変遷は聖闘士の引き起こす猛威

「ルーク様は例え自分が下になってもと、その意志を示されたんだ。そしてその意志は並大抵の事で覆ることはないのはお前も分かるはず・・・認めるんだカノン。これ以上説得して反対しようとするのは無粋なのもだが、その強い意志に対する無礼にもなるぞ」
「ぐっ・・・だ、だがいきなりそのようなことは・・・」
「それにだ。あくまで今の話はバチカルにルーク様がいられなくなったらの話だぞ?始めから可能性がダメなものと決めてどうする?こちらが尽力してバチカルにいてもらうようにすればそれでいいんじゃないのか?」
「ぐ・・・それは、そうだが・・・」
そんなアイオロスがルークの意志を擁護しつつそうなると決まった訳でないと言えば、道理を得ている為にカノンは言葉に詰まる。
「ちゃんと言葉を返せないなら決まりだ。この事についてはバチカルでどうなるかが決まってから改めて話せ。でないと今のお前の状態では押し問答になるだけだ。そのようなことは俺もルーク様も望んではいないぞ」
「うっ・・・分かった、そうしよう・・・」
「すげぇな、アイオロス・・・カノンを黙らせるなんて初めて見たぞ・・・」
「いえ、それもルーク様の言葉があってのことですよ」
すかさずこれ以上は意味がないと告げればようやくカノンも観念したように頷き、ルークは快挙とも言える行動を誉めるとアイオロスは爽やかに微笑み謙遜を持って返す・・・こう言った好人物の面と共に強かさが同居しているからこそ、アイオロスは教皇という立場に相応しいと見られたのだ。
「しかし兄上か・・・そのようにカノンが呼ばれるとは、サガが驚くだろうな。弟が新たに出来たと」
「・・・サガには会ってもらっていないんだ。そのようなことを言うな」
「サガって、確かカノンの双子の兄上なんだよな・・・仲違いして海に行ってから会わずにいて、ハーデスって神と戦う時に顔を合わせたのが最期だって言ってたけど・・・どういう人なんだ?」
「そうですね・・・まだバチカルに着くまでには時間もありますから、こちらに来ていない仲間の分も話をしましょう。私の弟でもあるアイオリアの分も・・・」
と、アイオロスが兄の単語からサガにと話を移すとカノンの微妙そうな反応に反してルークの興味を浮かべた反応が返ってきた。その事にアイオロスは嬉しそうに仲間の事を話し出す、特に自分の弟であるアイオリアの事を誇らしげに・・・














・・・そのようにして若干カノンが何とも言えない空気をまとっていたが、アイオロスの話により穏やかに船内で一同は過ごしていた。そして時間は経ち、船はバチカルの港へと着いた。



「・・・さて、こうしてバチカルに着いた訳ですが街中でみだりに騒ぐような真似をするようであれば即刻気絶させます。それと城に着いたなら貴殿方は出来る限りこちらの指示で話すようにお願いします。よろしいですね?」
「「「「・・・」」」」
・・・再び変装をした状態で港に降り立ち、人目を気にして少し影の方に移動した後に落ち着きを取り戻したカノンにより注意を言い渡されるヴァン達四人は沈黙する。
「・・・肯定と見なします。では行きましょう、公爵様がお待ちです」
返答がなくともとっとと話を進めるカノンにルーク達は頷き先を歩き出し、ヴァン達もその後を黙って付いていく。









・・・それで天空客車を乗り継ぎ、最上層へと辿り着いたカノン達は城の門の前で立っていた公爵の前にまで来た。
「・・・お待たせしました、公爵様」
「うむ・・・あまり長々と話をして陛下を待たせる訳にもいかんから早速城に入るぞ。後段階を踏むためにもまだカノンにアイオロス達三人以外はその変装を解かないでいてくれ。でなければ陛下が混乱されて話を受け入れられん可能性もある」
「「「はっ」」」
そこでフード付きのマントを取り顔を見せるカノンに公爵は早速と話をしていき、アイオロス達三人はスッと同じようにマントを脱ぐ。
「では行くぞ・・・この国を変える為に」
そして公爵の決意を込めた言葉と共に一同は城の方へと歩き出す・・・様々な想いを思い思いに抱えながら・・・









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