変遷は聖闘士の引き起こす猛威

「それに、もし・・・俺がキムラスカに残れないような状況だったら、小宇宙を使えたならカノン達と一緒に行けるのかなって思ったんだ・・・」
「「・・・っ!」」
そこからルークから出てきた弱った声にカノンもアイオロスもハッとした、これからの状況次第ではルークは認められず居場所がなくなってしまう可能性があるのを失念していたことで。
「・・・まだどうなるか分からないってカノン達が言いたいのは分かる・・・けどだからって俺の為にカノンが行き場を無くしてずっと日の目を浴びない生活をするなんて、俺にはそっちの方が耐えられない・・・!」
「・・・だから小宇宙の事を聞かれたのですね」
「あぁ・・・それなら今までずっと世話になってきた分、今度はカノンの為にも何か力になれないかってさ・・・」
すかさず励ましの言葉への牽制も兼ねて自分の為にそこまでしてほしくないと身を切るよう漏らすルークは、アイオロスの声に以前から考えていたといったように力なくうなだれつつ漏らす。カノンの為にと。
「・・・本気、なのですか?私の元いた世界に行ったのなら、おそらくオールドラントに戻ることはもうないでしょう。元々オールドラントにアイオロス達が来れたのもたまたま私が高めた小宇宙をムウが捉え、こちらに来ていないシャカという者により地球とオールドラント間の道筋を繋ぐようにしているために他の聖闘士達はここに来れるようにしていただいているのです。ですが結末がどうあれアイオロス達が地球に戻ることになれば両世界をあえてシャカが道筋を標し繋ぐ必要はなくなり、もうこちらと行き来をする事もなくなります・・・それでももしもの時は私と共に地球に参りたいと言うのですか?そうなれば戻れない事もそうですが、私と貴方の間で主従関係という物は最早継続出来なくなります」
「・・・っ!」
「・・・確かに私がファブレの屋敷に入った理由は貴方の側にいたいと思ったことが元ではあります。ですが地球に戻ればファブレは当然存在せず、私もアテナの意向次第になりますがお許しをいただければアテナにお仕えする事を望みます。そうなれば私も貴方の身を立てるためにも動きますが、それはすなわち主従関係の終焉に私の庇護下に入ることを意味し私より立場が下になることになります。口調も今のようにとはいかず、アイオロス達と話すように砕けた物になります・・・それでもよろしいのですか?」
「・・・」
だがカノンは甘い顔はせず真剣な表情を浮かべむしろ現実を見させるようその場合のシミュレーションを詳しく述べていき、ルークはその言葉に一瞬ビクッとしたが最後の問いかけに沈黙をする・・・が、すぐに勢いよく顔を上げた。
「俺はそれでも構わない・・・多分そうなったら迷惑ばかりかけることになるかもしれない・・・だけど俺はカノン、いや兄上の役に立ちたいんだ!」
「っ・・・私を、兄・・・!?」
「言ったろ、俺はカノンを兄上のように思ってるって?・・・でも立場的に俺が役に立てることってそうないし、ファブレから出されるような事になったら本当に俺には何もないから・・・せめて兄上の為に役に立てるようになりたいんだ」
「っ・・・そっ、それは・・・」
「認めてやれ、カノン」
「アイオロス・・・」
そして揺るぎない意志、カノンの為に・・・兄の為にと言い切るルークに、カノンは逆に動揺をさせられることとなった。それで尚自分の意志をまっすぐに告げるルークに何とか返そうとしたが、自分の肩を叩き爽やかな笑みを浮かべるアイオロスに何をと視線を向ける。









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