世界の流れを変え行く聖闘士達

「・・・それで何の偶然かは分かりませんが、ラダマンティスと共にギャラクシアンエクスプロージョンを受けた私は次元の壁を越えてファブレ邸にまで来たという訳です」
「・・・・・・あー・・・いや、カノンがそう言うならそう、なんだろうけど・・・何かすげぇ話が大きすぎて、何とも言えない感じがすんな・・・」
それでファブレに着いた経緯までカノンが話終わる訳だが、やはりルークも話のスケールに呆然としたようで途切れ途切れに声を漏らす。
「信じられないという気持ちは分かります。ですが私達が普通の人々とは違う力をお持ちなのは先の時にルーク様もお分かりになっていると思われますが・・・」
「・・・あー、まぁそりゃあな・・・カノンの力は分かるけど、それだとアイオロス達もそうなるってことだよな・・・」
「はい、そうなります・・・勿論私の生きてきた世界でも小宇宙の存在は一般には知られてはいませんが、それでも小宇宙の概念という物はこの世界で異質な物になります・・・このような物はルーク様も見たことがないでしょう」
「っ・・・まぁ、確かにな・・・」
そんな微妙な反応にちゃんと理解してもらおうと話を続ける中でカノンは右手を顔の前に掲げ小宇宙を燃やしてそこに浮かべて見せると、ルークも驚きつつも納得して頷くがすぐに表情を暗くする。
「・・・でも、ってことはカノンは帰るんだよな・・・元の所の仲間のアイオロス達が来たって事は、帰ることが出来るようになったんだから・・・」
そして不安を最大に滲ませた声を漏らし、ルークはうつむく・・・今までの話の流れからしてアイオロス達がカノンを迎えに来たと感じたのだろう。だがカノンは手を下ろしながら小宇宙を納め、笑みを浮かべて首を横に振る。
「いいえ、私は帰るとは言っていません」
「えっ?だってアイオロス達が来たって事はそう言うことじゃないのか・・・?」
「アイオロス達がこちらに来たのは元々ファブレから飛んでしまったルーク様を探しに行く私を手伝う為であって、私を連れ帰る為ではありません。アテナもその為に三人を派遣したので、帰るかどうかは私に選ぶ権利があります」
「・・・じゃあカノンはこれからも俺と一緒にいてくれるって言うのか?」
「私個人としてはそのようにしたいと思ってはいますが・・・それはこれからバチカルに戻った後の流れによって変わると思われます」
「バチカルって・・・そうか・・・俺っていうかその、聖なる焔の光の預言の事か・・・」
それで帰る訳ではないと言うカノンにルークはホッとした響きを少しまとわせていたが、バチカルと緊迫した空気から出たことに表情を曇らせ理解する。このままバチカルに帰っても状況的に安心出来るものではないと。
「・・・今現在公爵様は謡将にアッシュの事実を知った上で我々の事を黙って待っておられます。大詠師に謡将への不信感を持って。おそらくバチカルに戻り真実を明らかにしたなら公爵様はもとより、インゴベルト陛下もこちらに賛同してくれる可能性が高いでしょう。しかし大詠師がどのように行動するのか分からないことに加え、事態をうまく収めたとしても・・・ルーク様にアッシュの二人の処遇がどのようなものになるのかというのはまだ我々にも予測がつきません」
「っ・・・俺とアッシュの処遇・・・?」
「・・・キムラスカが二人の聖なる焔の光をそのまま受け入れるだけとは考えにくいのです。言葉を選ばず申し上げますが、本物と偽物の二人を同じように同じ場所に置くとはまず・・・」
「っ・・・!」
そのままに状況が厳しいことに加え『ルーク』を二人受け入れる事が考えにくいと苦く漏らすカノンに、ルークも言葉を失う。その推測があまりにも生々しく的を得ていた為に。






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