取捨選択を求められる者達
「・・・まぁとりあえずは私は全面的に降伏と言うか、貴殿方に従わせていただきますよ。私としましてはここで死ぬような事は避けたいのですが、現状でそうしたいのならば貴殿方の意向に従った方がいいでしょうしね」
「・・・ではお前は命を保証するなら俺達に従う。それでいいのだな?」
「まぁそうなりますね」
「・・・ふむ・・・」
それでディストが少しの間を空けて出した恭順を示す声に、カノンは少し考え込むように手を口元に置き声を上げる。
「・・・わかった。ならばそちらの方向で話を進めてやろう。もう戻っていいぞ」
「もういいのですか?」
「あぁ・・・だが部屋には一人で戻れ。まだカミュに話すことがあるんでな」
「分かりました、では失礼しますよ」
そしてもういいとカミュを残し戻るようにカノンが言えば、意外そうにしながらもすぐに頭を下げディストは部屋を退出していく。
「・・・話とはなんだ、カノン?」
「お前も薄々察しているんじゃないのか?・・・ディストの事を信用すべきでないことをな」
「・・・確かに私もそう思っている。先程の会話でそう感じた」
ディストがいなくなり早速の疑問を口にするカミュだが、その心中は同じだろうと聞くカノンに同意を示し頷く。
「奴は心底からの信頼を謡将に向けてはいないとあっさり言い切った。そしてその上で自分の命の危険に対して簡単にこちらになびくように発言した。おそらく我々がいる内は裏切ることはないだろうが、我々がいなくなったなら即座に自分の目的の為に行動するのは容易に想像がつく」
「自分の目的って、ディストは何をしようとしてるんだ・・・?」
「そこまでは分かりません。ディストの目的については聞いてはいませんので。ですが謡将から協力を切り出されレプリカ技術を提供していることを考えると、レプリカ技術を用いた何かと言うことまでは検討はついています。彼がレプリカ技術を研究していたところに接触したことを思うとまず間違いないかと」
「あぁ~・・・でもディストのあの感じを見ると何か謡将みたいに世界をどうこうするみたいには感じないと思うけど・・・」
「それは私も同感です。彼の性格もですが謡将が来るまで一人でレプリカ技術を研究していたことを考えると、元々の目的は多数の誰かであったり国などとは縁遠い何かではないかと私は見ています。謡将が目指していたような広く大きい大義をかざすものと言うより、狭く小さい極めて個人的な目的ではないかと」
「個人的な目的、か・・・」
そのままカミュはそう思った理由を話していきルークがその理由について聞くと、言葉を丁寧にしつつ個人的な物ではと予測した答えを返しルークは何とも言い難い様子で眉を寄せる。
「・・・なぁカノン、ディストに対して何か対策は取る気はあるのか?それにディストの本音を聞く気はどうなんだ?」
「・・・現状で元々から自ら戦えないディストが戦力のない今、何か大それた事をするとは思えませんので対策を取ることは特には必要ではないでしょう。ただ本音を聞くかどうかについてですが・・・今すぐこちらにディストを戻してと言うのは不自然ですし、もし聞いたとしてもラルゴと違い正直に答えてくれるかどうかは微妙でしょう。ただ彼の性格を考えれば我々に恐怖を抱き本音をすぐに話していただける可能性も十分に有り得ますが、ディストも腐っても六神将・・・嘘をついて我々を欺く可能性もないわけではありません」
「じゃあどうするんだ・・・ディストの事は?」
「・・・ディストの偽らざる本音を知ることは出来ない訳ではありません。事実既に知っているであろう者はいます」
「知っている者・・・?」
ルークはそこでカノンに視線を移しディストについての話をしていくのだが、深く進んでいく話の中で第三者の存在が出てきて誰かとルークは眉を寄せる。
「先の謁見の間で大詠師の精神を攻撃した者です。名は一輝と言い青銅の聖闘士ではありますが黄金の我々にも実力でひけを取らない者で、ルーク様は顔を合わせていませんがアクゼリュスにもいました。そしてその一輝の技と言うよりは能力ですが・・・心の内を覗き見る能力を持っています」
「心を覗ける?・・・それってすごすぎる事じゃねーか・・・」
「一輝の力は黄金を含めた全聖闘士の中でも異質と言えます。そしてその一輝はアクゼリュス付近で六神将と会い、その心の内を覗き見たというような事を言っていました。おそらくそう遠くない内にまた会えると思いますので、その時にディストの事を聞いてみたいと思います」
「そ、そうか・・・」
・・・その第三者とは一輝の事。
カノンが説明する一輝の人物像と能力にルークは少し唖然としながらも納得する、ディストの事は一輝に聞くとの事を。
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「・・・ではお前は命を保証するなら俺達に従う。それでいいのだな?」
「まぁそうなりますね」
「・・・ふむ・・・」
それでディストが少しの間を空けて出した恭順を示す声に、カノンは少し考え込むように手を口元に置き声を上げる。
「・・・わかった。ならばそちらの方向で話を進めてやろう。もう戻っていいぞ」
「もういいのですか?」
「あぁ・・・だが部屋には一人で戻れ。まだカミュに話すことがあるんでな」
「分かりました、では失礼しますよ」
そしてもういいとカミュを残し戻るようにカノンが言えば、意外そうにしながらもすぐに頭を下げディストは部屋を退出していく。
「・・・話とはなんだ、カノン?」
「お前も薄々察しているんじゃないのか?・・・ディストの事を信用すべきでないことをな」
「・・・確かに私もそう思っている。先程の会話でそう感じた」
ディストがいなくなり早速の疑問を口にするカミュだが、その心中は同じだろうと聞くカノンに同意を示し頷く。
「奴は心底からの信頼を謡将に向けてはいないとあっさり言い切った。そしてその上で自分の命の危険に対して簡単にこちらになびくように発言した。おそらく我々がいる内は裏切ることはないだろうが、我々がいなくなったなら即座に自分の目的の為に行動するのは容易に想像がつく」
「自分の目的って、ディストは何をしようとしてるんだ・・・?」
「そこまでは分かりません。ディストの目的については聞いてはいませんので。ですが謡将から協力を切り出されレプリカ技術を提供していることを考えると、レプリカ技術を用いた何かと言うことまでは検討はついています。彼がレプリカ技術を研究していたところに接触したことを思うとまず間違いないかと」
「あぁ~・・・でもディストのあの感じを見ると何か謡将みたいに世界をどうこうするみたいには感じないと思うけど・・・」
「それは私も同感です。彼の性格もですが謡将が来るまで一人でレプリカ技術を研究していたことを考えると、元々の目的は多数の誰かであったり国などとは縁遠い何かではないかと私は見ています。謡将が目指していたような広く大きい大義をかざすものと言うより、狭く小さい極めて個人的な目的ではないかと」
「個人的な目的、か・・・」
そのままカミュはそう思った理由を話していきルークがその理由について聞くと、言葉を丁寧にしつつ個人的な物ではと予測した答えを返しルークは何とも言い難い様子で眉を寄せる。
「・・・なぁカノン、ディストに対して何か対策は取る気はあるのか?それにディストの本音を聞く気はどうなんだ?」
「・・・現状で元々から自ら戦えないディストが戦力のない今、何か大それた事をするとは思えませんので対策を取ることは特には必要ではないでしょう。ただ本音を聞くかどうかについてですが・・・今すぐこちらにディストを戻してと言うのは不自然ですし、もし聞いたとしてもラルゴと違い正直に答えてくれるかどうかは微妙でしょう。ただ彼の性格を考えれば我々に恐怖を抱き本音をすぐに話していただける可能性も十分に有り得ますが、ディストも腐っても六神将・・・嘘をついて我々を欺く可能性もないわけではありません」
「じゃあどうするんだ・・・ディストの事は?」
「・・・ディストの偽らざる本音を知ることは出来ない訳ではありません。事実既に知っているであろう者はいます」
「知っている者・・・?」
ルークはそこでカノンに視線を移しディストについての話をしていくのだが、深く進んでいく話の中で第三者の存在が出てきて誰かとルークは眉を寄せる。
「先の謁見の間で大詠師の精神を攻撃した者です。名は一輝と言い青銅の聖闘士ではありますが黄金の我々にも実力でひけを取らない者で、ルーク様は顔を合わせていませんがアクゼリュスにもいました。そしてその一輝の技と言うよりは能力ですが・・・心の内を覗き見る能力を持っています」
「心を覗ける?・・・それってすごすぎる事じゃねーか・・・」
「一輝の力は黄金を含めた全聖闘士の中でも異質と言えます。そしてその一輝はアクゼリュス付近で六神将と会い、その心の内を覗き見たというような事を言っていました。おそらくそう遠くない内にまた会えると思いますので、その時にディストの事を聞いてみたいと思います」
「そ、そうか・・・」
・・・その第三者とは一輝の事。
カノンが説明する一輝の人物像と能力にルークは少し唖然としながらも納得する、ディストの事は一輝に聞くとの事を。
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