変遷は聖闘士の引き起こす猛威

「そこまでにしておけデスマスク、時期が来ればそれらの事に関する話はマルクトからされるだろう。今はそれを議論するような時ではない」
「そうだなアイオロス、今はさっさとバチカルに向かう方が重要だ。大佐殿に関する事はアクゼリュスの事とまとめてマルクトに行った時でいいな」
「・・・っ!」
アイオロスがそこに話を止めるように間に入るが頷きつつも入れ込まれた言葉にジェイドはまたたまらず息を呑んだ、後で是が非でもこの問題は明らかにしてやるというデスマスクの考えがニヤッと上がった口角にも見えたために。
「・・・では行きますが、謡将達は少々黙られてください。今から貴殿方の身を私のテレキネシスで橋の対岸へとお運びします」
「っ!・・・か、体が勝手に浮いて・・・!」
「ではルーク様は私の背に」
「分かった」
「では行きましょう」
「ちょっ・・・!」
カノンは改めて仕切り直しの声をかけつつ指をヴァン達に向けると、ヴァン達の体が浮かび上がっていきディストが恐怖混じりに声を上げる。先のアクゼリュスとマルクト本土を繋ぐ壊れた橋を飛んだ時はアイオロスの小脇に抱えられていたから今の恐怖はまた別物であろうが、カノンは素直に頷くルークを背負うと橋の向こうへとアイオロス達と共に特大のジャンプをする。後ろで引っ張られていくよう空を飛ぶディストの悲鳴が遮られた事など気にすることなく・・・



「・・・っと」
「ヒイィィィ!」
数秒後カノン達は何事もなく対岸へと降り立ち、続いたヴァン達も降り立つ。ディストのグシャグシャの泣き顔に悲鳴と共に。
「・・・お前はいつもあの椅子で高い所を飛んでいるだろう。そこまで泣くほど怖くはないのではないか?」
「自分で空を飛ぶのと自由がきかないまま浮かされるのは雲泥の差なんですよ!・・・全く、あんな手段で運ばなくてもよかったでしょう・・・」
「さて、ここまで来ればケセドニアまでもうすぐです。とはいえバチカルに着くまで目立った事をするわけにもいきませんので、船に乗るまでは静粛にお願いします」
「無視ですか!?」
ラルゴが何故泣くと言わんばかりの問いかけを向けると勢いよく返答をした後にブツブツとディストは漏らすが、全く取り合う様子もなくルークを背から下ろして話を進めるカノンにたまらずつっこんだ。涙目そのままに。


















・・・そんな風にディストの泣き言も入りはしたが、特に邪魔が入ることもなくカノン達一行は道を進んでいき、然程時間を要することなくケセドニアの近くへと辿り着いた。



「・・・少々お待ちください。今から道中で説明しましたよう、アイオロスにケセドニアに言ってもらい我々の変装道具を買ってきてもらいます。キムラスカの者に万が一こちらの同行を悟られない為に。ですのでしばらくこちらで休息をお願いします」
「・・・変装か、念の入った事だな」
「ではアイオロス、頼んだぞ」
「あぁ、行ってくる」
そこで立ち止まりしばらく時間を取ると理由付きで述べた事にヴァンが感心を呟くが、カノンはその言葉に反応する事なくアイオロスを送り出す。
「・・・さて、ナタリア王女がケセドニアにまた来るかを頭に入れてアイオロスに行ってもらった訳だが・・・彼女はまた来ていると思うか、カノン?」
「そうだな・・・」
「待て・・・今ナタリア王女がまた来ていたと言ったか?」
「・・・どうされたのですか、いきなり?」
カミュがそこでナタリアについてをカノンに問うのだが、いきなり会話の中に入ってきたラルゴにカノンは訝しげに眉を寄せる。










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