世界の流れを変え行く聖闘士達
「すみませんミロさん・・・ダアトに戻ってからも僕の事を守ってくれるなんて・・・」
「いえ、気にされないでください。ダアトに戻ったとは言え・・・いや、戻られたからこそとも言えますが、貴方の身を狙う神託の盾が手を出してこないとも限りませんから」
ダアト内の導師の部屋にて、イオンの申し訳無さそうな声を受けミロは首を横に振りながら答える。
・・・バチカルにてモースやインゴベルト達に内密にダアトに戻ると言った後、イオンはアニスにミロと共にダアトへと戻ってきた。表向きはほとんど誰にも知られないようにした状態で。その甲斐もあって、神託の盾に追跡の手を受けることなくダアトにミロ達は来ることが出来た。
それでイオン達とそこでお別れ、という事をせずにミロは一緒に導師の部屋にまで来たわけである。ここに来たもうひとつの目的を果たす為にも・・・
「・・・すみませんイオン様、遅くなりました」
「いえ、ミロさんがいてくれたので大丈夫です」
そんな場に部屋に入ってきたアニスが申し訳ないといった表情を浮かべ、イオンは気にしてないと笑顔で首を振る。だがアニスの表情はまだ晴れない。
「・・・どうしたんですか、アニス?体調が良くないんですか?」
「いえ、ちょっと・・・」
「待て・・・自分からは流石に言いにくいだろうから俺から言おう。そして落ち着いてから話に参加してくれ」
「・・・すみません・・・」
イオンもその異変に心配そうに声を向け、なんとか返事をしようとするがミロがすぐにフォローに入ったことにアニスは力なく頭を下げる。
「一体どうしたんですか・・・?」
「・・・導師、今から話すことは全て真実です。それらを全て聞いた上で導師、貴方がどうするかをお聞かせください」
「・・・はい、分かりました」
一人置いていかれて首を傾げるイオンだが、ミロからの真剣な眼差しと言葉につられて表情を引き締め頷く。
「・・・まず彼女が場を離れて何をしていたのかをお教えしますが、彼女の両親に話をしにいってもらいました」
「話を?それくらいならオリバー達とは親子なんですから自然なことだと思うのですが・・・」
「無論単に親子の交流の為だけに場を離れていた訳ではありません。彼女の両親に用意をするように言いに行ってもらったのです。ダアトを離れる準備をするようにと」
「・・・え?何故彼らがダアトを離れなければならないのですか?」
そしていよいよミロから語られるタトリン夫妻についての話だが、寝耳に水とイオンは目を瞬かせる。そうしなければならない理由が見当たらないと。
「その理由についてですが・・・彼らをネタとしてアニスは大詠師に服従を強いられているため、そこから脱却するためです」
「っ・・・」
「っ・・・まさか・・・!」
「まさか?・・・もしや導師、貴方はアニスが何をしていたのかご存知なのですか?」
「っ・・・そ、それは・・・」
「えっ・・・?」
そこでまだスパイの事実を言わずにオブラートに包んだ言葉を向けたミロ。アニスが唇を引き締める中、イオンがその言葉になにかを知ってるかのよう小さく声を漏らした事をすかさずミロが突っ込むと、なんとか誤魔化さんとしてか視線をさ迷わせアニスは困惑の目を向ける。そんな中でミロがまっすぐ自身に視線を向ける姿にイオンも観念したよう、悲し気に目を伏せる。
「・・・・・・分かりました、言います。確かに僕はアニスが、その・・・モースのスパイをしていたのではということを感じていたことは、あります」
「イオン、様・・・?」
そして自身の感じていたことを明かすイオンにアニスの目が見開かれた、知られていたのかと驚愕をする形で。
「・・・では何故それをハッキリと口にしなかったのですか?」
「・・・あくまでも薄々と言った程度だったんです。日頃のアニスがどこか変なんじゃないかと思っていたくらいで・・・でもミロさんにアニスの様子だと、それは真実なんですね・・・?」
「・・・はい。この際ですからハッキリ申し上げますが、大詠師はタトリン夫妻の借金の件に荷担していてそれをネタにアニスにスパイをするようにと言っていたのです」
「・・・そう、なんですか・・・」
ミロは表情を変えず確認の声を向ける、何故言わなかったのかと。イオンは確証がなかったからと言いながらそれが真実なのかを恐る恐る問い、ここまで来た事でミロも嘘をつかず正直に事実を明かしたことでまた悲し気に目を伏せた。
.
「いえ、気にされないでください。ダアトに戻ったとは言え・・・いや、戻られたからこそとも言えますが、貴方の身を狙う神託の盾が手を出してこないとも限りませんから」
ダアト内の導師の部屋にて、イオンの申し訳無さそうな声を受けミロは首を横に振りながら答える。
・・・バチカルにてモースやインゴベルト達に内密にダアトに戻ると言った後、イオンはアニスにミロと共にダアトへと戻ってきた。表向きはほとんど誰にも知られないようにした状態で。その甲斐もあって、神託の盾に追跡の手を受けることなくダアトにミロ達は来ることが出来た。
それでイオン達とそこでお別れ、という事をせずにミロは一緒に導師の部屋にまで来たわけである。ここに来たもうひとつの目的を果たす為にも・・・
「・・・すみませんイオン様、遅くなりました」
「いえ、ミロさんがいてくれたので大丈夫です」
そんな場に部屋に入ってきたアニスが申し訳ないといった表情を浮かべ、イオンは気にしてないと笑顔で首を振る。だがアニスの表情はまだ晴れない。
「・・・どうしたんですか、アニス?体調が良くないんですか?」
「いえ、ちょっと・・・」
「待て・・・自分からは流石に言いにくいだろうから俺から言おう。そして落ち着いてから話に参加してくれ」
「・・・すみません・・・」
イオンもその異変に心配そうに声を向け、なんとか返事をしようとするがミロがすぐにフォローに入ったことにアニスは力なく頭を下げる。
「一体どうしたんですか・・・?」
「・・・導師、今から話すことは全て真実です。それらを全て聞いた上で導師、貴方がどうするかをお聞かせください」
「・・・はい、分かりました」
一人置いていかれて首を傾げるイオンだが、ミロからの真剣な眼差しと言葉につられて表情を引き締め頷く。
「・・・まず彼女が場を離れて何をしていたのかをお教えしますが、彼女の両親に話をしにいってもらいました」
「話を?それくらいならオリバー達とは親子なんですから自然なことだと思うのですが・・・」
「無論単に親子の交流の為だけに場を離れていた訳ではありません。彼女の両親に用意をするように言いに行ってもらったのです。ダアトを離れる準備をするようにと」
「・・・え?何故彼らがダアトを離れなければならないのですか?」
そしていよいよミロから語られるタトリン夫妻についての話だが、寝耳に水とイオンは目を瞬かせる。そうしなければならない理由が見当たらないと。
「その理由についてですが・・・彼らをネタとしてアニスは大詠師に服従を強いられているため、そこから脱却するためです」
「っ・・・」
「っ・・・まさか・・・!」
「まさか?・・・もしや導師、貴方はアニスが何をしていたのかご存知なのですか?」
「っ・・・そ、それは・・・」
「えっ・・・?」
そこでまだスパイの事実を言わずにオブラートに包んだ言葉を向けたミロ。アニスが唇を引き締める中、イオンがその言葉になにかを知ってるかのよう小さく声を漏らした事をすかさずミロが突っ込むと、なんとか誤魔化さんとしてか視線をさ迷わせアニスは困惑の目を向ける。そんな中でミロがまっすぐ自身に視線を向ける姿にイオンも観念したよう、悲し気に目を伏せる。
「・・・・・・分かりました、言います。確かに僕はアニスが、その・・・モースのスパイをしていたのではということを感じていたことは、あります」
「イオン、様・・・?」
そして自身の感じていたことを明かすイオンにアニスの目が見開かれた、知られていたのかと驚愕をする形で。
「・・・では何故それをハッキリと口にしなかったのですか?」
「・・・あくまでも薄々と言った程度だったんです。日頃のアニスがどこか変なんじゃないかと思っていたくらいで・・・でもミロさんにアニスの様子だと、それは真実なんですね・・・?」
「・・・はい。この際ですからハッキリ申し上げますが、大詠師はタトリン夫妻の借金の件に荷担していてそれをネタにアニスにスパイをするようにと言っていたのです」
「・・・そう、なんですか・・・」
ミロは表情を変えず確認の声を向ける、何故言わなかったのかと。イオンは確証がなかったからと言いながらそれが真実なのかを恐る恐る問い、ここまで来た事でミロも嘘をつかず正直に事実を明かしたことでまた悲し気に目を伏せた。
.