世界の流れを変え行く聖闘士達

「では早速という形で申し訳ないのですが、よろしいでしょうか?導師に協力をお願いしても」
「はい・・・なんでしょうか?」
「・・・少々言いにくいのですが、二つございます。まず一つはタトリン夫妻を保護するとはいえ、そのまま彼女に導師守護役を続けてもらうのには危険が伴われます。大詠師がその事実を知ったなら彼女をその立場から引きずり下ろすばかりか、下手すると口封じをしかねないという可能性が」
「っ・・・!」
「っ・・・それは、そんなこと許されるはずがありません・・・!」
そのままに願い事があると切り出すミロだが、途端に表情を苦々しげに歪めて後のアニスの身の危険を語るとその当人は顔色を青ざめさせ、イオンも苦々しくも怒りを浮かべて言葉を漏らす。
「我々としても勿論そのような事は避けたい物・・・そこで一つめの願いは導師の権限を持って、この事態に大詠師を裁く為の手続きを取っていただきたいのです」
「モースを裁く、のですか・・・?」
「このような言い方はなんですが、そのような手段を取りかねない大詠師が何の罰もなくいては後にタトリン夫妻がダアトに戻ったならまた同じような事をしかねません。そうでなくともまた何か導師にその周辺にまた手を出すことも考えられます。そうなれば導師自身にもですが、また被害が周りに及びかねません」
「・・・だからそのような事にならないためにもモースを裁け、と?」
「はい。スパイもさることながら借金を一家に強要していたことはそうするに値する事だと思いますが・・・どうでしょうか?」
「・・・確かに僕の権限なら出来ないことはないと思いますが、モースが素直に応じるとはまずとても思えません・・・それでもいいというならそう出来るように手続きをさせていただきます」
「それで十分です」
そんな姿に一つめの願いとミロがモースを裁く事を願うが、イオンはうまくいかない可能性が高いと浮かない表情を浮かべる。しかしミロは十分だと笑みを浮かべる。
「そして二つめの願いですが、また手間をかけることになりますが・・・タトリン一家と共にバチカルのファブレ邸にまで来てはいただけないでしょうか?」
「えっ・・・それはどうしてですか?」
その上で二つめの願いを口にするミロにイオンは目を丸くする、そうする理由がわからないと。
「言ってしまえばタトリン一家の身の安全を確保すると共に、導師自身の身の安全を確保するためです。もし大詠師がタトリン一家を逃がしたと感じたなら今度は導師守護役を変えた上で、導師の身柄を拘束しかねません。それも今度は軟禁以上の事をして発言すらさせない形でです」
「っ・・・そ、それは・・・!」
「導師も大詠師がそうする可能性が高いことは感じているでしょう。そしてそうなってしまえばタトリン一家の件もまず間違いなくうやむやのまま闇に葬られるだろう上、ダアトにいればその可能性が一層高くなりかねない。だからこそタトリン一家の件を少なくともダアトで一段落させるまでは導師の身の安全が確保する必要があるのです」
「・・・だからそれまでファブレ邸にいた方がいいと言うのですね・・・・・・分かりました。諸々の処置を終えたら僕もファブレに向かうようにしたいと思います」
「ご理解いただきありがとうございます」
しかしミロからイオンにも危険がある可能性を聞かされハッとした顔になり、すかさず安全の為と言われて納得して重く頷いた。最善に事を進める為に。






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