思ってちょっと気になって・・・」
「・・・まぁ全然気にするなというのは言い出しっぺの俺からは言えないし推測でしかないからそれが正解だとも言えないが、おそらくこれからの道程でそういった問題に対して向き合うことになるとは思う・・・だからそれまではこの話については胸に秘めておいてくれ。無用に大佐達を煽るような事をすれば何が起きるか分からないからな」
「うん・・・」
アイオロスはその様子に優しいながらもしばらく黙っておくように言い、ルークもすぐに頷く。変に場が乱れる事はルークも望んではいない為に。















・・・そのようにして、ジェイド達について新たに知ることになったカノン達。そんなカノン達を乗せた船はグランコクマへと辿り着いた。



「・・・あぁ、アルデバランにアフロディーテ。迎えに来てくれたのですか?」
「まぁな。宮殿にいてはいかがかと言われたんだが、お前達がそろそろ来ると聞いてな」
「それで折角だから港の方で待とうとなったのだ」
そして船から降りて待っていたアルデバランとアフロディーテの二人にムウが穏やかに笑顔で会話を交わす、再会をそっと楽しむように。







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