世界の流れを変え行く聖闘士達

「・・・ではすみませんが、誰か詠師の地位にいる人から信頼出来る人を呼んでいただけないでしょうか?出来るならすぐに今の話を内密に進めてもらうようにしてもらいたいのです」
「はい、分かりました」
「それと・・・内密にこちらに来てもらうように今から両親の所に行ってくれ。話をするのには君の両親にいてもらった方がいいし、話の進みかたによってはそのままダアトを出ることになるだろうからな」
「・・・はい、行ってきます」
ミロはそこまで聞いた事でイオンとアニスに指示を出すが、自分より覚悟を決めたよう重い頷きの後に私室を出たアニスにイオンが複雑そうな顔を浮かべる。
「・・・やはりアニスは辛いのでしょうか・・・」
「・・・それもあるとは思います。彼女が起こした行動は例え大詠師からの命令で致し方なく選ばされた物とはいえ、本来なら裁かれるべきこと。それに両親がどのように思っているのかは聞いていませんが、二人の気持ちを聞いた彼女の心中はいかなものか・・・我々は知るよしもありません」
「・・・そう、ですね・・・オリバー達がどのように今思っているか、僕には知るよしもありません・・・」
そのまま同情めいた言葉を呟くとミロは心中を察しきれないと漏らし、イオンも辛いとハッキリ表情を変える。
「・・・今は推測をする時間ではありませんし、話をする時間はバチカルに行くまでに十分にあるはずです。出来れば今は詠師に話をつけるようにお願いします」
「・・・そうですね、分かりました・・・ミロさんは少しこちらでお待ちください。兵士にトリトハイムを呼ぶように話をしてきます」
「分かりました」
そんな空気を消すよう先に話をつけるよう言うミロにイオンは場に残るように言い、私室から出ていく。
『・・・聞こえるか、ミロ?』
『・・・その声はカミュか、どうした?』
一人残った場にいたミロだが、そんな時に聞こえてきたカミュの声に眉を寄せる。
『少し状況を確認しに来た・・・そちらの調子はどうだ?』
『あぁ、こちらは問題ない。順調に行けば数日内にはバチカルに向かえるだろう。ただ大詠師について少し不安があるんだが・・・これからのタトリン一家の安全の事を思うとな』
『あぁ、その後の生活を思えば確かに早めに大詠師をどうにかせねばならないということか』
それで調子を聞きに来たとの声にミロは正直に先程は言わなかったモースについての不安を述べ、カミュも理解を示す。
『・・・その件についてなら我々も懸念してはいた。が、その件に関しては近々片付ける・・・と言うよりは片付けられる事になると思う。お前は気にしなくていい』
『・・・なんだ?いつものお前らしくないな、カミュ・・・冷静とはかけ離れたようなハッキリしない物言いは・・・』
だが続けてカミュが発した言葉がイマイチ要領の得ない言葉だったことに、付き合いが長く無二の友と呼べる人物がらしくないと眉間にシワを寄せる。
『・・・いや、それについては後で話す・・・まずこちらで起きた事について聞いてくれ』
『・・・分かった』
しかしカミュも自身でらしくないと分かっていたのだろう。少し逡巡して話題を反らすその声にミロもそれ以上は何も言わずに話を聞くとただ返した。











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