動く世界に聖闘士達

・・・それでムウも加わったこと以外には特に変わったことはなく、その後一同はグランコクマに行くために経由する必要があるケテルブルク行きの船へと乗船した。






「・・・成程、アテナはこちらに来るとの事ですか・・・」
「そのようだ」
それで船室の中の一室、ムウはルークとカノンとカミュの三人と状況の説明をし終わった。
「・・・すまんがムウ、もう黄金が来るだけなら諦めはつくが流石にアテナまで来るとなれば話が違う・・・だからと言うのもなんだが、お前達はグランコクマに行った後は一度地球に戻ってくれないか?アテナの護衛にそのままお前達の誰かがつくか交代するかは任せるから、このまま黄金がアテナと共に更にこちらに来るような事態は出来れば避けたいのだ」
「・・・そうですね。アテナが来るとなれば聖域から黄金をこれ以上出すわけにもいかないでしょう。ですがミロは一緒に帰らなくていいのですか?」
「現状ではまだ導師はバチカルにいて、護衛が必要な状態にある。だからグランコクマから戻ってきたなら導師との話し合いの結果にもよるとは思うが、ダアトに行く傍らでミロにも戻ってもらおうとは思っている。それまではまだあいつにはこちらにいてもらうことになるだろう」
「成程・・・分かりました。とりあえず私達はグランコクマでの事が終わったなら一度戻らせてもらいますよ」
「すまんな」
それでカミュとの話が済んだのを見計らいカノンが地球にアルデバランとアフロディーテと共に戻ることを願い出れば、ムウも問題だと感じていた事もありすぐに頷く。
「ん~・・・なんつーか、取り残されてる感が半端ねぇな・・・俺聖域の事ほとんどわかんねぇし・・・」
「ん・・・あぁ、すまない・・・お前の事を放っていてしまった」
「いや、別にいいんだけど・・・出来れば俺にもうちょっと詳しい事を教えて欲しいな」
「あぁ、いいとも」
「その前に少し、よろしいですか?ルーク」
「え・・・なんだ?」
しかし一人取り残されていると感じていたルークの寂しそうな声にカノンは笑顔を浮かべるのだが、そこにムウが真剣な顔で入ってきた。
「貴方が暗示をかけられていたことは知っていますし、もう謡将がその言葉を発することがなければ意味がないことは知っています。ですがこれから先の事を考えればその暗示を解除した方がいいと思いますので、私に少し任せていただけませんか?暗示を解きたいと思います」
「えっ・・・そんなこと出来るのか?」
「えぇ。こういった事に関してはシャカよりは劣りますが、簡単な暗示程度なら私も解除の仕方は心得ています。どうしますか?」
「・・・頼む、いや・・・お願いします。もう二度とあんなことになるのは、嫌だから・・・」
「・・・分かりました、私がその暗示を解きましょう」
それでムウが切り出したのは暗示の解除についての事で話を聞いていくとルークは少し表情を悲し気にした上で口調を改めて頭を下げ、その姿に微笑を浮かべて改めて暗示を解くと告げる。
「ではカノン、カミュ。少し部屋から出てはいただけますか?少々集中しますので、二人にさせてください」
「あぁ・・・頼むぞ、ムウ」
そして二人に視線を向けて部屋から出るように願えば、カノンは真剣な様子で頷きカミュと共に退出していく。



「・・・貴方は暗示を解除出来ないのか?」
「・・・生憎だが俺が出来るのは幻朧魔皇拳により、暗示をかけることくらいだ。解除と言った物に関しては門外漢になる・・・だから暗示の事はどうしようもないと放っておく事しか出来なかった、謡将に迂闊な発言をさせないようにと気を張る形でな・・・」
「そうか・・・」
それで部屋を出てすぐにカミュが暗示の解除について聞くが、出来ないと歯痒さを浮かべる姿にただ一言で返す。カノンが暗示の事に悩んでいたのだとありありと分かる姿に下手な事は言えなかった為に。






8/24ページ
スキ