双子の片割れと三人の聖闘士の介入

「・・・あー、カノン。謡将がどうとかあの女がどうとか、バチカルに戻ってからにしねーか?正直ここで話したって何にもなんねーし、経過をまとめるのはバチカルで謡将と女を吐かせた時でいいじゃねーか」
「あ、カノン・・・それ俺も賛成。自分で言ってなんだけど、これ以上あいつらのこと考えるの面倒い・・・」
「・・・そうですね。そうしましょう」
・・・考えれば考えるほど聖闘士であるカノン達の神経ですら、ガリガリと削っていく。
いっそ思考を放棄したいといった疲れた様子でデスマスクがもう止めるぞと言えば、ルークも自分でダメージを自覚しながら疲れたよう賛成しカノンも少しホッとしたよう同意した。
「そうと決まれば辻馬車の手配をして参りたいと思います・・・ルーク様、三人と一緒にお待ち出来ますか?」
「・・・いや、ちょっと俺も出たいから付いてく。ここがマルクトってのは知ってるけど、まだ少し外を歩きたいんだ」
「・・・わかりました。ではデスマスク、護衛として付いてきてくれ」
「あいよ」
それで気分転換にと辻馬車の手配に行くとカノンは言うが、三人と待てるのかを問う。その問いに少し考え込み一緒に行くと立ち上がるルークに、カノンもゆっくり頷きデスマスクに付いてこいと言い気持ちを変えてデスマスクは楽し気に立ち上がる。
「すまんが二人は一応あの女の見張りをしていてくれ・・・ではな」
「あぁ、行ってこい」
そうなればまたカミュとアイオロスの二人が残ることになる。その事にカノンは一応二人に謝るが、アイオロスの笑顔の送り出しに微笑を浮かべカノン達は宿を出ていった。
「・・・さて、どうするか・・・」
「適当に本でも借りてこの世界の知識を得ましょう。今の我々はこの世界であまりにも無知すぎます。カノンに聞くのを待つのでなく少しでも自分達で情報を得るべきです」
「そうだな、そうするか。では俺は宿の主人に頼んでありったけの本を借りてこよう」
「お願いします」
また二人残された所でアイオロスがどうするかと言うが、カミュが冷静に本を読もうと理知的に薦めればすぐに賛同して動き出す。その頼もしい後ろ姿にカミュは一声かけた。






・・・そこからアイオロスが借りてきた分野を問わない本の山をテーブルに置き、二人は本を読み出した。聖闘士である二人の集中力は凄まじく、特にカミュの本を読むペースは尋常ではなく早かった。最初こそ文字の形に戸惑い古代イスパニア文字などの言語があることに戸惑ったが、カノンに小宇宙を介したテレパシーで文字の形を内緒で教わった事でコツを掴みそこからは流れる速さで本を読めるようになった・・・その辺りにも聖闘士としてのスペックの高さは活かされているようだ。とはいってもこれは黄金である二人だから、というのもある。青銅及び白銀でここまで出来る者はまずいないだろう、実力では比肩する星矢達であっても・・・



「・・・む」
「この気配は・・・」
・・・あらかた本を読み終わって一息ついた所で、二人は宿の入口の方へ何かに気付いたよう振り向く。そこから現れたのは・・・
「あ、こちらにいたんですね」
「・・・何か御用でしょうか、導師?・・・今度は導師守護役をお連れして・・・」
導師イオンの嬉しそうに入室してくる姿にその後ろに付いてきている導師守護役の娘の姿。本で得た知識でダアトの事も知ったカミュは、本を閉じながら用向きを問いつつ同時に何故今度は導師守護役がいるのかと丁寧に問う。









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