双子の片割れと三人の聖闘士の介入

「ふふっ、ありがとうございますアニス・・・ですがその僕の為にチーグルの調査はしてくれなくて大丈夫です。見ず知らずの貴方にそのようなことをしていただくわけには・・・」
「構いません。今の貴方は一人では行かずとも、チーグルの調査を諦めたいとは思ってはいないはず。それでお話を聞いてみれば他にも連れはいると思われますが、そちらはどうやら導師の考えに賛同していないかもしくは頼みにくい立場にいる・・・そうですね?」
「っ!・・・はい、そうです・・・」
そんなアニスに優しく微笑みかけるイオンだが、チーグル調査まではしてこなくてもと断ってくる。だがアイオロスはその背後関係を見透かしたような推測をぶつけ、イオンは驚きうなだれその推測を肯定する。
「そのような状況で貴方を放っておけばうまくいかないジレンマに襲われ、最終的にまた一人で調査に向かいかねません・・・ですので私が行くと申し上げているのです。貴方に安心していただくために」
「・・・よろしいんですか、僕の為に?」
「気にしないでください、こちらもそうしたいと思っているのですから」
「・・・ありがとうございます」
更にだめ押しするようイオンの内心を押さえた上で自身の意志もあるとアイオロスが優しく包み込むよう微笑みかけて言えば、とうとうイオンも観念して感謝して頭を下げた。
「・・・では早速私はチーグルの調査に向かいたいと思います。導師もその連れの元に戻られてください。途中までお送りします」
「すみません、ありがとうございます」
「ではカミュ、後は頼んだぞ。すぐに戻る」
「・・・えぇ、わかりました」
アイオロスはその返答を受け取り早速と一緒に宿を出ようというとイオンもすんなり頷き、後を任されたカミュから分かる者には分かる疑念の視線を受けながら三人は宿を後にする・・・
『・・・アイオロス、どういうつもりだ?』
『いや、ちょっとな』
・・・だがアイオロスの本心を聞かずにはいられなかったカミュは、小宇宙を介してのテレパシーでどういう事かと問いかける。
『導師の事を放っておけないというのも事実だが、導師守護役の子が言ったことが気になってな』
『・・・大佐と言った事か?』
『あぁ。ここはマルクトだ・・・まず間違ってもその大佐というのはキムラスカに所属する大佐ではないだろう。そこで宿にいつまでもいてもらわれたら、最悪その導師を迎えに来た大佐と戻ってきたルークが鉢合わせしかねんからな。だから宿から早く離れてもらう意味合いも含めてあぁ言ったんだ』
『・・・そう言うことですか』
それでアイオロスから出てきたのは情報を色々推測した上で早くイオン達を場から引き剥がしたかったからこそやったという声。冷静でいて妥当な判断に始めは疑うようだったカミュの声も、最後には険が取れていた。
『ただ行くと言った手前もあるし、導師の事が放っておけないというのも嘘ではないからな。私はこのままチーグルの森に行ってくる、すぐに戻ってくるから後は頼んだぞカミュ』
『わかりました。あの導師の事ですからまたこちらに伺ってくる可能性がありますからね。その時貴方がいて変に誤魔化すよりはその方がいいでしょう』
『あぁ。では頼んだぞ・・・』
しかし言ってしまった事は変えられない上に、心は無視出来ない。本当に行くと言うアイオロスにカミュもそうでないと都合が悪いと行くことを許容し、アイオロスの頼むとの声を最後に二人のテレパシーは切れた。
「・・・予想より波乱が待っているものだな。まぁ仕方ない、カノン達が戻ってくるまで待つか」
一人残されたカミュはそっと呟きながらまた本を手に取り視線を向ける、想像以上の事態に対応するためまた知識を洗い直して叩き込むために・・・








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