変遷は聖闘士の引き起こす猛威

「六神将に対する話はそこまでにしていただいてよろしいでしょうか?こちらの話はまだ終わってはいません」
「話だと・・・預言を歪めた貴様らが何を言う!」
「部下の管理もまともにせずにいた貴方が何をおっしゃるのですか?今ここで初めて事実を知った・・・つまりはそのまま事が進んだなら、預言通りでない事態になったことを見過ごしていただろう事も分からないのですか?」
「ぐっ・・・!」
カノンが次の話に移らんと声を上げるが、激昂して指を指してくるモース。しかしまたもやブーメランで冷ややかに返され一気に言葉を詰まらせる。
「・・・むぅ・・・だ、だがカノンとやら・・・このようにヴァン達を捕らえバチカルにまで戻ってきた理由とは、もしやわしにどうするかの決断を委ねるためか・・・?」
「それもあります。ですが公爵様を始めとした我々がこちらに来たのは陛下にダアトとの国交の見直しの件も含めて決断していただくためです」
「っ、国交だと・・・!?」
「き、貴様!執事風情が何を血迷ったことを!」
「黙れ大詠師!今カノンの言葉は私の言葉も同義!それを遮る事は私の言葉を遮る事と同義とするぞ!」
「っ・・・くぅっ・・・!」
少し落ち着いた時にインゴベルトが慎重に自身の予測も交え真意を問うてきたことにカノンは本心を明かすが、たまらず割ってきたのは怒声のモース。しかし公爵からすかさず邪魔するなと声を上げられた事に悔しげに歯を噛む。流石に公爵相手に偉そうな態度を一貫出来ないために。
「言葉を選ばずに申し上げますが今このような状況を産み出したのはひとえに各々の思惑があったとは言え、ダアトの介入を易々と許したことが発端になります。謡将の事はもちろんですが、大詠師のような人々を引き入れていた事がナタリア様に関する出来事を起こされた発端に」
「「「「・・・っ!」」」」
「ナ、ナタリアだと・・・まさかクリムゾンからそなたは事実を・・・!?」
「はい、先程お聞きしました」
援護を受けたのもありカノンは構わず話を続けていくのだが、ナタリアと名が出た事にアッシュを除くダアト所属の人間・・・特にラルゴが目を限界まで見開いて驚き、インゴベルトがまさかと汗を浮かべ確認を取ってきたので頷く。
「おい、ナタリアの名前が出たがテメェは何を知ってやがる・・・すぐに吐きやがれ!」
そんなダアト所属の中で一人事実を知らないアッシュがカノンに因縁をつけるかのように声を上げる、説明をしろと。
「・・・まだ話が続きますので端的に申し上げますが、今のナタリア様は本物のナタリア様が死産の為にキムラスカに内密でほぼ同時期に産まれた子供を身代わりにしたてあげた・・・偽物の存在になります」
「なっ!?ナタリアが偽物、だと・・・!?」
「カ、カノン・・・それ本当なのか・・・!?」
「公爵様の話では大詠師の話から証拠も上がっているとの事です」
「「・・・っ!」」
カノンは体を後ろに向けて淡々と事情を説明するとアッシュに加えルークも初めて聞いた事実に愕然とし、証拠があると言うと二人ともに目を見開き口も空いたままとなった。
「それらの事実を先にお話しなかったことについては謝罪します。ですがこの事実は出来る限り人がいない状況でしか言えるものではありませんでした。この場にお二方がいらっしゃるように」
「・・・確かに、ナタリアの事が明らかになったらすごいことになりそうだな・・・」
「えぇ、容易に想像が出来ます。キムラスカが混乱に包まれる状況が・・・ですが今もっと問題なのは、大詠師のような輩がキムラスカに入り込んでいることです」
「「・・・っ!」」
カノンは謝罪と共に説明を向けるとルークが納得したことに体を前に戻し、鋭く力のこもった視線を向けインゴベルトとモースをたまらず身じろぎさせた。










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