変遷は聖闘士の引き起こす猛威

「・・・では私は先に話を聞きに行って参ります」
「あぁ、わかった・・・っ!・・・って本当に消えたよ・・・」
・・・それで船室の中、アイオロスも共にいる部屋の中でカノンはルークと会話を交わした後にテレポーテーションで部屋から消える。ルークはその様子に目を丸くしながらアイオロスへ視線を向ける。
「聖闘士って、全員あんなことが出来るのか・・・?」
「程度の差に聖衣のランクで使える技に違いはありますが、黄金ならテレポーテーションは皆使えます」
「皆、か・・・随分とすごいんだな、聖闘士・・・特に黄金って・・・」
その力について驚きを隠せないと声をかけるルークにアイオロスは笑顔で当然の事と答え、何とも言えない複雑そうな表情を浮かべる。
「・・・とりあえずカノンが戻ってくるまで待ちましょう。先に今の状況を調べるためにバチカルに戻ったカノンを」
「あぁ・・・」
アイオロスが見かねて話題転換にとカノンが消えた訳を新たに口にすると、ルークは真剣に頷く。



・・・そう、カノンがテレポーテーションでいきなり消えたのはバチカルの様子を探ってくるためだ。これから突入するとは言え、無為無策に事を進める訳にはいかないとカノン達が考えて。尚デスマスクにカミュの二人はヴァン達を監視するために別の部屋にまとまっていて、アイオロスはルークの護衛の為にと一人で一緒にいることにしたのだ。












「・・・よし、誰もいないな」
・・・それでカノンはテレポーテーションの到着点であるバチカルの外れに現れると、誰も周りにいないことを確認してフード付きのマントを身に付け歩き出す。バチカルの中へ入る為に。






・・・そしてバチカルの中に入ったカノンだが、空気として変わった様子の見えない街の様子を確認しながら上の階層へと向かった。



「・・・すまない、ちょっといいか?」
「っ・・・お前はカノン・・・一体どうしたんだ、その格好は・・・?」
「すまないが訳は深くは聞かないでくれ。それよりも今は公爵様は屋敷におられるか?おられるなら内密に話したいことがあると早急に話を通してほしいのだが・・・」
「お前がそこまで言うとは・・・分かった。公爵様は屋敷におられるからすぐに話に行ってくる」
・・・そのままの足でファブレ邸の前に来たカノンは屋敷の前にいた白光騎士団の兵士の前に行き、そろっとフードを上げ声を上げる。兵士は普段にない様子に驚くのだがカノンからまた滅多にない緊迫感に満ちた要望がきたことにすぐに頷き、屋敷の中へ入っていく。



・・・そして数分後、その兵士が屋敷の中から出てきた。
「待たせたな・・・公爵様は応接室で待つからすぐに来てくれとのことだ」
「あぁ、すまない」
勢いそのままにすぐに入れと言われカノンもすぐに屋敷の中にそのままの姿で入っていく。






・・・そして辿り着いた応接室には公爵と、その傍らにミロの姿があった。他には応接室には人の姿は存在しない。
「公爵様、ただいま戻りました」
「うむ・・・経過はどうだ?」
「アクゼリュスの救助は概ね済みました。謡将に六神将、そしてアッシュも捕らえて参りました。私は報告と確認の為に先行して先に戻りましたので、後に来る船に謡将にアッシュと六神将から代表として連れてきたラルゴにディストが乗ってきます」
「うむ、そうか・・・ならその船が着いた時が事の真相を明らかにする時になるか・・・」
まずは帰還の報告と礼を取るカノンに早速の報告を命じ、その答えをもらうと公爵も覚悟が必要と表情を固くする。
「そうなるかと思われますが、こちらにミロがいるということはタトリン夫妻はダアトよりこちらに来られたのですか?」
「うむ、そうなる。今は客室にいてもらっているが、カノンが戻ってきたと聞いて急いで来てもらったのだ。いてもらった方が都合がいいかと思ってな。ダアトの事を語ってもらうためにもな」
「そうですか・・・」
肯定を返しつつも何故ミロがいるかと聞くと、話をしてもらうためにと返されカノンは納得しつつミロへと視線を向ける。








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