明るみに出る聖闘士の力

「「「「・・・っ!」」」」
・・・ある意味では幻想的、もしくは感動的な光景と言えただろう。目の前に夜にしか見ることが出来ない銀河が広がり、大きく輝く光が辺り一面を際立たせる光景は。だがその光景はその華麗さから想像が出来ない、巻き込まれた瞬間に死を意識せざるを得ない程凶悪な威力に満ち満ちていた。
現にアイオロス達聖闘士以外の面々はその光景から目を離せないと共に、汗を垂らしながら息を呑んでいた・・・初めて見る感動に恐怖といったそれらを確かに感じながら。
「・・・何・・・?」
だが常軌を逸するその光景も数秒後には変わってしまった事に、人知れずヴァンは信じられないというよう声を漏らした・・・何せルークから放たれている超振動の光がカノンから放たれている銀河を粉砕していくビジョンに、飲み込まれていき光が収縮していっているのだから。



‘・・・シュンッ’



「「「「・・・」」」」
・・・そしてすぐに超振動の光が完全に消えてなくなってしまったと同時に、銀河を粉砕するビジョンも収まりを見せて消え失せた。超振動で消滅すると思われていた場に何も被害を与えぬ形で。
その光景に唖然と皆がする中、技を終えたカノンはフラッと倒れかかるルークへと顔色を焦りに変え駆け寄りその体を支える。
「・・・カ、カノン・・・」
「大丈夫ですか、ルーク様・・・!?」
「・・・なんとか、な・・・でもわる、い・・・しばらく、寝かせて、くれ・・・」
「・・・わかりました」
途切れ途切れに声を上げるルークにカノンは心配するよう声を向けると、なんとか残る意識を振り絞って答えを返し目をつぶる姿にそっと笑みながら頷く。
「・・・おいおい、ギャラクシアンエクスプロージョンまで使うことなかったんじゃねぇのか?それに聖衣まで呼び出してよかったのか?」
「・・・俺もゴールデントライアングルを使い超振動を異空間に飛ばそうと考えたが、当人がどれだけ超振動を使うようになるのか想像が出来なくてな。それに聖衣が無くては小宇宙の規模に制御をどのようにするかの精度も大分違ってくる・・・だからギャラクシアンエクスプロージョンで威力を調整しながら超振動を押さえ込む以外にないと、そう思って行動したんだ」
「成程な」
「「「・・・っ!」」」
空気が何処か入ってはいけないものになっていた場だが、あえて入るデスマスク。しかしそこで交わされる会話にヴァンにアッシュにディストの三人は絶句した・・・会話の様子から見てカノンが全力を出さないまま超振動を完全に何の被害も出さぬまま終わらせたと取れることに。
「・・・さて、このようなことをした謡将殿にはまた話を聞かなければならない所だな・・・」
「・・・っ!」
だがそこでヴァンは更に追い込まれることになった・・・カノンの視線がルークに向けていた先程までと違い、自身に鋭さと強さが溢れて滲み出た物になって向けられているのだから。
「・・・どうした?カノンの小宇宙の高まりを感じてこの場に来てみたが・・・」
「一輝・・・」
そんな場に予想もしていなかった人物、一輝が怪訝そうな顔をして現れた。カノンを始めとして皆が一輝に集中して視線を向けると、辺りを見渡した後に一輝は目を閉じフンと鼻を鳴らす。
「・・・成程、ヴァンが暗示を発動させたと言うことか。ルークの超振動を無理矢理に使わせる為に」
「な、なんでこの場にいない貴方にそんなことが分かるんですか!?」
「そんなことはどうでもいい・・・自らの絶望を人に押し付け、他者を利用し世界を変えるだと?・・・笑止千万!貴様達のやっていることはただの自己満足に過ぎん!」
「!?」
そして事態を正確に把握したと一輝が納得するとディストが驚きに声を上げるが、構わず一輝はカッと目を開いてヴァンに指を向け告げた。お前の行動は自己満足だと。








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