動く世界に聖闘士達
「・・・と言うわけだ。アッシュは先程ファブレの屋敷で『ルーク』の記憶が戻ったものとして紹介されたが、神託の盾にいたことに加え二人の入れ換えが行われた事までは明らかにしていない。流石にその事までもを明らかにしたなら色々と問題が出てくるのでな・・・だからこそナタリア、お前にもこの事については黙っておいてもらうぞ。本来ならお前にも事実を伝えるつもりはなかったのだが、ルークのいた七年間の事について無遠慮にアッシュに話題を振られてボロが出ては困るのでな・・・いいな、ナタリア?」
「は、はい・・・わかりました・・・」
それで話も終わりまとめとして決して話をするなと言うインゴベルトに、ナタリアは明らかに圧された様子でコクりと頷く。
「よろしい・・・では部屋に戻るようにと言いたいのだが、その前にこれも改めて言わせてもらおう。先も言ったが今のお前の立場は極めて微妙な物だ。これから勝手な行動を取ればお前の立場はその時点で一気に危うくなるのは避けられん・・・その時わしはお前に処断を下す。情けをかけることなどなくな。いいな、ナタリア?」
「っ!・・・は、はい・・・では、失礼します・・・」
その上で部屋を出るように言いつつ命令に逆らった場合の処断の容赦の無さを真剣に怖いほど匂わせるインゴベルトに、ナタリアはたまらず身じろぎをした後に青い顔で頭を下げていそいそと部屋を出ていった。
「・・・ふぅ」
「お疲れ様でした、陛下」
「いや、これはわしがやるべき事だからな。これくらいは当然だ」
「っ・・・」
ナタリアがいなくなり息を深く吐くインゴベルトへ労いの声をかける公爵だが、そのやり取りにそっとアッシュは歯を噛んでいた。
「・・・話をしてもよろしいでしょうか、陛下?」
「・・・うむ、いいぞカノン」
そんな様子を横目で確認していたカノンだがそこには触れず話を振り、インゴベルトも気を取り直して頷き返す・・・ここでアッシュの不満など掬い上げても何の意味もないどころか、ナタリアの事を甘くするように進言すれば余計に状況が悪くなりかねない為に。
「アクゼリュスを落とさないと決め、アクゼリュスの救助も大方済んだ以上はキムラスカからマルクトへの渡りをつけることは必要不可欠かと思われます。こちらに大佐がいる事に加え、マルクトにもそろそろこの問題について考えていただかなくてはいけない時期に差し掛かってると私は見ています」
「うむ・・・それもそうだな。状況的にもそろそろマルクトにこの事を伝える必要はあるだろう。それにアクゼリュスの救助が無事に済んでいるとなれば和平についての事もある・・・そうなればピオニー陛下にも話をつけねばならぬが、そちらはマルクトに戻るつもりはあるか?」
「・・・はい、そろそろ私もグランコクマに戻らねばならない時期に差し掛かっていると思っていました。ですのでインゴベルト陛下がよろしいのでしたら事の次第を記した手紙に、和平の締結の為の書状をしたためていただければありがたいのですが・・・」
「うむ、そう言うことならすぐに手紙を書こう」
そんなカノンが切り出したのはマルクトに対しての事でインゴベルトはジェイドに話を振り、その前向きな要求にすぐに頷く。
「・・・ただ、一つよろしいでしょうか?」
「む・・・どうしたのだ?」
「こちらのカノンに今謡将達と共にいる三人についてですが、陛下はどのようにお考えなのでしょうか?カノンは既にファブレに関係のなくなった者で、残り三人に至っては身分すら不透明な存在・・・そのような者達にまだ活動させるつもりでしょうか?」
「っ・・・!」
「っ・・・むぅ・・・」
だがジェイドがそこで投げ掛けた問いにカノンは眉を寄せ、インゴベルトも考え込むように唸った・・・確かに今カノン達四人は身分不確かな状態、特にカノンがファブレを辞めたのならキムラスカに関係する者ではない為に。だがここで敢えてその事を切り出す理由をカノンは確かに感じていた・・・切り出す際に隠してはいたが自身を見た時の鬱陶しい物でも見るかのような視線に、ここで自分達の立場を貶めるつもりなのだと。
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「は、はい・・・わかりました・・・」
それで話も終わりまとめとして決して話をするなと言うインゴベルトに、ナタリアは明らかに圧された様子でコクりと頷く。
「よろしい・・・では部屋に戻るようにと言いたいのだが、その前にこれも改めて言わせてもらおう。先も言ったが今のお前の立場は極めて微妙な物だ。これから勝手な行動を取ればお前の立場はその時点で一気に危うくなるのは避けられん・・・その時わしはお前に処断を下す。情けをかけることなどなくな。いいな、ナタリア?」
「っ!・・・は、はい・・・では、失礼します・・・」
その上で部屋を出るように言いつつ命令に逆らった場合の処断の容赦の無さを真剣に怖いほど匂わせるインゴベルトに、ナタリアはたまらず身じろぎをした後に青い顔で頭を下げていそいそと部屋を出ていった。
「・・・ふぅ」
「お疲れ様でした、陛下」
「いや、これはわしがやるべき事だからな。これくらいは当然だ」
「っ・・・」
ナタリアがいなくなり息を深く吐くインゴベルトへ労いの声をかける公爵だが、そのやり取りにそっとアッシュは歯を噛んでいた。
「・・・話をしてもよろしいでしょうか、陛下?」
「・・・うむ、いいぞカノン」
そんな様子を横目で確認していたカノンだがそこには触れず話を振り、インゴベルトも気を取り直して頷き返す・・・ここでアッシュの不満など掬い上げても何の意味もないどころか、ナタリアの事を甘くするように進言すれば余計に状況が悪くなりかねない為に。
「アクゼリュスを落とさないと決め、アクゼリュスの救助も大方済んだ以上はキムラスカからマルクトへの渡りをつけることは必要不可欠かと思われます。こちらに大佐がいる事に加え、マルクトにもそろそろこの問題について考えていただかなくてはいけない時期に差し掛かってると私は見ています」
「うむ・・・それもそうだな。状況的にもそろそろマルクトにこの事を伝える必要はあるだろう。それにアクゼリュスの救助が無事に済んでいるとなれば和平についての事もある・・・そうなればピオニー陛下にも話をつけねばならぬが、そちらはマルクトに戻るつもりはあるか?」
「・・・はい、そろそろ私もグランコクマに戻らねばならない時期に差し掛かっていると思っていました。ですのでインゴベルト陛下がよろしいのでしたら事の次第を記した手紙に、和平の締結の為の書状をしたためていただければありがたいのですが・・・」
「うむ、そう言うことならすぐに手紙を書こう」
そんなカノンが切り出したのはマルクトに対しての事でインゴベルトはジェイドに話を振り、その前向きな要求にすぐに頷く。
「・・・ただ、一つよろしいでしょうか?」
「む・・・どうしたのだ?」
「こちらのカノンに今謡将達と共にいる三人についてですが、陛下はどのようにお考えなのでしょうか?カノンは既にファブレに関係のなくなった者で、残り三人に至っては身分すら不透明な存在・・・そのような者達にまだ活動させるつもりでしょうか?」
「っ・・・!」
「っ・・・むぅ・・・」
だがジェイドがそこで投げ掛けた問いにカノンは眉を寄せ、インゴベルトも考え込むように唸った・・・確かに今カノン達四人は身分不確かな状態、特にカノンがファブレを辞めたのならキムラスカに関係する者ではない為に。だがここで敢えてその事を切り出す理由をカノンは確かに感じていた・・・切り出す際に隠してはいたが自身を見た時の鬱陶しい物でも見るかのような視線に、ここで自分達の立場を貶めるつもりなのだと。
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