変遷は聖闘士の引き起こす猛威

「・・・では導師の件は言わずに済ませるが、そろそろルーク達はこのバチカルに到着するのであろう。私はその船が着くだろう時間を見計らい陛下と謁見出来るように準備をしてくるが、お前はどうするカノン?」
「港でルーク様達の到着をお待ちします。スムーズに公爵様との話の内容を城に着くまでにお伝えするために」
「うむ、分かった・・・では私は城に向かう。門の前で待つようにしているからそのまま城まで来てくれ。それとミロはまた導師達と共にゆっくりとしてくれればいい。ではな」
「はっ」
それで空気を切り替えいよいよ出陣と言わんばかりに公爵はカノンと会話を交わし、意を新たに準備の為にその場を後にする。
「では俺も船の方へと戻らせてもらう」
「あぁ・・・だが気をつけろ。腕に物を言わせればそれでいいような単純な物ではないんだからな。これからのことは」
「フッ・・・困難だからと身を引くような惰弱な気持ちでいるくらいなら、俺は最初からここにはいないさ」
「フッ、そうか」
カノンも後に続こうとミロに声をかけ、心配をする声に自信を浮かべた微笑を持って返し場を後にしていく。ミロもその後ろ姿に満足そうに微笑を浮かべた。















「・・・っと」
「あっ、カノン・・・戻ってきたんだな」
「はい、ただいま。公爵様とは無事に話をつけてまいりました」
・・・それで場は移り再びルーク達の乗る船の中。
ルークとアイオロスのいる船室にテレポーテーションで戻ったカノンは優しげな微笑を浮かべる。
「うまくいったんだな?」
「あぁ・・・後はバチカルに着くのを待つだけだ」
「そうか・・・」
「・・・なぁ、カノン。一ついいか?」
「・・・どうされましたか、ルーク様?」
アイオロスもまた確認の声を向けカノンの返答に満足する中、ルークの神妙な声がまたカノンに向けられる。
「その、聖闘士として必要な力って小宇宙だって言ってたけど・・・それって俺にも使えるようになれるのか?」
「・・・どうしてそのようなことをとお聞きしたいのですが、まずは質問にお答えします。そもそも宇宙とはビッグバンによる大爆発により生まれた物で、この星も石も花も言ってみれば宇宙の一部・・・そしてそれは人と言う存在も例外ではありません。通常であれば人は小宇宙を感じるに至る領域には入れませんが、並々ならぬ修行を幼い頃から長年費やして小宇宙を感じ小宇宙を燃やせる領域に入れるかどうかになります。厳しい修行を通しても小宇宙を扱えない者は当然存在します・・・ただ生まれながらにして小宇宙を感じ燃やすことが自然に出来るようになる者もいないわけではありませんが、そのような者は稀と言ってもよろしいでしょう」
「・・・そうか・・・」
それで切り出された質問は小宇宙についての物でカノンが律儀にその難しさについて語ると、ルークはまた神妙な様子で静かに考え込む。
「・・・何故そのようなことをお聞きになられたのか、お聞きしてもよろしいですか?」
「・・・いや、俺も小宇宙が使えたらカノン達の力になれたんじゃないかって思ったんだ・・・その、さ・・・俺はずっとカノンに守られてきたけど、それでいいのかって思ってな・・・」
「・・・あぁ、そういうことでしたか」
そんな様子にカノンは答えてもらおうと改めて声をかけるのだが、恥ずかしげにだが確かにカノン達の事を思い自分の気持ちを明らかにするルークにアイオロスも共に微笑ましげな顔になる。だがそこで本来なら恥ずかしいと声を上げるかに思われたルークの顔が曇ってしまった。








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