「ただ、二人共にファブレとは関係無いと処分をくだされることはまずないと思われます。不遜な言葉と知りつつあえて申し上げますが、二人をまとめて追い出したならキムラスカは次代の王を自ら排除する事と同義となりナタリア様以外に王族がいなくなることになります。預言の事を置いて考えたならまず一人は残すと思われます」
「・・・でもそれだと、どっちも残る可能性はどうなるんだ・・・？」
「・・・それはキムラスカとダアトの上層部の考え方に、アッシュの意志がどうなのかが分かれ目になると思われます。上層部に関しては事がどのように露見するかがその時の状況に応じて変わりますので何とも言えませんが、アッシュがルーク様と共にいることを拒否したなら・・・そうなる可能性は非常に高いと言わざるを得ません。そしてそれに付随するようにルーク様がファブレにいられなくなる可能性も」
「っ・・・！」
そのままに一つ一つの可能性を話すカノンにルークはアッシュとの共生の可能性について聞くが、重く首を横に振る様子に息を呑んだ。
「アッシュのあの様子ではルーク様への敵対心を抑えて行動出来るとはまず思えませんし、当然のように周りにも当たり散らすでしょう。そうなってしまえば・・・キムラスカが本物という立場を重く見て、偽物だからとルーク様を排斥する可能性は非常に高いと言わざるを得ません」
「・・・やっぱり、そうなるのか・・・」
カノンは考えられる事態を述べていく、アッシュの行動についての仮定を。しかしルークは驚くどころかむしろ暗い様子ながらも納得した声を漏らしている。
「・・・予想されていたのですか？」
「・・・まぁ正直、な。自分で言うのもなんだが本物か偽物かなんて普通に考えて本物を取るだろ。同じもんならな・・・」
「・・・話を続けます」
カノンがその事を指摘すれば苦く本物の方がいいと自覚していると漏らす姿に、慰めは何も言わずに話を進めると告げる。
「そこまで分かられていてもこのように言うのは酷な事とは思いますが・・・やはりキムラスカは本物であるアッシュを優先する可能性は高いと思われます。無論公爵様に夫人がルーク様を擁護する可能性もありますが、アッシュの行動でそれも立ち消えになる可能性もあります。そうなれば良くてキムラスカの中心部に近寄ることも出来ないまま地方で一生を過ごし、悪ければ誰にも知られないようにと存在そのものを抹消されかねません」
「っ！・・・レプリカがいたって事実を無くすためってのと、アッシュがいるから二人も『ルーク』はいらないって事か・・・」
「おそらくはそう考えるでしょう・・・ですが我々もそのような事態にさせるつもりはございませんし、万が一そのような事になればいささか生活に苦しむことになるでしょうが私がお守りします。例えキムラスカからそのような処分が下されたとしてもです」
「っ・・・そこまで、する必要はないだろ・・・俺の為にカノンがそこまでする必要なんて・・・」
尚もルークがいかに危険かと可能性を語るのだがその危険を知って尚守ると告げるカノンに、ルークは弱まった声を向けて必要ないと漏らす。だがカノンはただ優しく笑みを浮かべて首を横に振る。
「言ったでしょう？私がファブレにいたいと思い、誓ったのは貴方です・・・そのルーク様が危険に晒されるというのでしたら私に迷いはありません。例えキムラスカを敵に回そうともです」
「キムラスカまでってそんなこと・・・ってカノンの腕を考えたら多分この世界の誰も敵じゃないんだろうな・・・でもそもそもを言うと、俺の為にカノンはわざわざここにいるって事だし・・・」
「ルーク様？」
「あ、いや・・・なんでもない、続けようぜ話を・・・」
「・・・分かりました」
そのまま自分の意志を柔らかくも確かな強さを持ってカノンが告げると、会話の内容を噛み締めていく内に次第に考え込むような様子をルークは浮かべる。カノンもその姿に疑問を浮かべるが、明らかに気まずく誤魔化そうとする姿にそれ以上の追求を止める。







．