明るみに出る聖闘士の力

「・・・話を続けますが、こうやって我々が謡将達の行動を先読み出来たのは理由がございます。それは先のマルクト領内で神託の盾によりタルタロスが襲われた件からになりますが・・・これよりのお話をする前にルーク様にお願いしたい事がございます」
「・・・なんだ?」
「これからの話はまず間違いなくルーク様にとって身を切られる程に辛いお話となると思われます。それも自分を見失いかねないほどにです・・・私はこれより嘘偽りのない真実をお話ししますのでその事を覚悟されてください。そして・・・私は貴方の味方だということを心に留められてください」
「っ・・・あぁ・・・!」
それで話を続ける前に注意を切り出すカノンにルークは問い返しの言葉を向けると、真剣に覚悟を求めた後に安心感をもたらすような微笑を向けられつられて笑顔で強く頷いた。そのカノンの気持ちに導かれるように。
「ありがとうございます・・・ではあちらをご覧ください、今から証人がこちらに参りますので」
「証人・・・っ、あいつは・・・!?」
了承を得られたことにカノンが頭を下げた後に視線を後ろにやると、ルークもそちらに視線を向けたがそこからアイオロス達と共に現れた・・・アッシュの姿を目撃して絶句した。自分とそっくりな顔の存在がこちらに来たことに。
「・・・フン!何を呆けた顔をしてやがる!この屑が!」
「っ!?い、いきなりなんだよお前!?」
「ハッ!この「ハイハイ、しばらくお口チャックしましょうね~」ムグッ!?ムガッ、ムゴゴッ!」
それでアッシュが近付いてくると同時にそのルークに罵倒を向けてくるが、混乱する姿に尚も罵倒をぶつけようとした時にデスマスクが後ろから手で口を塞いだことで言葉がこもった。たまらずアッシュは手をどけようとしながら抗議の言葉をどもりながら向けるが、デスマスクは手をどける事もなく冷淡な笑みを浮かべながら耳元に口を近付ける。
「話が進まねぇから許可した時にだけ喋れ。次は口を塞ぐんじゃなく、アゴ砕くぞ」
「・・・っ!」
「・・・そうそう、大人しくしてりゃいいんだよ」
そして黙らなければアゴを砕くと有無を言わさない迫力を込めて宣告すると、アッシュも本気だと瞬時に理解したようでピタリと抵抗を止めようやくデスマスクは手をどける。
「こ、これは一体どういうことなんだよカノン・・・!?」
「・・・まずは結論から申し上げます。それは・・・」



「こっちにいるアッシュが本物の『ルーク=フォン=ファブレ』であり、貴方は謡将がキムラスカにダアトを騙す為に置いた偽物だとのことです」



「っ!?・・・はっ、いやっ・・・えっ・・・ど、どういうことなんだよ・・・一体・・・!?」
「・・・順を追って説明致します」
だがルークは未だ混乱しながらアッシュとカノンを交互に見ながら何なのかと問い、その姿に・・・とうとうカノンは残酷な事実を告げた。ルークはアッシュの偽物だと。
しかしルークは更なる混乱に陥るばかりで不安混じりに辺りをキョロキョロとし出し、カノンはうやうやしくもどこか痛みに耐えるような声で説明を始める・・・















・・・それからカノンに時折アイオロス達の補足を交えての説明はルークにわかってもらうようにと、懇懇とされていった。その話の中で最初こそルークは混乱していたが、話をしていくにつれ段々と静かに・・・沈みこんでいくように時折問い掛けを向けながら、話を聞いていった。



「・・・という訳です」
「・・・・・・俺は、偽物だったっていうのか・・・アッシュが預言から逃れて生きるために、俺がその代わりとして死ぬために造られたレプリカだって・・・」
「・・・その通りです」
そしてそれらに関する話を終えると、呆然とした声を力なく上げるルークにカノンは重苦しく頷く・・・今までの話を聞いて自分の事は理解したようだが、流石にだからとすぐに受け入れられる物ではない。カノンもそのルークの内情を痛いほどに感じていた。










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