動く世界に聖闘士達

・・・城でのインゴベルトとの極秘の対談、それを無事に終えてから一夜が明けた。



「・・・カノンはもう屋敷か・・・」
「あぁ、そうだろう。今頃はアッシュを元に戻すように話をしている最中の筈だ」
宿の窓から上を見上げるように呟くルークにアイオロスが敬語を外した状態で答える・・・アイオロスが敬語を外した理由はルークからもう自分はファブレの人間ではないから普通に接してほしいと言ったからだ。それを聞いたカノン達はルークがそれでいいと言ったこともあり、普通の態度で接することになったのである。










・・・そしてルークがそのように気にするファブレの屋敷の中ではアイオロスの言ったよう、アッシュを『ルーク』として戻すように話が進められていた。



「・・・とまぁ、このようにルークは記憶を取り戻してバチカルに戻ってきたと言うわけだ。それと同時にカノンも屋敷に来る前の記憶を取り戻し、本来の主の元に帰る為にファブレを出るとのことだ。昨日カノンが屋敷にまで来て私に呼び出しをかけたのを知っている兵士もいるだろうが、それはルークに自分の事を混乱が起きないように先に話したいと言い出したからである」
「「「「・・・」」」」
屋敷の庭に集まった人間の前、公爵は横に無難に黒のズボンに白のシャツを着たアッシュにカノンとジェイドを付けた状態で話をしていた。



・・・さて、公爵がどのように話をしたのかと言えば単純に『ルーク』とカノンがアクゼリュスでの救助作業にて坑道の落盤に巻き込まれ、その際の衝撃で記憶を取り戻したという物だ。それで『ルーク』の服は使い物にならなくなり着替えてきて、いきなり記憶が戻ったことによる混乱によりこの七年の間の記憶が多少不安定になっていると言ったのである。



「故に、これからお前達にはその事を頭に置いて職務に殉じてもらいたい。ルークの記憶は戻ってこそはいるが、まだ安定するまでに時間が必要なのでな。それにカノンに辞めてもらいたくないと言うのは私の本音ではあるが、だからと言って無理に引き止める事は出来んのだ。いいな、お前達?」
「「「「はっ!」」」」
「よろしい・・・ではこれで解散だ、各々の職務に戻るように。我々は陛下に報告をするために少し出る・・・では行こうか」
それで話をまとめアッシュにカノンの事を言うと一同は了承を返し、その返答に納得した公爵は三人へと視線をやってから共に場を退出をしていく。






・・・そして屋敷を出て城の中に入った一同は再びインゴベルトの私室に来た。そこにはインゴベルトとナタリアの姿がある。
「・・・ルーク!」
「っ・・・ナタ、リア・・・」
四人が入室したのだがアッシュの姿を見るなり多少痩せこけたようなその顔で名を呼ぶナタリアに、アッシュは様々な感情が入り交じった複雑な表情で名を呼び返す。
「控えよナタリア・・・まずはお前をここに呼び出した理由を話す。だがこの話は決して他に漏らしてはならない他言無用の物だ。心して聞くように・・・いいな?」
「は、はい・・・分かりました・・・」
すぐさまインゴベルトが制止をかけると共に厳しく注意を向けると、ナタリアは圧されたようになりながら頷く・・・一晩で様々に考えて覚悟が決まったのだろう、インゴベルトの声には確かな強さがあった。















・・・それでインゴベルト主導の元でカノン達による補足などを混ぜつつも、話を進めていった。ナタリアの立場が今現在危うい事や、アッシュの事実にルーク達がファブレを出ることを。その話にコロコロと表情を変えていくナタリアであったが、自分の今の立場がそういいものでないことを聞かされたこともあってか話の中で何個か質問することはあれども複雑そうに大人しく話を聞いていた。










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