世界の流れを変え行く聖闘士達

・・・ここで何故ジェイドが本当の事を言わなかったのかと言えば、デスマスク達の言ったよう自分の言ったことをすぐに信じられるはずがない・・・そうジェイド自身が感じたからである。

そもそもを言えば今こうやってカノン達がセントビナーにいるのも、マルクト側からアクゼリュスを救援する事が出来なくなった橋の部分から来たからだ・・・その橋をひとっ飛びして飛び越えた後、さっさと走り出した事に驚くジェイドなど素知らぬ顔をして。

だがそんな荒唐無稽な話をしたとて信じられるはずもない・・・ジェイドはカノン達の力を体験しこそしたが、他者はすぐに信じられるものではないとそう思っていた。そんなこと作り話以外の何物でもないと。現にアクゼリュスからどうやってここまで来たのかというグレン将軍の質問にも途中までタルタロスで来たとしか伝えられなかったのだ・・・そしてそう気付くと言うことに気付いたデスマスク達の考えに、ジェイドのプライドが心地いい物ではないとも感じていた。だからこその今の状況、という訳である。



「・・・話を続けますが我々は今アクゼリュスより急行してこちらに参っている身で、まだアクゼリュスには救援を待つ人々が待っています。そして我々が貴殿方の許可を受け取ると共に、神託の盾より奪い返したタルタロスで住民の皆様をこちらに送り届ける手筈となっています・・・まずは徐々にという形でではありますが、住民を受け入れていただけないでしょうか?」
「うむ、そうですな。いきなり全員というのはこちらも無理ですが、徐々にと言うならグランコクマに報告をして後々にエンゲーブとも協力して受け入れの体勢も取れます・・・出来るな、グレン?」
「はい、父上。すぐにグランコクマにそうするよう連絡を取らせていただきます」
アイオロスの心地いい笑顔からカノンは敢えてこれからの事について空気を重くしながら切り出し、マクガヴァン親子は揃って真剣な面持ちでその話に頷く。
「ありがとうございます・・・では我々はまたアクゼリュスの方へと戻らせていただきます。あちらで待つ者の為に一刻も早く」
「そういう事でしたら分かりました。貴殿方が再びこちらに来るまでには準備を整えておきましょう」
(また帰り道はあのような形で帰らねばならないのか・・・)
話がまとまったとカノンと老マクガヴァンが会話を交わす中で一人ジェイドは想う・・・これからまたあのように自身は運ばれるしかないのかと・・・












・・・住民の受け入れの体勢は整ったと話をつけたことで、セントビナーから出たカノン達。
「よし、んじゃ後はまたアクゼリュスに戻るだけ・・・って言いたいが、ちょいと導師の様子が気にならねぇか?」
「導師か・・・ミロがついているから大丈夫と言えば大丈夫だろう。ダアトにももう戻っているだろうが・・・」
「・・・ミロとは、バチカルで賊を退けイオン様と共にいるあの青年の事ですか?」
「あぁ、そうだ。そして今の話から分かるよう、あいつも俺達と同じくらいに力を持っている」
「・・・でしょうね・・・」
そこで出発・・・と行く前にデスマスクからイオンの話題が出たことからミロに話が行きイマイチ交流のなかったジェイドが確認の声を上げ、その返答に脱力気味に声を漏らす。予想出来る事だと同時に、そうだと新たに想像を絶する実力者だと認知させられたことで。
「そうだな・・・導師の護衛を任せたとは言え、何も知らせぬままではミロもこちらの事に気を揉むだろう。後でミロに現在の状況を話に行った方がいいだろうな」
「ではその役目は私が請け負いましょう」
「そうか、頼むカミュ」
アイオロスはそこで少し考え込んで話をしに行った方がと言い出し、カミュが自分がと切り出した事で快く頷く。















・・・さて、そのようにしてカノン達の話題に上がるミロは話の通り現在はイオン達とダアトにいた。










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